こんにちは、みやざき潤です!
昨シーズン、補強禁止の中でJ1復帰を掴んだジュビロ磐田。そしてJ1復帰後初戦となった、ヴィッセル神戸との開幕戦はJ1屈指のプレス強度を誇る昨シーズンJ1王者に前に0-2で屈してしまい黒星スタートとなってしまいました。
そんな中で迎えた昨シーズンの天皇杯王者と迎える第2節のアウェー川崎フロンターレ戦へ、今回自分も行ってきましたのでまとめさせていただきました。
ぜひご覧ください!
両クラブの開幕まで
今シーズンのオフも活発な移籍ニュースが飛び交う中、Jリーグ全体を通じてもインパクトの強い移籍となった川島永嗣選手のジュビロ磐田加入。
日本史上屈指の経験を持つ元日本代表GK加入のインパクトを残したジュビロ磐田の補強はそれだけに留まらず2023年の大晦日にはブラジル国籍選手を一挙4名獲得するなど昨シーズンの”補強禁止”から一転、積極的な補強を行い15名もの選手が加わり、昨年までの10シーズン中J1とJ2をちょうど半分ずつ過ごしていたJ1・J2の往復生活への別れを告げるための本気度を開幕前から示しました。(※加入と同時に栃木SCへ期限付き移籍をした中島佳太郎選手を加えれば実質16名)
一方の川崎フロンターレは、過去7シーズンで2度の連覇を含む4度のJ1優勝をするなど盤石の強さを誇り、昨シーズンもリーグ優勝こそ逃したものの天皇杯王者には輝いており、今シーズンも新たなタイトル獲得のため、オランダから逆輸入型Jリーガーファンウェルメスケルケン際選手や、開幕前に行われていた「AFCチャンピオンズリーグ ラウンド16」や開幕戦で得点をあげるなど早くも大暴れの予感が漂うエリソン選手などを補強しています。
そんな補強解禁の「昇格組」ジュビロ磐田が手堅い補強でパワーアップした「天皇杯王者」川崎フロンターレとのアウェイ戦に臨む構図となったこの一戦。
ホームで「J1王者」ヴィッセル神戸相手に強度の違いからチャンスをなかなか作れず0-2と完封負けを喫したジュビロ磐田と、アウェイでの「神奈川ダービー」湘南戦を2-1と逆転勝利で飾り好スタートを切った川崎フロンターレという対照的な開幕戦を迎えたことからも、川崎フロンターレが作るであろうチャンスをどれだけ古巣凱旋試合となる川島選手を中心としたジュビロ磐田の守備陣がどれだけ耐え、日本代表経験もありこちらも古巣戦を迎える大南拓磨選手らが守る川崎守備陣から数少ないチャンスをものにできるかが「J1復帰後初勝利」の鍵を握るとされていました。(※自分もそう思っていました)
川崎フロンターレ vs ジュビロ磐田 -衝撃の立ち上がり-
共に古巣戦となったジュビロ磐田のGK川島永嗣選手(※2007年から海外移籍する2010年まで川崎フロンターレ所属)、そして川崎フロンターレのDF大南拓磨選手(※ルーキーイヤーの2016年から2019年までジュビロ磐田所属)もスタメンに名を連ねた金曜日ナイターは、話題性に富んだ華やかな立ち上がりを見せます。
前節のJ1王者との開幕戦、王者の強度に消極的なプレーが目立ちホームで完封負けを喫したジュビロ磐田はミスを恐れず積極的なプレーを見せます。ですが前半3分、自陣でプレスを受けつつ簡単には蹴り出さずビルドアップに挑むもボールをカットされてピンチを作ると早速危険な位置でFKを与えてしまいます。このピンチはなんとか逃れます。
開幕戦同様立ち上がりからピンチとなって開幕戦同様消極的なプレーが増えそうなシチュエーションではありましたが、同じ轍を踏まないと繋ぐ姿勢を崩さずにいるとピンチを作った直後前半6分に左サイドを連動したパスワークで崩して左SBの松原后選手が左サイドからクロスをあげると中のジャーメイン良選手には合わなかったものの右SBの植村洋斗選手が流れたボールを完璧なトラップでシュートモーションに入り2タッチ目には左足一閃!
ポストに当たったボールがそのままゴールに入り、日本代表コーチ名波浩さんが視察する一戦で「昇格組」ジュビロ磐田が先制に成功します!
なお、開幕戦に続き本職はボランチながら右SBで出場を続けている遠藤保仁選手の背番号「50」を継ぐ大卒ルーキー植村洋斗選手が利き足とは逆の左足で決めたこのゴールはジュビロ磐田のJ1復帰後初ゴールになるとともに植村選手のプロ初ゴールにもなりました!
