【Jリーグ】ジュビロ磐田、”補強禁止”でつかんだ「1年でのJ1昇格」のキセキ

こんにちは、みやざき潤です!

41/42試合を終えた時点で3クラブにJ1自動昇格の可能性があり、今年も混戦を極めた2023シーズン「明治安田生命J2リーグ」。その最終節が11月12(日)で各会場で行われたため、自動昇格の可能性を残している1クラブでもあったジュビロ磐田と栃木SCの試合へ行ってきましたので、今回はその試合について記事をまとめてみました!

ぜひご覧ください!

目次

J1自動昇格の可能性

前述の通り、試合開始前には3クラブにJ1自動昇格の可能性があった最終節。(※J1自動昇格は2位以内)

その3クラブは下記の通りです。(※しかも3クラブとも理論上はあるけど何十点差での勝利のみが必須みたいな現実味とかけ離れたものではございません!)

2位 清水エスパルス(勝点 73 / 得失点差+44 / 総得点77 )
■J1自動昇格の条件
◯ 勝 利 →他会場の結果に関係なくJ1自動昇格決定
△引き分け→磐田、東京Vが共に引き分け以下
● 敗 北 →磐田、東京Vが共に引き分け以下
※Jリーグの歴史を塗り替えるほどの大敗をしない限り
【最終節の対戦相手:水戸ホーリーホック(A) / 前半戦での対戦結果:第1節 清水0-0水戸】

3位 ジュビロ磐田(勝点 72 / 得失点差+29 / 総得点72 )
■J1自動昇格の条件
◯ 勝 利 →清水が引き分け以下かつ、東京Vが磐田より得点差6以上をつけて大勝をしない限り
△引き分け→現実的にはほぼ無し
● 敗 北 →無し
【最終節の対戦相手:栃木SC(A) / 前半戦での対戦結果:第6節 磐田2-0栃木】

4位 東京ヴェルディ(勝点 72 / 得失点差+24 / 総得点55 )
■J1自動昇格の条件
◯ 勝 利 →清水・磐田が共に引き分け以下、もしくは清水が引き分け以下の上で磐田より得点差6以上の大勝をした場合
△引き分け→現実的にはほぼ無し
● 敗 北 →無し
【最終節の対戦相手:大宮アルディージャ(A) / 前半戦での対戦結果:第7節 東京V1-0大宮】

運命をかけた「栃木SC vs ジュビロ磐田」 -前半-

自力でのJ1自動昇格はなく、2位浮上はおろか4位後退の可能性もある厳しい状況となったジュビロ磐田の今季最終戦はアウェイでの栃木SC戦。

ジュビロ磐田がJ1自動昇格を勝ち取るためには勝利し、同時刻キックオフの清水及び東京Vへプレッシャーを与えなくてはならない中での迎えるアウェイでの栃木戦はリーグ戦でこれまで3勝1分と分があるジュビロ磐田だが、こういった大一番では「魔物が住んでいる」のが常であり、いつもでは起こらないことが起きてしまう怖さをはらんでいます。

しかしそんな懸念は杞憂に終わることを示唆する立ち上がりとなります。

負傷離脱しているチーム最多得点のエース、#18 ジャーメイン良選手を欠く中で先発出場となった高校生ストライカー#42 後藤啓介選手が191cmの長身を活かしてロングボールに競り勝ち、チャンスを作るとイエローカードの累積でこの試合は出場停止のDF #6 伊藤槙人選手に代わり8月12日の町田戦以来の出場かつ、古巣戦となったユース出身でU22日本代表でもあるDF #15 鈴木海音選手が集中した守備でピンチを作らせません。

そしてペースを掴んでいく中で、24分にアーリークロスから栃木SC #19 大島康樹選手が巧みなトラップをし右足一閃。GK #21 三浦龍輝選手も触れられない豪快な一撃がゴールネットを揺らし、栃木SCが先制をします。

J1自動昇格のかかった勝利のみが求められるアウェイ戦で許した先制点。決してリズムも悪かったわけでもなく、完璧に崩されたわけでもない失点。そして負ければJ1自動昇格どころか4位転落も十分にあり得る状況。前半ながら焦りが生まれても不思議ではない中、横内昭展監督率いる「横内磐田」は至って冷静でした。

決して攻め急ぐことなく、先制前より守備強度を増した栃木SCの守備陣を長短のパスを織り交ぜながら同点のチャンスを伺っていきます。

#4 松原后選手、#17 鈴木雄斗選手の両SBの積極的な攻撃参加、そしてキャプテン #10 山田大記選手のゲームメイクや、#33 ドゥドゥ選手の思い切りの良いミドルシュートで着実にチャンスの数を増やしていきます。

そして迎えた前半終了間際の41分。CKのチャンスからショートコーナーでパスを繋ぎ、最後はドゥドゥ選手がエリア外から思い切りの良いミドルシュートを放つと、その鋭く強烈なシュートがCKの守備で混戦していたエリア内の選手にあたりコースが変わってゴールに吸い込まれ、ジュビロ磐田が前半の内に追いつきます!

