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【トレーニング×遺伝子分析】スポーツにおける遺伝子分析の活用その①
キーワードは「未然に」
アスリートや競技者とは切っても切れない存在の怪我。
コンタクトスポーツなどではやむを得ずおこってしまう怪我(捻挫や打撲など)もありますが、競技中の怪我や故障を未然に防ぐことがスポーツ界では主流になって来ています。
練習中・試合中における怪我の分布
第1位 筋損傷(肉離れ) 30%
第2位 靭帯損傷 26%
第3位 骨折(疲労骨折) 11%
第4位 脱臼 7%
第5位 半月板損傷 6%
第6位 その他 20%
出典:Sports injury and illness incidence in the Rio de Janeiro 2016 Olympic Summer Games:A prospective study of 11274 athletes from 207 countries より引用
上記は2016年リオ五輪で発生した傷害の発生割合です。
また、別の研究データからも一般的な傷害の内訳として、男性の方が筋肉系トラブルが多く、女性の方が骨や靭帯系のトラブルが多い傾向があり、成長期(小学生〜中学生)は骨や靭帯系のトラブルが多くなることが分かっています。これらのようなきちんと研究データで裏打ちされたエビデンスに体質を掛け合わせることで「発生するリスクを下げる」ことが期待できます。
「エビデンス×体質」でリスクを下げる
筋損傷(肉離れ)
筋の硬さに関わるエストロゲン等に関連する遺伝子を調べることで筋損傷への影響を判定
ここで用いるエストロゲン受容体(ESR1)は女性ホルモンであるエストロゲン作用の担い手で、筋肉の硬さ・伸びにくさに影響を与えます。硬い筋肉の方が肉離れなどの筋損傷を起こしやすくなります。順天堂大学の研究ではこのESR1の個人差と筋損傷の受傷歴に関連があったと報告されています。また、先述にあった筋肉系トラブルは男性に多いというデータは、このエストロゲンがもともと女性より男性の方が少ないという性差が影響していると考えられます。
靭帯損傷
靭帯を構成するⅤ型コラーゲン等に関連する遺伝子を調べることで靭帯損傷への影響を判定
コラーゲンは筋肉と骨をつなぐ腱の主成分であり、各々の部位における強度や柔軟性を保つ効果があります。コラーゲンの合成がうまくいかなくなると、関節は滑らかな動きを失って可動域が狭まったり、少しの動作や衝撃でも傷めやすくなったりします。
骨折(疲労骨折)
骨の構成部分であるⅠ型コラーゲン等に関連する遺伝子を調べることで骨折(疲労骨折)への影響を判定
骨はコラーゲンの繊維にカルシウムなどのミネラルが付着している構造になっていて、骨の有機物の90%以上を占めています。「骨=カルシウム」というイメージがある方が多いのではないでしょうか。カルシウムは骨にとって大切な栄養素ですが、コラーゲン不足だとクッション性やしなやかさを失い、スポーツ障害という観点では外部からの衝撃に対して弱く壊れやすくなってしまいます。
まとめ
これら3大スポーツ傷害は、体質から受傷しやすい傾向を読み取ることが可能な時代になりました。
体質はジュニア世代でもシニア世代でも変わることのない自分自身の特性です。大切なのは自分の特性を知り、強みは伸ばし、リスクは把握し対策を取ることで未然に防ぐことが期待できます。
アスリート・競技者の方、スポーツをしているお子様のいらっしゃる方、チーム関係者様など、この記事からカンビアールの遺伝子分析(イクロス)に少しでも興味が持たれた方はお気軽にお問い合わせください!