なお、アシストを記録した松原后選手は今回の植村選手のみではなく、2022シーズン当時の高卒ルーキー古川陽介選手、そして2023シーズンも当時現役高校生だった後藤啓介選手のプロ初ゴールをアシストするなどプロの一歩目を引き立てる兄貴分な活躍を見せます!
(これが後輩選手から慕われている理由かも?)
ただ、これだけに留まらず前半18分には積極的なプレスから平川怜選手が左サイドでボールを奪うとそこから左サイドでパスを繋ぎ、左SB松原后選手のクロスから今度はジャーメイン良選手が打点の高いヘディングで今季初ゴールを記録し、2-0。さらに前半29分には左サイドのスローインから5人の連動した崩しでエリア内に松本昌也が侵入しかつてのチームメイトの大南拓磨選手のマークを振りはらってヒールでマイナスのラストパス。その完璧なお膳立てをジャーメイン良選手が落ち着いて流し込み3-0。前半30分でアウェイのジュビロ磐田が「天皇杯王者」川崎フロンターレ相手に3点差をつけてリードする衝撃的な展開となります。
もちろん、ボール支配率30%前後を推移していてボールを持たれる展開が続いていた中でも川島永嗣選手やプロ初ゴールを記録した植村洋斗選手ら守備陣が要所を締める守備で失点を許さず想像以上、むしろ理想以上の前半となりました。
立ち上がりを超える展開
この試合結果を知っていた人が「ジュビロ磐田4失点するよ」と言った際に前半30分までの展開を見てそれが真実だと信じる人はなかなかいなかったかもしれません。そしてもし信じたとしたら川崎フロンターレにとっては怒涛の逆転勝利、ジュビロ磐田にとってはトラウマ級の逆転負けを想像した人が多いのではないかと思います。
そして4失点が嘘ではないという予兆となるかのように前半36分にパスミスを奪われ、リカルド グラッサ選手がスライディングでブロックするもそのこぼれ球を川崎FWマルシーニョ拾われ、そのドリブルをなんとか中村駿選手がカットするも再度こぼれ球をマイボールにできずシュートを撃たれるも伊藤槙人選手がシュートブロックし気持ちでゴールを死守し続けますが、そのこぼれ球をエリソン選手に決められ3-1と1点を返されます。
前節の神戸戦同様にJ1の厳しさを痛感する波状攻撃に失点を許してしまうと同時に、この試合から新たなスタジアム名になった「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」に集まったホームサポーターが盛り上がります。
その後は互いに粘り強く戦いスコアを動かさず3-1で前半を終えます。
2点差を追いつくためホームチームが早速メンバー交代をして迎えた後半。2点差を守りに行くかと思われたジュビロ磐田が早速仕掛けます。後半開始1分、ボランチの上原がペナルティエリア内まで侵入していくとそこから1人剥がして逆足でシュートを放つも枠外。惜しいシーンを作り、4点目を匂わせます。
ですが、そんな簡単には勝たせてくれないのがJ1、そして天皇杯王者でした。そこからは攻め込まれる時間帯が続き後半10分に再度エリソン選手に決められて3-2。残り35分時点でついにリードが1点となってしまいました。
「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」に集まったホームサポーターが盛り上がる中、1点差となって間も無い後半14分、ついにホームサポーター歓喜の瞬間が訪れてしまいます。川崎フロンターレの攻勢をなんとか身体を張ってブロックし続けるもこぼれ球を今度はマルシーニョ選手に決められて3-3。とうとう追いつかれてしまいます。
3点のリードを追いつかれたことや、相手が優勝候補の天皇杯王者であること、さらには金曜日の試合にも関わらず20,000人以上が集まったホームの大歓声。ボールポゼッション70%を超える中でさらに攻勢を強めて逆転へ突き進むホームチームに対し、「昇格組」としてアウェーで王者相手に勝ち点1を持って帰ることも大事であるため4点目を奪うのか4失点目を防ぐのかメンタル的にも難しい局面となります。
そんな中、ジュビロ磐田の横内昭展監督が動きます。後半19分にポストプレーが得意な長身FW マテウス ペイショット選手と、J屈指のドリブラーMF 古川陽介選手を投入し、後半29分にはポリバレントに2列目をこなすMF 藤川虎太朗選手もピッチへ送り込んで攻撃性のある采配で4点目を奪いにいきます。
逆転されそうなピンチを何度か迎える中、昨シーズンのJ2ベストイレブンにも輝いたリカルド グラッサ選手や伊藤槙人選手、そして川島永嗣選手を中心とした守備陣がなんとか堪えて逆転は許しません。
一方、ジュビロ磐田は前半立ち上がりに比べてチャンスを作る回数も少なく逆転までは時間の問題かのような雰囲気も漂いかけるも後半30分に途中出場3選手であるペイショット選手の中盤でのタメからあがってきた藤川選手へスルーパスを通し、そして藤川選手のアーリークロスに逆サイドの古川選手がペナルティエリアまで走りこみ反応するもあと一歩届かずゴールとはならなかったものの、ジュビロ磐田に再び得点のムードを運び、ジュビロ磐田サポーターも盛り上がります。
するとその直後の後半31分、ビルドアップから植村が一瞬の隙をついてスルーパス。ラインコントロールを制してそのパスに反応し抜け出したジャーメイン良選手がペナルティエリア内で倒されてVARの末にPKを獲得!
