【MLB】マイナー生活13年で1154試合出場の選手がメジャーデビュー。ただ初昇格ではない?

ピッツバーグ・パイレーツのドリュー・マッジーはこの時を十年以上、待っていた。
そしてプロ入りから13年が経過しマイナーリーグで通算1154試合に出場、4494回打席に立った後、ついにマッジーは現地水曜の対ドジャース戦で初のメジャーでの打席を迎えた。マッジーはその13年の間でこのような出来事を何度も思い描いたことだろう。しかしパイレーツの本拠地PNCパークの観客が、今打席に立とうとしているジャーニーマンを称えるために座席から立ち上がっていた中、当の本人はどう続けていけばいいのかわからなった。「僕は観客が自分の名前を呼び始めた時から、何をするのかすら分からなかった。自分がヘルメットを取っていただろうとも、確信がなかった。僕は打席に集中することを心がけ、さらにまたその出来事も楽しもうと努力した。自分の頭の中にはいろいろな感情があったし、今まで想像しえるのでは、最もクールな事だった」マッジーは試合後に記者の前でそう口にした。

その日は、ちょうどブライアン・レイノルズがパイレーツの歴史では最高額となる長期契約にサインした日であったが、マッジーは長く待ち焦がれたメジャーでの初試合、初打席をスコアブックに残した。そして、結果は4球目をスウィングし三振となったが、マイナーでの長旅を経てメジャーリーグの試合に出られたという事実から結果は二の次であった。そう裏付けるようマッジーは「自分の人生の中で、これ以上嬉しい三振はない」と笑みを浮かべそうコメントした。

マッジーは現地23日に昇格後(MLB公式のトランザクションによれば28日に現在は降格となっている)、最初の2試合は僅差の試合であった為にフィールドに立つことがなく、MLB公式の記事によれば、その日の間でパイレーツの何人かの選手はツインズ時代マッジーと共にした監督のデレク・シェルトンに対して尋ねる場面があり、シェルトンは自分の家族からでさえもマッジーの出場をせがまれることがあったそうだ。「私の妻がこうテキストしてきたんだ。”イタリア系の子がプレーするのはいつのになるの?”っていうのをね」シェルトンは語る。

ただドジャースと対戦したこの試合、7回に5点差あった事も手伝い、ヒットの嵐が8点差にリードを広げたことから、シェルトンはチームのコーチ陣の存在感を感じ始めた。それはコーチ陣がシェルトンにしてほしい事を当の本人が悟っていたからかもしれない。そして8回裏にアンドリュー・マカッチェンの打順が迫る中、マカッチェンはシェルトンの為にある決定を下した。
シェルトンはその時の出来事をこう口にする。「私がカッチ(マカッチェンの愛称)と話をするとき、私は彼が意見を変えるとは思わなかった。私はまた彼が来ているトレーナーを脱ぐとは考えもしなかった。そしてもし私がカッチに伝えていなくても、私におそらく伝えたことだろう」

そしてマッジーが打席に向かって歩いていく時、観客はすぐに今から目撃することになるであろう出来事の重大さを認識し、自分たちの座席から立ち声援を送った。そのことを察してドジャースの捕手オースティン・ウィンズ、本塁審判のジェフ・ネルソンはバッターボックスから離れ、マッジーにその光景を見渡すための機会を与えた。マッジーはその反応にどう答えたらいいか分からなかったかもしれない。しかしバッターボックスに足を踏み入れた時、何をすべきは分かっていた。それは、初球にスイングすることだった。ドジャースのリリーフ左腕アレックス・ベシアから、マッジー曰く「自分のボールだった」という直球が投げ込まれ推定飛距離270フィートの打球を引っ張った。しかしレフト線に切れファールとなった。

「僕は後悔するだろう。ただ僕はまた何年も何年もいろいろな人から批難されもするだろうし、初打席について話して”ああ。僕は初球をスイングしたんだ。”と言うだろう。何年も僕は皆にそう伝えている」マッジーは初球についてそう述べた。

その後、ピッチクロック違反で0ボール2ストライクとなり、ベシアの二球目真ん中に入ってきたストレートをまたファール。さらに、打席が進むにつれて歓声が大きくなっていき、球場にいるほとんどの人がマッジーの名前をコールし始めた。つづく3球目はボールを選び1ー2としたが、スライダーにバットが空を切ってしまい、その日は役目を終えた。

そして翌日の木曜日、6対2でドジャースに勝利した試合でマッジーはメジャーで始めて先発出場を果たし、キブライアン・ヘイズがレギュラーで務める三塁を任せられた。ただまたしても3打席立ってヒットを得られなかった。「我々はデイゲームの今日にキー(ヘイズの愛称)とサンタナを休みを与える予定だというのを知っていた。私はマッジーにラインアップカードを与えるために呼んで、彼が歩いて去る際私はこう伝えた。”君は初打席を得た。そして今、初の先発出場を得ることになる。”と。どんな時でも、そのような出来事があるのは特別だ」シェルトンはそう述べた。

この試合3打席立って初ヒットを得る事はなかったが、6回裏にドジャースのセンター、ジェイムズ・アウトマンがウォーニングトラックでキャッチした推定飛距離360フィートの打球を打った際、PNCパークを興奮へと変え、守備ではその次の7回にオースティン・バーンズが放ったゴロをさばきファーストのコナー・ジョーへと送球。初の捕殺を記録した。

またマッジーが初出場後「どうあらゆることが動いていたかと合わせ、ピッツバーグに戻る事は、これはふさわしいシチュエーションだった」と述べるように、2010年ののドラフトでパイレーツに指名されその後退団するまでの最初のプロ6年を過ごしたマッジーが、古巣に戻る事を意味するものであった。だが昇格を果たした現地日曜日はメジャーへの初昇格ではなかった。

というのも2021年シーズン、マッジーがミネソタ・ツインズのメンバーだった時、ケガでロスターに空きが出たため、メジャーへと昇格を果たしていた。しかし、ミネソタでの最初の試合、そして2試合目もベンチを温める事となり9月20日にツインズは、残りのシーズンを過ごすこととなるトリプルAセントポールへと送った。そのため、マッジーが出場機会がないまま昇格となった時、”幽霊選手”(つまりロスターには名前が載ったが出場する機会が貰えなかった選手)として知られるようになってしまっていた。だが1年と半年後、そのような肩書はマッジーの元にはもうなくなった。

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引用元:www.usatoday.com

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