バスケットボールのディフェンスには、1人に対して1人が守るマンツーマンディフェンスと、それぞれ守備の持ち場を決めて守るゾーンディフェンスがある。
マンツーマンは守る人を特定するということで、細かい守備のテクニックはさておき、初心者でもわかりやすい構図である。
それぞれが守るエリアが決まっているゾーンディフェンスは、一見するとわかりやすいようで、初心者にはマンツーマン以上に「どうしたらしたら良いかわからない」守り方だったりする。
さらに攻め手に回り、相手がゾーンディフェンスだった時にもマンツーマン以上に「何をしたら良いかわからない」ものである。
ゾーンの攻守は初心者にとって学ぶ機会の少ないシステムだからである。
初心者がもっとゾーンを学べる機会を作れないだろうか。
いつかは遭遇するゾーンディフェンス
初心者向けのスクールに通い、徐々に実力がついてくると、初心者も参加ができるピックアップゲームへのチャンレンジ精神が芽生える。
また、気の合う仲間と出会えば、レベル分けがされたバスケ大会の下位ランクにエントリーして出場するなど、徐々にステップアップをしていく。
経験者が入り混じったピックアップゲームや、大会という勝負の世界に踏み入れた時、ゾーンディフェンスに必ずと言って良いほど遭遇するが、それに準備ができないというのが初心者の境遇なのだ。
ゾーンディフェンスに遭遇した初心者は、終始戸惑いながら、いつも以上に何もできずに終わってしまうこともある。
もっとバスケットボールを楽しみたい
「ゾーンは教わったことがなくて・・・。正直ゾーンだと、いつも（マンツーマン）より攻めも守りも何をしたら良いかわからない。足でまといになってしまってごめんなさい・・・。」
ピックアップゲームに参加し、まだバスケットボールを始めたてだろうと感じたチームメイトがいた時、「まだゾーンはあまり経験したことや、誰かに教わったことはない？」と聞いた際に返ってきた回答だ。
似た回答を何度も聞いたことがある。
そして「できればちゃんと教わって、もっとバスケットボールができるようになりたいんですけど、ゾーンって教わる機会ってないですよね」という声も同時に聞くことが多い。
ゾーンは攻めも守りも、流石に個人では練習ができない。
ゾーンに焦点を当てた書籍もあるが、やはり実際に練習をしなければ身につくものでもない。
大人向けのスクールやバスケ教室ではゾーンは教えないのか？
大人初心者向けのスクールやバスケ教室では、ゾーンを教えないのかというとそんな訳ではないが機会はとても少ないだろうし、少なくならざるを得ない。
初心者向けの練習となると、運動に慣れるための体の土台作り、姿勢、ドリブル、パス、シュートの基礎が優先される。
初心者向けの練習会で行われるゲーム（5対5）では、個人の練習成果が試しやすく初心者にもわかりやすいマンツーマンディフェンスが採用される。
ゾーンの練習課題
ゾーンを攻める時にはパス回しが有効だが、初心者にはスムーズなパスはまだ難しい。
さらにスリーポイントシュートが有効だが、初心者が届く距離ではない。
ゾーンの攻守ともに位置ごとの役割やポイントもある。
初心者だけではゾーンの練習は組みにくいという実態もあり、まずは個の能力向上ということもあってマンツーマンがベースとなる。
パス力やシュート力など、実力のついてきた初心者なら練習にならなくもないが、そういったレベルの方を丁度良く集めるのも都合よくいかない。
初心者向けにゾーン練習を組むのはなかなかに課題が多いのだ。
ピックアップゲームでは何となくでしか学べない
練習機会がないことからピックアップゲームでゾーンを経験して学ぼうとしても、見様見真似の何となくでしか学べず中途半端になってしまう。
ピックアップゲームでは、誰かに丁寧に教えてもらえることは期待できない。
参加者は皆、自分がプレーして楽しむことが目的だからだ。
なお、ピックアップゲームでは自チームに初心者がいる時、経験者間で「ゾーンはわからないだろうからディフェンスはマンツーマンにしましょう」という話し合いがされることもある。
しかし、対戦相手は容赦なくゾーンディフェンスで守ってくることもあるので、やはりゾーンの攻守を知っておく必要はあるのだ。
数カ月に一度の定期でも
大人初心者向けにバスケのサークルやスクールを開催されている方の助けがやはり必要である。
前述した通り、初心者対象にゾーンをレクチャーするのは開催側としても工夫が必要で容易ではないだろう。
ゾーンを練習課題と掲げた時に、人が集まるのかという懸念もあるだろう。
しかし、次のステップアップのために、どこでもバスケットボールを楽しめるように、ゾーンのレクチャーも検討いただきたい。
頻繁に行うでもなく事前告知をした上で数ヶ月に一度の「ゾーン研究会」のような開催でも良いのではなかろうか。
そして経験者の協力も必要で、そのような機会があれば一緒に参加をし、フォローしたり良いお手本になってほしいと願う。
バスケットボールを始め、もっと楽しむために、少しでも上達したいと行動した先に直面する課題で自信を無くす様子を見るのは、なんとも忍びない。
同じ気持ちの経験者もいるのではないだろうか。
初心者の方には、何よりバスケットボールを楽しんでもらいたい。
不定期でもゾーンに関する練習会があれば、そこはゾーンに対して迷える初心者の拠り所になるのではないだろうか。
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