そしてそのまま前半終了。運命の一戦は1-1で前半を終えました!

なお、他会場の「水戸-清水」、「大宮-東京V」はそれぞれ「0-0」のスコアレスで前半を終えており、このままの結果ですと順位の変動はなく2位の清水がそのままJ1自動昇格を掴みとることになります。

明暗別れた「三つ巴の昇格争い」 -後半-

お互いにメンバーを代えることなく臨んだ後半戦。

前半終了間際に追いついた勢いや、「横内磐田」が1年かけて築き上げた連携から後半もチャンスを作るジュビロ磐田。攻める方向が変わり、ジュビロサポーターが待つ方のゴールに叩き込まれる逆転弾をサポーターも待ち望み、応援のボリュームも上がります。

※自分も昂ぶり、試合後には声が枯れていました(※平常運転です)

そして61分。待ちに待った瞬間が訪れます!

試合開始前時点で1試合平均クロス数がリーグ1位を誇る左SBの#4 松原后がインナーラップからペナルティエリア内に侵入してDFの間でパスを受けると、そこからプレスを受ける前にクロス!そのクロスに勢いを持って合わせたのはMF #14 松本昌也選手!!

ジュビロ磐田在籍7年目で、前所属クラブを合わせるとJ2降格3回、J3降格1回、J2昇格1回、J1昇格1回と波乱万丈のキャリアを歩んできた酸いも甘いも知る苦労人がチーム最多タイに並びキャリアハイも倍以上更新するシーズン9得点目でJ1自動昇格へ大きく近づく逆転弾を叩きこみます!!

そしてその頃、他会場でも動きがありました!

「水戸-清水」の一戦では、清水のビルドアップの隙をついて62分に水戸が先制し、勝利すればJ1自動昇格の清水は1点のビハインドを背負うことになりました。一方の「大宮-東京V」も63分にアウェイで先制し、1点のリードを得ます。

「栃木1-2磐田」、「水戸1-0清水」、「大宮0-1東京V」と一気にスコアが動き、このまま終わると

2位 ジュビロ磐田(勝点 75 / 得失点差+30 / 総得点74 )

3位 東京ヴェルディ(勝点 75 / 得失点差+25 / 総得点56 )

4位 清水エスパルス(勝点 73 / 得失点差+43 / 総得点77 )

となります。

アディショナルタイムを入れた試合時間も残り30分ほどとなる中、徐々に他会場の試合結果を気にしながら試合観戦をするサポーターも増え始めます。

ただ、どの試合も1点差のため、ジュビロ磐田は追いつかれてしまうと2位から4位に転落してしまいます。(※現実味は薄いですが、仮にこのままジュビロ磐田が勝っても、残り約30分で東京Vが1-0→7-0までスコアを動かせば東京Vが2位となります)

そして「いつも通り」を貫くジュビロ磐田は過度な守備固めをすること等はなく、パスを回しながら栃木SCにリズムを渡しません。そして時崎監督ラストマッチとなった栃木SCも攻撃的な選手を次々に投入し、同点のチャンスを探ります。一方の交代枠の使用に慎重だったこの日の横内監督も86分に初の交代で運動量豊富なアタッカー MF #13 藤川虎太朗選手、そして強靭なフィジカルが武器のFW #29 ファビアン ゴンザレス選手の攻撃的な2名をピッチへ送り込みます。

そしてその頃、他会場でも再度動きがありました。「水戸-清水」では81分に清水が同点弾を叩きこみ、「水戸1-1清水」とスコアをタイに戻します。そして「大宮-東京V」では78分に東京Vが追加点をあげ「大宮0-2東京V」と最小失点を誇る東京Vが残り時間も限られている中で勝利へ大きく近づきます。

東京Vの勝利が濃厚になりつつあるため、静岡の両クラブは「勝利」のみがJ1自動昇格へ残された道になってきます。

そしてこのまま試合が終了した場合の順位は下記の通りです。

2位 ジュビロ磐田(勝点 75 / 得失点差+30 / 総得点74 )

3位 東京ヴェルディ(勝点 75 / 得失点差+26 / 総得点57 )

4位 清水エスパルス(勝点 74 / 得失点差+44 / 総得点78 )

清水が同点に追いついたためこのまま勝ち越せば清水が2位に再浮上し、仮に清水がこのまま引き分けた場合でもジュビロ磐田が同点に追いつかれた場合はジュビロ磐田は4位に転落し、東京VがJ1自動昇格することになります。

