【サッカー・本田圭佑】4v4 U10全国大会総括!今大会参加者に本田圭佑氏が伝えたかったこと

目次

4v4 U10 初年度の集大成!全国大会レビュー

「日本サッカー協会(JFA)が主催する4年生以下の全国大会がない」という話を受け「U10年代の全国大会を」と本田圭佑氏が発起人の大会「4v4 U10」。早速形にしてみせた。

先日、4v4 U10の全国大会を「ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA」で開催。

本田氏自らも考案に携わったルールは、小学生年代だと通常のサッカーに8人制サッカー、フットサルなど既に様々な練習が行われているが、それらとの主な違いを端的にいうと、ゴールが決まったらその瞬間に自陣からリスタートできることやキックインの場面でドリブルインが選択でき、20秒のショットクロックが設定されていることが挙がる。何よりも大きいのが監督なしという独自ルールの採用だ。フィールドには大人がいないため、選手自らが交代やタイムアウトの判断をすることになり、子どもたちの自主性も促すルール設定となっている。

4v4
育成年代向けに開発された新しい4人制サッカー大会 | 4v4 昨年大きく盛り上がった 4 人制サッカー 4v4 の '24 SEASON がついに開幕。U10 に加え U12 カテゴリも追加された今季大注目のイベントを見逃すな!

ルールの詳細はこちらから
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NowDo on Notion
競技ルール | Notion ※記載のないものに関しては5人制のフットサルルールに準じる。

我々は既に先日全国大会予選ラウンドを取材しているので、こちらも是非ご参考に。

4v4 U10 全国大会予選ラウンドの内容はこちらから!
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全国大会予選リーグ1日目開会式〜負けても諦めないことの大切さを子供達に問う本田氏

全国大会予選リーグ1日目

開会式で子供達の前に現れた本田氏は早速金言を賜る。

「負けず嫌いな人、手を挙げて!負けず嫌いなことは大事。優勝するのは1チームだけ。今大会で大半は負ける。今後小・中・高と皆いっぱい負ける。その中でみんな脱落していく。諦めていく。負けても諦めないことが大事!決して勝った人間が残っているわけではなく、諦めなかった人間が残っていく。残った人間が成功する。負けたチームも落ち込まず、しっかりと切り替えて。怪我なく大会を終えられるように」(本田)

と、自らの経験も重ねながら、勝ち負けより大切なことを冒頭で伝えたかったのであろう。

開会式や集合写真撮影後の囲み会見で本田氏はウルスポナビゲーター・こにわの質問にまずこう述べた。

ー今年から始まったプロジェクトについての手応えは?

「思った以上に反響があった指導者や監督がいないという部分について、参加して下さった親御さんの反応は想像以上。実際の参加する母数に関してはU-10の参加者は全国の15%ほど。85%くらい全国に参加していない子がいるのは正直納得がいっていない。子供達というよりは大人のせいかもしれないがきっかけがなく与えられなかったという点では運営サイドとしても反省点」

ー最初はプレーすることに注力しがちだが、この大会を続けていくことで将来ペップ(グラウディオラ)やモウリーニョのような指導者が生まれてくるのでは?

「そういうポテンシャルはもちろんある。サッカーに限らず、サッカー以外の分野でもリーダーシップを取れるような人材が生まれていけば。仕組み的には自分で考えざるを得ないルールになってますので、そこが今の教育ではなかなかこういった機会が子供達に減っているので、サッカーというツールですがそこからサッカー以外の分野にも影響力を与えられることができれば」

ー4v4アジア版は考えているか?

「はい、考えています。アジアなど世界へできる限り広げていきたいと思っている。ただ、調べれば調べるほど国によって事情が違うので簡単ではないですが、4v4という競技の特性を考えても将来サッカーに生きるのでそういうことを理解していただければ。特にサッカー後進国と言われる国がこれを積極的に導入するという流れになるのでは。実は頭出ししている国には2024年にやらないかというアプローチはしているがもちろんリソースの問題もあるので、本当に2024年実現できるのか。もし2024年に実現できれば、最短だと2025年に優勝チームを集めて小さなアジアカップなどのプランはある。ただまだ設計段階なので実現できたらとは思っている」

大会には保護者はもちろん、中には元Fリーガーも教え子達の観戦に会場へ足を運んだ。

「今はMETA SOCCER SCHOOLとして全国に出るような高校やパーソナルでドリブルやプレー分析とかを教えてます。スクールをやるよりは個人でやる方が面白い。若いJリーガー、古巣の浦安でも個人で教えてます。この企画や取り組みが面白い」
という元浦安の岩本昌樹氏や

