バスケットボールのシュートフォームについて、大人初心者や大人ブランクの人たちが、もっとシュートレッスンを受けられる機会が増えたら良いな、と思うことが多い。
私がバスケットボールを始めたのは中学からだった。
もう30年以上前、平成初期の頃からだ。
小学生の時、遊びの中でやった野球は小さい球をバットに当てるというのがどうにも苦手で続けることはなく、サッカーはなぜかいつも自分が失点に絡んでいて、自分にあったスポーツというイメージがもてなかった。
だが体育の授業でやったバスケットボールは、ドリブルがわりと上手くできて体育館の中を走り回れるのが無性に楽しかった。
その経験が、中学でバスケットボール部に入部を決めた動機となった。
部活がスタートしてしばらくすると、一冊のバスケットボールに関する本を入手することができた。
A4ノートサイズでページ数は少なかったが、バスケットボールの基本動作のイラストが描いてある本だった。
そこに描かれていたシュートフォームのイラストが、私のシュートフォームの基礎となることになる。
そのイラストはワンハンドでのシュートフォームの解説だが、ボールをキャッチしたら「額の上でボールを構えてシュートを放つ」といった内容だった。
イラストのシュートフォームは、もちろん参考になるものである。
ただ今となってわかることは、解釈を間違えるとバスケットボールを始めたばかりの中学生には、ワンハンドで飛距離を出すには難易度が高い打ち方になってしまう、ということだ。
初心者にとって「額の上でボールを構えてシュートを放つ」は、構えた腕をボールの発射台とみたて、必要以上に額の上に固定させるようなイメージを持ってしまうことがある。そうなると、飛距離を出すための力をボールに伝えるのが難しくなってしまう。
しかし、短い距離においてはボールをコントロールしやすいという利点がある。
その利点があるが故に、短い距離ではボールがリングに届きそれなりにシュートが入るため、そのシュートフォームのまま飛距離を出そうと練習を繰り返すも、なかなかスリーポイントシュートが入らない。
それどころか、スリーポイントを狙ってもリングにボールを届かせるのもキツいということに落ち入りやすい。
バスケットボールに関する情報量が少なかった昭和から平成中盤にかけてバスケを始めた方は、飛距離が出にくいフォームのまま練習をしていた方は多いのではなかろうか。
現代ではシュートフォームについて研究や言語化が進み、YouTubeでたくさんの解説を観て学べ、シュートフォームの改善をすることもできる。
私も歳を重ね体力と筋力の衰えから、もっと楽にスリーポイントが届くようになりたいという思いから、40歳を過ぎてからシュートフォームを変えることに着手したのだった。
固定的な「額の上でボールを構えてシュートを放つ」が染みついたフォームから、ワンモーションシュートと言われるフォームへの変更だ。
正しい表現ではないかもしれないが、ワンモーションシュートでは、額の上はボールのキャッチからシュートを放つ一連の動作における通過点である、とするフォームでボールコントロールはやや難しくなるが、うまくボールに力を伝えられるようになると、小学生でもディープスリーが決められる飛距離を生み出すことができる。
コロナが猛威を振るっていた時期、体育館の使用ができないため、土日の早朝を狙って近所のゴールがある公園で、シュート練習を含めひたすらに個人練習を行なっていた。
YouTubeの解説動画や書籍を参考に、ワンモーションっぽいシュートを放っては練習し、時に自分のフォームをスマートフォンで撮影して見返したりもした。
しかし、見本となる人が身近にいない、アドバイスをもらえる人がいないとなると、練習をしていても正しい方向に向かっているのか、不安であった。
日常がもどり、体育館でのバスケが行えるようになると、さらにシュート練習に力を入れたいと思った。
幸いにもシュートレッスンを企画してくれる団体やサークルと出会うことができ、シュートフォームの指導やアドバイスをもらうことができた。
やはりトレーナーやコーチによる直接の指導は、動画や書籍では掴みにくい要素を教わることができ、シュートを見てすぐに修正点を伝えてくれるので、シュートフォームの改善を明確に感じ取ることができる。
現代ではバスケットボールの指導レベルも上がり、質の高い練習を受けることができる環境が増え、クラブチームで小学生のうちから綺麗で確率の高いシュートフォームを身につける機会も増えた。
ただ、私のようなバスケ環境で育った大人や、大人初心者には、シュートフォームを学べる機会は極めて少ない。
大人初心者も参加できるチーム練習に参加しても、シュートのトレーナーのような存在はほぼいない。
そのチームに経験者が在籍していたとしても、シュートの練習メニューを考えることはできても、シュートフォームを具体的に教えることは難しい。
初心者参加OKの草バスケにおいては、ゲームだけなのでシュートに関する悩みの相談すらできない。
故に、もっとシュートのトレーナーが増え、大人初心者や大人ブランク選手もシュートをしっかり学ぶ機会が増えたらよいなと思う。
シュートレッスンを受けている時、一緒に参加している方々を見ると、新しい発見や今までに感じたことのないシュートの感触に目を輝かせているのを見ることができる。
さらには、しばらく経ってシュートレッスンに参加した方と会うと、見違えるようにシュートが入るようになっていたりする。
そして、何と楽しそうにシュート練習をしていることか。
私もまだまだシュート確率は低いが、以前より段違いに楽にスリーポイントが届くようになり、シュート練習がより楽しくなった。
バスケットボールのプロ選手が増えているし、専門的なトレーニングを学んでいる人も増えているだろうし、きっとこれからコーチやトレーナーとして活躍する人物が増えるだろう。
ただ、育成年代を対象とした指導を志す方が多いかもしれない。
ぜひ大人初心者や現代バスケのようなシュート指導を受ける機会がなかった大人ブランクの人たちにも、シュートレッスンを実施してもらいたい。
シュート練習をしながら、そういう未来が来たら良いなと、勝手に願っているのだった。
※以下の団体でシュートレッスンに参加させてもらいました。
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