みなさんごきげんよう、卓球してますか?
糀卓球放送局です。
不定期で動画を投稿している当チャンネルですが、以前このようなトンデモ動画を投稿しました。
卓球競技のボールのサイズは過去に変更されており、2000年に38mmが40mmになりました。理由としてはラリーの高速化や回転量の多さによって返球が難しくなりすぎ、競技性に欠けると判断されたためです。
こちらの動画は「もしもボールサイズが小さくなり続けたらどうなるか」というIFのお話なのですが、架空の競技の進歩を考えるのは大変でした。詳しくは動画をご覧ください……と言いたいところですが、前提としてボールサイズが変わるとどうなるかの知識がないと理解がしにくいかもしれません。そもそもが仮定の話なので果たして理解しようというその行動に意味があるのかという根本的な問題はある。
そんなわけで今回は、卓球競技から切り離すこと出来ない「ボール」についてお話させていただきます。
卓球のボールは今までで、大きく2回変化が起きております。そのうちの1回が先述の2000年、ボールサイズの変更です。38mmのボールと、規格変更後の40mmのボールが登場するわけなのですが、この変化で何が起こるのか。
卓球はかねてより頻繁にルールが変更されていて、その目的は一貫して「プレーが継続すること」を目的とされていました。たとえばサービスを出す際、打球の瞬間を隠してはならない、というルール。打球面がわずかに変わるだけでボールの回転軸が変わり、適切なレシーブがとれなくなってしまいます。それによってミスが起こり、ラリーが停滞してしまう。
他にも「ラバーは両面に同じ色を貼ってはいけない」というルール。今でこそ当たり前のルールですが、昔は両面同色のラケットが認められており、摩擦係数の違うラバーを貼ってラリー中にラケットを回し、同じスイングから異なる回転のボールを操ることで相手のミスを誘う戦術がとられていた時代がありました。
ボールサイズの改定も本筋は変わらず、ラリーを継続させることが目的でした。では、ボールが大きくなることがラリーの継続にどう影響するのか。
ボールが2mm大きくなることで、空気に触れる面積がその分大きくなります。研究によるとボールの初速は38mmと40mmでは変わらないというデータがあるようなのですが、卓球のボールは約2.7gと非常に軽いため、その分空気抵抗による影響を大きく受けるといいます。向かってくるボールの速度が落ちると打球時の影響もその分減少します、ゴム製であるラバーへの食い込みが浅くなることで、回転をかけようとするラバーとの接地面積が減り、ラケットがボールに与える影響も減ってしまいます。
他にも要因はいろいろあるのですが、簡潔にまとめるとボールが大きくなることで様々な要素がスケールダウンし、打ちやすくなってラリーが続くようになります。
先述した2回の変化のうち、もう1回はボールの材質の変化です。2010年頃に材料がセルロイドからプラスチックへと変更されました。これは原材料となる高品質なセルロイドの調達が難しくなったことや、燃えやすいため航空機への持ち込みを拒否されたことがあるなど、様々な問題を回避するためを選択です。
プレイヤー側への影響としては、プラスチック球はセルロイド球に比べて回転がかけにくいため、上記と同じ理由でプレーが続くようになりました。筆者は学生時代後期、選手としての競技卓球を引退した頃にプラボール化が始まったので正直あまり影響というか、変化の波に飲み込まれる位置には居なかったのですが、当時はより弾むラケットや、より回転のかかるラバーに変更してもとのセルロイドボールの時の感覚を再現し、対応しようという動きがあったように思います。威力を求めてより硬いラバーに変えたり、元のような打球感を重視してスポンジの柔らかいラバーに変えたりと、様々な工夫が見られました。
そんなわけで、卓球のボールはラリーを継続させる、つまりは見ていて楽しいスポーツにするために変化してきたというわけです。サービスが決まって相手のミスを誘っても1点、何回も続く激しいラリーの末に爆速のスマッシュで相手を打ち抜いても同じく1点ですが、どちらの方が見ている観客を楽しませられるか、競技を運営する側は考慮しなくてはいけませんね。
そんなすべてを逆方向に発展させるとどうなるか、もしご興味があればぜひ動画の方もご覧ください。
今回はここまで。
余談ですが、最近さらにサイズの大きい44mmのボールを使う「ラージボール」卓球をプレイし、とても楽しかったです。ラージは簡単に言えば軟式卓球という感じ。普段なら見送るしかないようなボールでも、ボールが遅くて的も大きいので手が届くため返球でき、とてもダイナミックな展開が何度も続きました。アミューズメント施設なんかの卓球コーナーにラージボールが置いてあるところも見かけたことがあるので、是非プレイしてみてはいかがでしょうか。
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