「今、GOTS Football Schoolを立ち上げて、その高知校の子達が2チームに分かれて出ているので応援に。この取り組みは面白いですね。レベルはまちまちでやり慣れているチームはイプシロンを使ってGKに対して利き足を切りながらとかをやっていて実践的。縦に速い子とカットインが速い子でシステムに対する戦術アプローチの仕方が変わるので、そのアプローチが嵌れば良いけど通用しない部分もある。戦術以前に初見で当たるチームが多いので試合の中で対戦相手の選手の癖にアンテナを張らすのは大事だし、それを選手達で対策できるようになると今大会の出場意義が大きくなる」

と今大会の意義に大阪、神戸、すみだなどでプレーした内田淳二氏も共鳴する。

大会は全国大会決勝以外全試合SPORTS BULLにて生中継。その大会結果にも簡単に話を触れたい。

大会で特に目立っていたのが全員女子のチーム・ウナティーだ。ウナティーはウナプリマヴェーラとリバティーの混合女子チームで、スキルはもちろんフィジカルベースが高く、男子チーム相手にデュエルで圧倒。男女のフィジカル差が出にくいのも小学生年代の特徴である。

ウナティーはその後決勝トーナメントへ進出。残念ながらベスト16で敗戦も大きなインパクトを残した戦いぶりであった。

全国大会決勝〜スペシャルチームと夢の競演

全国大会決勝は横浜国際プールで開催!まず感じたのはU10の大会としては考えられないくらいの非日常空間の演出だ。これには観戦に行った方も度肝を抜かれたであろう。決勝戦の模様はABEMAで生中継され、解説を槙野智章氏、実況を寺川俊平氏が行った全国大会決勝。

決勝はSETA-boy(東京) vs Compania(東京)という元々同じ所属チーム同士の一戦に。

試合はCompaniaのGKグエン君の攻守の活躍もあり、CompaniaがSETA-boyに4-0で勝利。初代王者はCompaniaに決定!

決勝戦終了後、優勝チームであるCompaniaと本田圭佑率いるスペシャルチームと夢の対決スペシャルマッチが行われた。スペシャルチームには本田圭佑の他に、長友 佑都、遠藤 保仁、乾 貴士、家長 昭博、酒井 高徳、宮市 亮、李 忠成と元代表選手だけでなく、現役のJリーガーも参加する錚々たるメンバー。

Companiaが大人顔負けのプレーで応戦するも一歩及ばず。試合は6対4でスペシャルチームが勝利した。

その後は本田チーム、長友チームに分かれスペシャルチーム同士のレジェンドマッチも開催。試合は白熱しPK戦に。最後は本田圭佑がPK戦を制す。会場は元代表選手揃いの対決に大いに盛り上がった。

次回はU12開催や大人大会も?本田氏の更なる野望とは?

決勝後の囲み会見には多くの報道陣が。代表質問を含め他のメディアの主な質問に対する回答は以下の通りです(なお、その中にはJFAのライセンス制度について言及する場面もありましたが、今回の大会と逸れた話になっているため割愛致します。ウルスポShortsの動画としては公開する予定です)。

「無事に終わりほっとしている。今までイベントでゲストとして呼ばれることしかなかったので、あまり余計なことを考えず、行って自分が何をするかということだけでしたが。運営として昨夜遅くまで準備しているスタッフがいたり。今までそういう視点でなかなか物事を考えられなかったので、そういう所まで全体的に見ながら、スペシャルゲストも子供達も大きなトラブルもなく終われてほっとしているというのが運営者としてのコメントです。
選手としては怪我も良くなってきているかなと。今日あれだけやって膝は問題なかったので、復帰へ向けた再チャレンジを来年度どこかでやりたい。ただ、立場的には監督という所も考えたりしますし、選手を続けるということはトッププライオリティではないので、色々全体像を見ながら意思決定をしていけたら。
また、運営者としての意見ですが、中期的には世の中にはあまり盛り上がりきれていない大会とか競技とかがサッカー以外にもあって、そういった分野にも広げていきたいと思っていますし、短期的には2024年U-12の世代に広げて、大人にも広げて。中・高は部活動などで充実していると思いますので、小学6年生も既に全国大会はあるんですが、違う選択肢があっても良いのではと思っている。どこのタイミングで決勝のイベントをやるかわかりませんが、2024年も今回と同じようにイベントとして盛り上げていけたらと思っています。U12開催に関しては今回純人数で約8000人が参加したんですが、そのほとんどの子供や親御さんなどから『来年は4v4やらないんですか』っていう声が数多くありそれが大きな意思決定の要素になりました。その際決勝のイベントをどうするかの設計が必要になりますが。大人の大会に関しては例えばですが、もしチームの許可が下りたらですが、プロチームの練習の中でのミニゲームの一部分を勝手に4v4の運営チームが仕切って大会化してポイントを付与するのも面白い」