3-0を追いつかれたアウェイ戦でハットトリックがかかるPKをジャーメイン良選手がGKに読まれようが届かない左上隅に豪快に決めて4-3!ジャーメイン良選手のプロ入り初のハットトリック達成とともに再度リードを奪う貴重なゴールになりました!
ですがここで終わらないのが等々力劇場。川崎フロンターレの鬼木達監督がベンチに残っている全攻撃的ポジションの選手4名を加え何がなんでも追いつくための布陣を組みます。
するとその直後、交代ではいったFW 山田新選手がエリア内で倒され今度は川崎フロンターレにPKが与えられます。ハットトリックのかかったエリソン選手がいる中で2000年生まれの若手、山田選手がキッカーを譲らず古巣凱旋の川島永嗣選手が守るゴールをこじ開けて再度同点に追いつき、再度スタジアムが沸きます。
この状態での4-4で提示されたアディショナルタイムは9分。ホームチームの逆転、そしてアウェイチームの3度目となるリードを奪うにも充分な時間が残されました。
そして迎えた後半アディショナルタイム入ってすぐの自陣からのフリーキック。リカルド選手の大きなフィードからペナルティエリア手前でペイショット選手が競り勝つとペナルティエリア内に抜け出したジャーメイン良選手が川崎フロンターレの瀬川選手との競り合いを制してGKと1対1となり落ち着いて流し込んで脅威の4点目をあげ5-4!三度リードを奪ったかに思われます。
ですが、まだまだドラマは続きます。この得点にVARが介入し、瀬川選手との競り合い時にジャーメイン良選手のハンドがあったとして得点は取り消しに…。そして今度は取り消しとなった直前の瀬川選手のプレーがハンドとなり得点は取り消されたもののジュビロ磐田にPKが与えられます。
得点したのに取り消されてPKとなったことにジュビロ磐田陣営も混乱し、事情がわからないジュビロ磐田サポーターもざわつきます。(自分も現地では何が起きて得点取り消しからPKになったのかわかっていなかったです)
飯田主審に説明を求めるジュビロ磐田の選手たちを後半途中に山田大記選手からキャプテンマークを引き継いだ上原力也選手が落ち着いてなだめます。そしてその状況にもう一人落ち着いていた選手がいました。それがPKキッカーのジャーメイン良選手です。
3-0から追いつかれ、自身のハットトリックでもう一度勝ち越すも再度追いつかれ、そして後半アディショナルタイムに勝ち越したかと思われた4点目が取り消される展開。その中でこの試合2度目のPKを1回目と同様左隅に落ち着いて蹴り込んだジャーメイン良選手。強靭なメンタルで自身のJ1キャリアハイの3得点を1試合で更新する4得点目を叩き出し、三度ジュビロ磐田がリードを奪います!
5-4で迎えた後半アディショナルタイム。当初の予定では9分だったものの、VARの介入もあり試合時間が100分を超えてもなかなか試合が終わりません。その間、攻撃的なポジションの選手が大半を占める川崎フロンターレの猛攻が続きます。コーナーキックやフリーキックを一つ一つ凌ぎ、最後にはGKもあがってきたパワープレーに何度もピンチを迎えまが守り切り、アディショナルタイムが約倍の17分となる107分の針を超えたところで試合終了!!
壮絶な展開が終始続いたビッグゲームはジュビロ磐田がアウェイで天皇杯王者を下してJ1復帰後初勝利を記録しました!
もちろん、3-0から追いつかれたことや再度勝ち越してからも追いつかれたことなど課題はありつつも大きな勝ち点3を掴みとり、今シーズンの飛躍に期待を感じる試合となりました!
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