【高校野球】春季埼玉大会・地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

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川口市立 7-4 浦和実業

浦和市営球場の第2試合は、川口市立vs浦和実という地区大会屈指の好カード。実質県大会でベスト16くらいのレベルで、埼玉の強豪チームの関係者も多数訪れ、注目度も高い。川口市立は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも活躍したオリックス・宇田川 優希投手(八潮南出身)の弟・宇田川 健投手(2年)がエースで、1年夏から登板し、今年で最高学年となる。

南部の強豪両校がここでぶつかることになった理由は、昨年の新人戦まで遡る。川口市立と浦和実は、立教新座、大宮東、川口工が同居する激戦ブロックに組み込まれた。川口市立は2戦目に立教新座と、浦和実は初戦で大宮東と激突し、ともに1点差で敗戦し秋の地区シードを逃す。その結果、昨秋は川口市立は細田学園に、浦和実はまたしても大宮東に1点差で敗れ今春を迎える。大宮東と1点差だった浦和実は今春地区のシードを得るが、今度は同ブロックに川口市立が入っていた。

ともに力はあるが、くじ運の影響もあり結果を出すことができず、今大会こそは勝ち上がりたい両校。先発は川口市立がその宇田川。一方、浦和実は2年生左腕・駒木根 琉空投手(2年)が登板し試合が始まる。

初回、浦和実打線は川口市立・宇田川の立ち上がりを攻め、2死から3番・山根 大智外野手(2年)が中前安打を放ち出塁すると、続く齊藤 雄心外野手(3年)も遊撃への内野安打を放ち2死一、二塁とする。さらに5番・藤原 悠誠内野手(3年)も左前安打を放ち、2死満塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。

すると川口市立はその裏、浦和実・駒木根の立ち上がりを攻め、2死から3番・高木 綾太内野手(3年)が
「最近打てていなかったんで真っ直ぐ一本に張ってミートを心掛けた」
と、左翼席へソロ本塁打を放ち1点を先制する。

浦和実もすぐに反撃を開始する。

2回、この回先頭の堀越 康佑捕手(3年)が死球で出塁すると、続く駒木根は送れず追い込まれるが、中前安打を放ち無死一、二塁とする。9番・深谷 知希内野手(2年)はきっちりと送り1死二、三塁とすると、続く川上 航平内野手(3年)がセーフティースクイズを決めまず1点、さらに一塁手の一塁送球が川上に当たる。その間に二走・駒木根も本塁へ生還し逆転に成功する。

その後は宇田川、駒木根の両投手が徐々に立ち直りの気配を見せていたが、駒木根が5回に突如乱れる。

川口市立は5回、この回先頭の坂本 楓弦内野手(3年)が死球で出塁すると、続く大道 晴翔外野手(3年)も四球を選び無死一、二塁、さらに捕手がファンブルする間にそれぞれ進塁し無死二、三塁と絶好の逆転機を迎える。すると1死後、8番・原口 陽捕手(3年)を迎えたところで、川口市立ベンチが動く。原口がスクイズを成功させると、一塁送球間に二走・大道も本塁へ突っ込む。いわゆる2ランスクイズを見事に成功させ、この回ノーヒットで2点を奪い、3対2と逆転に成功する。

試合も前半を終え、浦和実が5安打に対し、川口市立は1安打だが、得点は川口市立が3対2とリードする展開。両校ベンチは早くも継投を決断する。川口市立はエース宇田川から2番手・左腕の飯出 裕己投手(3年)へ、一方の浦和実も左腕の駒木根からエースの西久保 輝海投手(3年)へスイッチする。

だが、両投手がピリッとしない。

6回、浦和実は川口市立の2番手・飯出の代わり端を攻め、この回先頭の堀越が四球で出塁すると、続く代打・渡邉 翔充(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。さらに暴投で二走・堀越が三塁へ進むと9番・深谷が右前適時打を放ち3対3の同点とする。

一方、満を持してマウンドに上がった浦和実のエース西久保に対し、川口市立打線もその裏、この回先頭の金長 慧樹(2年)が左前安打を放ち出塁すると、1死後4番・西澤 剛内野手(3年)も四球を選び1死一、二塁とチャンスをつかむが、後続が連続三振に倒れ無得点に終わる。

浦和実は7回、この回先頭の山根が右前安打を放ち出塁すると、続く齊藤雄も死球で無死一、二塁とする。5番・藤原を迎え、浦和実ベンチはバスターを選択する。藤原は期待に応え中前適時打を放ち4対3と再逆転に成功する。