次の一点でJ1自動昇格の行方が変わる手に汗握る展開。そんな中、一足先に「大宮-東京V」の試合が終わり、東京Vが2-0で勝利しました。

そのため、静岡の両クラブは勝利をしないとJ1自動昇格を勝ちとることはできなくなったかわりに、ジュビロ磐田も得失点差を気にせず勝利のみにフォーカスできる結果とはなりました。

そしてその後「水戸-清水」もそのまま1-1で試合終了し、この時点でジュビロ磐田は勝利すればJ1自動昇格となります!その結果をサポーターやベンチが確認し、迎えた5分の後半アディショナルタイム。ホーム最終戦、そして時崎監督ラストマッチを黒星で終えるわけにはいかない栃木SCもジュビロ磐田ゴールに迫ります。

ですが、ビッグチャンスを作ったのはジュビロ磐田でした。FKのピンチを防ぐと、セカンドボールからのカウンターから92分、#29 ファビアン ゴンザレス選手があわやPKとなるような位置でFKを獲得します。そのFKは栃木SCの壁に跳ね返されてしまいますが、95分には右サイドをフィジカルを活かした突破から#29 ファビアン ゴンザレス選手が折り返すと中で合わせたのは#33 ドゥドゥ選手!

試合を決める3点目を決めたかに思われましたが、サイドを突破していた時にゴールラインを割っており惜しくも3点目は幻となります。ですが、その後の栃木SCのラストプレーも防ぎきり、ジュビロ磐田が2-1で勝利!シーズン最終戦を逆転勝利で飾ると共に逆転でのJ1自動昇格を掴みとりました!!

最終順位

2位 ジュビロ磐田(勝点 75 / 得失点差+30 / 総得点74 )

3位 東京ヴェルディ(勝点 75 / 得失点差+26 / 総得点57 )

4位 清水エスパルス(勝点 74 / 得失点差+44 / 総得点78 )

ジュビロ磐田歓喜の瞬間!!

今年のジュビロ磐田は前例のないシーズンインを迎えておりました。

昨シーズン途中に急遽クラブHPにてリリースされた「ファビアン ゴンザレス選手に関する国際サッカー連盟(FIFA)決定およびスポーツ仲裁裁判所(CAS)への上訴のお知らせ」(※外部リンクとなります)によって「今シーズンの補強禁止」とJリーグ史でも未曾有の事態に直面し、昨シーズンの選手の残留及びレンタル移籍していた選手の復帰、そしてユースの後藤啓介選手が加入するのみと、1年でのJ1復帰に対して他クラブより補強面で大きな遅れをとることになりました。

その中で育成年代や日本代表でのコーチキャリアこそ豊富なものの、「クラブの監督」は初となる横内新監督を迎えたジュビロ磐田。

もちろん、そんな状況下ではありつつも藤田俊哉SDなどの尽力や選手たちの熱い想いからほとんどの既存選手が契約延長もあって「昇格候補の一角」として考えている人もいつつ、「新監督を迎えつつ新監督の求めるプレースタイルにあった選手を獲得する」というプロサッカークラブとしてこれまでどのクラブもやってきたことができないことや、純粋にチームの平均年齢が1歳上がること(※厳密にはレンタル復帰や退団選手もいるため異なります)への不安を抱えざるを得ない現状は隠しきれませんでした。

そして迎えた2023シーズン。高校生ルーキーの後藤選手が0-3の状況から終了間際に2得点を上げるものの、昨シーズンJ1で最多失点だったのを引きずったかのようなホームでの開幕戦。そして2節の山口戦も先制こそしつつ、終盤に追いつかれて1-1のドロー。3節の山形戦で1度は同点に追いつかれつつも何とか勝ち越して初勝利を上げますが、4節の大宮戦では試合を終始支配しつつ後半アディショナルタイムの失点で0-1の敗戦、5節の静岡ダービーも当時開幕から未勝利だった清水相手に終了間際の失点で追いつかれ2-2のドローとなってしまいます。

5節の段階にも関わらず、3試合で終盤間際の失点を許しその結果、当時積み上げていた勝ち点の半分となる勝ち点5を失っていました。

6節栃木戦で今シーズン初の無失点勝利を飾るも、7節大分戦で1-2の敗戦。8節水戸戦で5-1の勝利で連敗を阻止するもそこから13節東京V戦まで1勝3分1敗と昇格する上で必要な勝ち点をなかなか稼げません。

ですが、J2クラブ22クラブ中ジュビロ磐田と清水エスパルスのみが参加していたルヴァンカップ。カップ戦とリーグ戦連戦をチーム全員で乗り越えたジュビロ磐田は「補強禁止」ながら若手も実践経験を積み、現有戦力の底上げに成功します。

そこから負けないチームへと成長していき、26節の藤枝MYFCとの「静岡三国決戦」を4-1で勝利するとついにJ1自動昇格圏内となる2位に浮上します!

