12月10日(土)に川崎市で行われたアメリカンフットボールの試合を見に行ってきました。
X1 SUPERと言うリーグのotonari福岡SUNS(おとなりふくおかさんず)
と
X1 AREAと言うリーグのPentaOceanパイレーツ(ぺんたおーしゃんぱいれーつ)
との試合。
勝った方が来シーズン、トップリーグのX1 SUPERでプレイをすることができるという、いわゆる「入替戦」です。
SUNSは残留を、パイレーツは昇格をかけて戦いました。
日本の社会人アメリカンフットボールリーグ「Xリーグ」は、トップから
X1 SUPER、X1 AREA、X2、X3
と言う4つのリーグで構成されています。
トップリーグのX1 SUPERの12チームのほとんどが、関西か関東に本拠地を構えています。
その中で、otonari福岡SUNSだけは、唯一本州外のチームで、九州の福岡を本拠地としています。
SUNSは2017年に創設して、X3のリーグ戦を全勝で終え、入れ替え戦に勝ち2018年にX2に昇格。
2018年もX2で全勝、入れ替え戦にも勝って2019年にX1 AREAに昇格。
そして2021年に5勝1敗でX1 SUPERに昇格しました。
この間の成績は、21勝4敗と言う驚異的なものでした。
ここまでは順調に勝ち星を重ねて昇格を繰り返してきたのですが、トップリーグのX1 SUPERでは苦戦しました。
0勝5敗…
全敗でシーズンを終えました。
X1 SUPERのレベルは、とびぬけて高いものでした。
ところで…
いろいろと事情があって仕方のないことだとは思っていますが…
私は現在の、チームが関西と関東に集中している状態は、日本のアメリカンフットボールの発展にとって望ましくないと考えています。
もっと地方に分散してほしいと思います。
今の状態では、アメリカンフットボールの試合を見られる人は関西や関東の人、またはそこまで観に行く余裕がある人だけです。
これでは全国的にファンを増やすのは難しいでしょう。
また、地方の大学でアメリカンフットボールをプレイした人は、その先に地元でプレイを続けるという選択肢はなく、関西や関東に出ていくか、そこで競技人生をやめるか、しかありません。
さらに、地方の大学でプレイする選手のほとんどが、大学からアメフトを始めた人達です。
地方にチームがあって密着していれば、もっと若い頃からアメフトやそこから派生したフラッグフットボールをプレイでき、秀でたタレントを確保できることもできます。ですから、アメフトチームはもっと地方に進出すべきだと考えます。
しかし、日本では、アメリカンフットボールの選手は、競技だけでは生活できない、と言う課題があります。
Xリーグでプレイする選手のうち、プロのアメフト選手はほんの一握りで、大半の選手が他に仕事をしながらアメリカンフットボールをプレイしています。
ですから、仕事が多い関西や関東から抜け出せない、と私は考えています。
他にも理由はあると思います。
SUNSは入替戦の前日、地元の中学校でフラッグフットボールの大会を開催しています。
信じられますか?