流れを変えたい川口市立ベンチはここで飯出を諦め、3番手に右サイドの毛利 元春投手(3年)をマウンドへ送る。毛利は期待に応え、その後のピンチを無失点で切り抜ける。

一方、浦和実ベンチは、一向に西久保の調子が上がらないのを見て決断。7回、先頭の菊島 虎太郎外野手(3年)に四球を与えたところで、西久保から2年生の本郷 康太郎投手へスイッチする。

すると、川口市立打線が8回に爆発する。 この回先頭の金長が中越えの三塁打を放ち出塁すると、続く高木がきっちりと犠飛を放ちまず同点、その後4番・西澤が右前安打を放ち再度チャンスメイクする。

たまらず、浦和実ベンチは本郷から角國 純也投手(2年)へスイッチするが、勢いに乗り始めた川口市立打線は止まらない。

続く坂本が右前安打を放ち1死一、二塁とすると、2死後、代打・篠田 大成内野手(3年)が右前適時打を放ち5対4と逆転、さらに続く原口が左中間を破る2点適時三塁打を放つなど、川口市立はこの回一挙4点を奪い7対4と大逆転に成功する。

川口市立投手陣はその後、毛利が8回もピンチを招くが無失点で切り抜けると、最終回は抑えの切り札・高木が登板する。サイドスローに転向も、危なげなくきっちりと三者凡退で抑える。

結局、試合は川口市立が浦和実に7対4と逆転勝利し県大会出場を決めた。

まずは浦和実・辻川監督は、
「角國は期待しているんだけどまだ怖い。本郷は練習試合の時のように強く腕を振らないと。駒木根は死球、四球。まだ皆、2年生だからしょうがないけどメンタルも弱いし強い球もないから打たれる。駒木根の5回の点の取られ方が悪くて、ブルペンで西久保は大丈夫とのことで6回から行けると思っていたんだけど結局ダメで。打線も1死三塁が2回、2死満塁でも点が入らず負けた。終わり方が淡白過ぎる。鍛え直します。まあ最後は監督のせい」
と、最後は自身を責めた。先発・駒木根は良い球を投げていた。だが5回に突如乱れ、春先の練習試合の疲労で万全ではなかったエースの西久保も2イニング目で降板となったことが誤算であった。残りの2年生2人もまだ「素材」だけで公式戦の場慣れをしていない部分が出てしまった。夏に向け投打に鍛え直しといったところか。

一方、川口市立の鈴木監督は
「(5回1安打も)全然焦っていなかった。駒木根君を降ろせば行けると思っていた。宇田川は良くない。まだまだ走ることも、トレーニングも瞬発系も、ピッチングの幅も練習が足りない。ただ、4月には3連投を志願したり、もっと投げたいとか力をつけたいとか、やろうとしていることは分かる。ずっとピッチングを経験させているので、悪いなりにまとめることはできる。問題は飯出。昨夏も秋も経験していながら、どうしても力んじゃう。私は投手出身なのでバッテリー中心のチームというのは変わらない」
と、振り返る。この代は西澤や宇田川、飯出など1年生時からメンバーで出ている選手が多く、本来は勝負の年だ。それだけに、ここでの県大会出場は大きい。

これまで昨秋から数多くの監督を取材してきた低反発バットの件も、川口市立は意に介していない印象だ。
「ミールトレーニングとか食トレをして数値も測定しているので。バッティングはヘッドスピードを上げることに特化して。秋負けて次の日から、竹やあえて重い金属バットを振り込むことしかやっていない。高木の本塁打に関しても、うちは低反発は関係ないスイングをしているので。打力に関しては自分がここに来て一番良い」
と、鈴木監督も胸を張る。特に低い打球を心掛けるわけでもなく、低反発バットになっても今まで通りのスイングで練習試合でも数多くの本塁打を放ってきているそうだ。この日も高木がきっちり本塁打を放ってみせた。

浦和実を逆転で下し、改めて潜在能力の高さを披露した川口市立。県大会でもシード獲得が至上命題となる。

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南 英博のアバター 南 英博 ULTRA SPORTS 編集長

世界初のクラウド型スポーツメディアである「ULTRA SPORTS 」WEB版の編集長に就任。当サイトはアスリートのセカンドキャリアを応援し、将来的に様々な競技の参加者同士が自由に交流できるプラットフォームとすべく日々奮闘中。ライターとしての顔も持つ。フットサル、高校野球の取材経験あり。高校野球は主に埼玉担当。

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