と、色々なことを語った。他にも今大会に関してスペシャルゲストも様々な意見を述べている(こちらもウルスポShorts動画で公開)。

「本田さんに誘われたらどこでも行きます(笑)。ルールを初めて知った上でプレーしたんですが、展開がスピーディーで攻撃的というか、技術が全面に出る試合ができるのは育成年代で大事なこと。意外にハード。GKも攻撃参加できて、選手達が戦術的にできることは成長過程で大きい」(酒井高徳)

「PKで僕が外して圭佑に決められたのが悔し過ぎてもっと走り込みます。U10の子達が僕たちに負けたくないっていうのが伝わってきたので僕たちも負けたくないって意地を見せられたんじゃないかと本気になりました」(長友佑都)

「本田さんに誘われて小学生年代にとってもすごく良い機会だと思いましたし、プロから受ける影響は僕自身もあったので参加しました。レジェンド過ぎて自分がいてもいいのかなと思いましたが楽しくできた。今のU10の選手はうまい。楽しみ」(宮市亮)

「やるからには本気でやろうかって圭佑に言われたので。4v4はスピーディーですよね。本田圭佑の性格が現れてますよね。観客を飽きさせない。今のU10の子達は確実に上手くなっている。足裏の技術も上がってますし30年後の代表が楽しみ」(李忠成)

「普段と全然違う難しさがある。意外に激しくなったのでしんどかった。今のU10の子達は上手い。4v4のトレーニングに取り入れても面白い」(乾貴士)

普及にも影響?本田氏が危惧する都市部と地方との普及格差

囲み会見にて、初日のこにわ氏への発言を受け、今度は私が質問した。私の質問に対し本田氏はこう語っている。

ー初日に今大会の参加者がU10全体の15%であることを気にされていたが、残り85%の部分、不参加の子供達を呼ぶために、告知の部分も含め、本田氏は今後の大会でどういうアイディアを持っているか?

「(参加者がU10全体の15%であることは)結構深刻で非営利団体としてやっていないんで。今回でいうと東京のチームが優勝しましたし、決勝も両方東京のチーム。全国も含め都会のチームが多かったんですよ。皆さんもご存知だと思いますが、教員の長時間労働が問題となって部活動の地域移行とかが進んでいて。ただ真剣に考えた時に中・高の部活動ってボトムアップとして最高の環境だと思うんです。ここにいる皆さんも何かしらの部活を経験されたことあると思うんですよね。これ実は当たり前ではなくて、他の国ではなかなか見れない。そこからのプラスアルファーじゃないですか、スーパースターが出るとか、良い指導者がいる環境で選抜チームを作っていくとか。それがなくなっていく環境になるんだろうなと思うくらい、今回の4v4を見ていても経済格差と教育格差が密接に繋がっている。それはこのくらいの年代でも親が熱心で経済的に少し恵まれていて、子供に良い教育を受けさせようとしたら習い事を何個かやらせて。少年団に入れてスクールも習わせて、さらに4v4をやらせることになる。今回データを見て色々と分析をすると地方になるほど経済的な理由もありそこへの関心が薄い。これでさらに部活動が地域移行になったらスポーツをやる人が減るかもしれない。めちゃくちゃ英才教育を受けお金を投入される家族の子供か、スポーツを何もしたことがない子供かが極端に分かれていく懸念は非営利団体じゃないんですが凄く感じている。何が言いたいかと言うとビジネス上集中しようと思ったら、東京で盛り上げた方が経済的にも豊かで教育熱心な親たちが参加させる。ただ、それをやっていると田舎の方で全然盛り上がらなくて、全く全国大会に出ないということになっちゃうんで、全国に広めていく普及的な側面と、利益を上げないといけない営利団体としての課題の板挟みにあいながらやっていて、グループ全体で議論しています。答えが今の段階で見えているわけではないんですが、どっちもやっていくことだと思います」

今大会終了後、運営は順次リベンジャーズカップを開催。全国大会へ行けなかったチームや選手に少しでも子供達へ4v4での門戸を開き、負けたチームのチャンスを広げている。まだ第一回ということもあり課題はある。だが、まずは順調なスタートを切ったと言ってよいのではなかろうか。本田圭佑氏の挑戦はまだ始まったばかりである。サッカー界の未来のために。

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この記事を書いた人

南 英博のアバター 南 英博 ULTRA SPORTS 編集長

世界初のクラウド型スポーツメディアである「ULTRA SPORTS 」WEB版の編集長に就任。当サイトはアスリートのセカンドキャリアを応援し、将来的に様々な競技の参加者同士が自由に交流できるプラットフォームとすべく日々奮闘中。ライターとしての顔も持つ。フットサル、高校野球の取材経験あり。高校野球は主に埼玉担当。

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