大事な大事な入替戦の前に、地元のために、日本のアメリカンフットボールの発展のために、そんなことをやるなんて。
SUNSはこうやって、子供の頃からアメリカンフットボールに触れさせようとしています。
だからSUNSはX1 SUPERにいるべきだと考えます。
SUNSは九州の大学でプレイし、卒業後も地元に残った選手を多く受け入れてきました。
西南学院大学、久留米大学、福岡教育大学、宮崎大学、福岡大学などでプレイした選手です。
一昔前なら、これらの大学でプレイした選手がX1 SUPERでプレイすることは考えられませんでした。
まったくいなかったわけではないですが、SUNSほど多くの九州の大学出身者がいるチームはありませんでした。
九州の大学の出身者で、SUNSでプレイする選手の中には、来年1月22日(日)に行われる試合の全日本選抜の候補
伊藤嵩人選手
もいます。
SUNSはこうやって、地方の選手にプレイを続けさせる努力をしています。
そうすることが地方の大学でアメリカンフットボールをプレイする大学生の希望となっています。
ですから、くどいようですがSUNSはX1 SUPERにいなければいけないと考えます。
新潟に移転する予定のディアーズもまたX1 SUPERでプレイしなければいけないチームだと考えています。
しかしこの対戦によって、どちらかは入替戦にまわることになります。
順位決定戦は41-30でディアーズがX1 SUPER残留を決め、SUNSは入替戦に出ることになりました。
SUNSには入替戦に絶対に勝ってもらって、来シーズンもX1 SUPERでプレイしてもらわなければいけない。
でないと、日本のアメフト界の発展が遅れる。
そう思った私は、入替戦に行って、SUNSを応援することを決めたのです。
神奈川県に住む私ですが、福岡県の出身なので、単純に郷土愛からSUNSができたときから応援しています。
今シーズンは9月24日のリーグ戦と、前述の順位決定戦の2試合が関東で行われましたが、いずれも事情があって見に行けませんでした。
「入れ替え戦が川崎である、と言うことは、私に「SUNSの応援に行け」と言うことだろう」
と言う運命だと解釈して見に行くことに決めました。
ちなみに私はこれまで昨シーズンまでに2回SUNSの試合を見に行って、いずれもSUNSが勝っています。
12月10日も別件の用事があったのですが、なんとか都合をつけて、試合が行われる富士通スタジアム川崎に見に行くことができました。
対戦相手のパイレーツは、5勝1敗1分けでX1 AREA2位の成績をあげた強いチームです。
前半はSUNSが7-3でリードで折り返しました。
後半両チームが攻めあぐねている中、SUNSにビッグプレイが出ました。
WR横山海マクスウェル選手がパスを捕ると、そのままリーグ屈指の快速を飛ばしてディフェンスを振り切ってフィールドの半分以上を駆け上がってタッチダウンを決めました。
これがそのシーンです。
横山選手もまた、地方の大学の選手です。
九州ではなく中部の中京大学の出身で卒業後アメフトから離れていましたが、SUNSのオーディションを受け入団しました。
SUNSがなければアメリカンフットボールをプレイしていなかったでしょう。
しかしパイレーツも黙っていません。
タッチダウンをあげ14-9に迫ると、オンサイドキックで攻撃権を得ると、再びSUNS陣内に侵入。
タッチダウンをあげられると逆転のピンチです。
しかしこれをSUNSディフェンスが残り13ヤードで止めました。
試合はSUNSがそのまま逃げ切り、14-9で勝利。
X1 SUPER残留を決めました。
日本のアメリカンフットボールのトップリーグに、地方のチームを残すことができました。
SUNSは来シーズンはかなり補強しないとX1 SUPERで勝っていくことはできないでしょう。
これからもSUNSがX1 SUPERで戦っていけること、そして胎内ディアーズのように、地方にチームが拡散していくことを願います。
ひとつだけパイレーツのために書いておきたいことがあります。
今回はパイレーツを、まるで悪役のように読み取られるかもしれない形で書くことになってしまいました。
SUNSのX1 SUPER残留を望む側からに書いたので、そう言う形になってしまって申し訳ありません。
一つ印象出来だったことを書きますと…
この試合でも活躍した、パイレーツのベテランWR田上将太朗選手が、試合後SUNSのサイドにあいさつしに来てくれました。
そして、WR横山選手と会話をしていました。
2人とも背番号7。
私には田上選手が、若い横山選手を激励してくれているように見えて、とても感激しました。
最後にハイライト動画と関連ニュースを載せておきます。
ハイライト動画
関連ニュース
上の記事は、福岡のメディア「西日本スポーツ」のものです。
地方に移転すると、その地元のメディアが、マイナースポーツであるアメリカンフットボールのことを取り上げてくれます。
上にも置きましたが、新潟日報ニュースも、胎内ディアーズのことを伝えてくれました。
関東関西ではビッグゲームしか取り上げてくれない印象があります。
これもまた、チームが地方に分散するメリットだと思います。
「入替戦」と言うものは、両チームやファンにとって大事なものだと思います。
それに加え、地方のチームが残留を決めたこの試合は、日本のアメリカンフットボールにとって、とても意義が大きいと思います。
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