そこからJ2首位やJ1自動昇格の座をFC町田ゼルビア、東京ヴェルディ、そして同じ静岡県内のライバル清水エスパルスと争う終盤戦へ。

ですが、30節の「首位攻防戦:町田戦」、32節には急激に調子を上げ台風の目となる「千葉戦」、そして36節では開幕戦で敗れた「岡山戦」で敗戦を喫してしまいJ1自動昇格圏をなかなかキープできません。

その中で何とか2位浮上した状態で迎えた38節「静岡ダービー:清水戦」では悔しい敗戦となり、残り4節時点でJ1自動昇格圏内から一気に4位まで落ちてしまいます。

ですが、そこから39節は前半戦では敗れた徳島相手にアウェイで3-0の勝利をあげて「得失点差1」の差で東京Vをかわし3位に浮上し、迎えた40節の東京Vとの直接対決。先制を許すも#7 上原選手が2試合連続となるビューティフルゴールで同点に追いつき3位を死守し、引き分けたことにより敗れた清水との勝ち点差を1に縮めて望みを繋ぎます。

そしてジュビロ磐田一筋19年(ユースを含めると22年)GK #1 八田直樹選手が今シーズン限りでの引退を表明しセレモニーも行われたホーム最終戦の41節水戸戦では5-0と、「得失点差1」で守っていた4位東京Vとの差を「得失点差5」まで広げることに成功しました!

そして迎えた最終節、粘り強く逆転勝利を上げることでJ1自動昇格を掴みとることができました。

「J1自動昇格」を掴みとったクラブとしては決して順風満帆だったとは言えないシーズンになったとは思います。ですが、補強禁止の中、連敗を一度もせず、敗戦した試合も全て1点差、リーグ戦20試合連続得点など1試合1試合を粘り強く全員で戦い抜いたからこそ掴んだ「得失点差4」での昇格に繋がったと思います。そこまで繋げた選手・スタッフ・フロント・スポンサー・地方自治体・サポーターなどたくさんの方々が逆風にも負けず日々の積み重ねてきた「J1自動昇格」の集大成。本当におめでとうございます!!

昇格決定の瞬間はこちら
試合後には藤田SDの懐かしいチャントも!

ジュビロ磐田 補強禁止の中で掴んだ1年でのJ1復帰!!

シーズン開幕前には「一人だけが頑張ってというよりは、僕はチームとして点を取る、チームとしてゴールを奪う、ゴールを守る、こういうサッカーをやっていきたいなと。点を取るのもフォワードの選手ではなくて、極端に言えばゴールキーパーだって良いわけですし、ゴール前で守るのが、ひょっとしたらセンターフォワードの選手だって構わないと思っていますし、それがチームとしてやれれば良いかなと思っています。」(引用元:2023新体制発表記者会見 ※外部リンクとなります)

と語っていた就任1年目の横内監督。その言葉通り、J1自動昇格を勝ちとり、シーズンで74得点とリーグ3位の得点数を誇ったクラブながら2桁得点者がいない異例なスタッツになった今年のジュビロ磐田。9得点が3名、8得点が1名、7得点が1名、6得点が2名と「どこからでも点が取れる」そんな強みが表れるシーズン終盤戦だったと思います。

そして試合後にはアウェイの地まで駆けつけ、共にJ1自動昇格を掴んだサポーターに向けて興奮冷めやらぬ熱血漢、横内監督は以下のようにコメントを残していました。

「皆さん、ブラボーーーー!!!
開幕し苦しい時から最後までホーム・アウェイ関係なく本当に大きな声援を1年間ありがとうございました!!
皆さんのおかげで今日【J1昇格】を勝ちとることができました。これは我々スタッフ・選手・クラブだけではなくて、皆さんの後押しがなければこのJ1復帰というのはなかったと思います。本当に、本当に、本当に感謝しています!!
来シーズンは今より厳しい戦いが待っていると思います。ただ、我々もう一回、戻るところに戻ってもうひと暴れしたいと思います!そのためには皆さんの本当に熱い、熱い、熱いご声援を引き続きよろしくお願いします!
世界一のサポーターにブラボー!!!」

そしてその挨拶後にはサポーターから「ブラボー横内」コールが巻き起こり、喜びを分ちあいました。

試合翌日の11/13(月)にジュビロ磐田公式HPにて「横内監督続投」(※外部リンクとなります)が決定し、迎えるJ1復帰1年目の来シーズン。J1の舞台でも暴れ回る横内磐田の活躍に期待です!

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みやざき潤のアバター みやざき潤 元TVディレクター・Jクラブスタッフ

Jリーグ観戦が趣味です。
発言は個人の見解となります。

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