【高校野球】春季埼玉大会・川越東が所沢商の粘りに大苦戦も延長で振り切り県大会へ!

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西部地区予選 川越東 7-3 所沢商業 (延長10回)

地区のシード校・川越東と古豪・所沢商との一戦。

先発は川越東が左腕・宮城 勇輔投手(3年)、一方の所沢商は八百板 俊樹投手(3年)と、両エースが登板し試合が始まる。

過去には甲子園出場経験のある所沢商だが、現在部員は13人。スタメン7番から9番は新1年生だ。試合はシード校の川越東が優位に試合を進めるかと思われたが、思わぬ展開となる。

初回、両校ともに先制機を迎える。

川越東はやや制球の定まらない所沢商・八百板の立ち上がりを攻め、先頭の河井 大悟(3年)が死球で出塁すると、1死後、3番・山根 大典(3年)、4番・笹尾 拓海(3年)も連続四球を選び1死満塁とする。だが、続く篠原 隆寛(3年)が遊ゴロ併殺に倒れ、無得点に終わり所沢商・八百板を助けてしまう。

対する所沢商もその裏、川越東・宮城の立ち上がりを攻め、1死から2番・齋藤 虎我(3年)が右翼線へ三塁打を放ち1死三塁とする。3番・八百板は三ゴロに倒れるが、これが相手エラーを誘い1死一、三塁とチャンスが広がる。だが、続く臼井 然乃助(3年)のところで、一走・八百板は二盗を試みるが失敗に終わると後続も倒れ、こちらも無得点で終わる。

2回以降、立ち直った川越東・宮城に対し、所沢商・八百板はその後も毎回のようにピンチを迎える。

川越東は2回、この回先頭の西澤 陸内野手(3年)が右前安打を放ち出塁すると、続く虻川 龍之介外野手(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。ここで8番・下田 琉惺(2年)が中前へポトリと落ちるヒットを放ち1死一、三塁とすると、続く宮城も四球を選び1死満塁とチャンスを広げる。だが後続が倒れまたしても無得点に終わる。

川越東は3回にも、1死から4番・笹尾が死球で出塁すると、続く篠原のところで川越東ベンチはエンドランを仕掛ける。篠原は期待に応え中前安打を放ち1死一、三塁、一走・篠原はすぐさま二盗を決め1死二、三塁とするが3度目のチャンスも後続が倒れ無得点に終わる。

所沢商・八百板は技巧派でやや変則的なフォームから、毎回のように四死球を出すなど荒れ球なことも功を奏し川越東打線に踏み込ませない。さらに変化球も決まっていたため川越東打線もなかなか捉えることができず両校無得点のまま6回を終える。

0対0の7回、所沢商が動く。先発の八百板から臼井へスイッチする。

川越東は所沢商・臼井の立ち上がりを攻め、この回先頭の山根が二ゴロエラーで出塁すると、続く笹尾がきっちりと送り1死二塁とする。ここで5番・篠原が左翼席へ2ラン本塁打を放ち川越東が先制する。

川越東はさらに続く西澤が右前安打を放ち出塁すると、続く虻川も死球で出塁し1死一、二塁とする。2死後、宮城も死球で出塁し2死満塁とするが、後続が倒れ2点でこの回の攻撃を終える。

するとその裏、所沢商もすぐに反撃を開始する。この回先頭の八百板が左前安打を放ち出塁すると、続く臼井が右越えの二塁打を放ち無死二、三塁とする。5番・小泉を迎え、所沢商ベンチはおそらくスクイズを出していたようだが、打者が見逃し、三走・八百板が飛び出す形となりランダウンプレーとなる。だが、川越東キャッチャーの追いが甘く、すぐに三塁へ送球してしまう。その間に三走・八百板は本塁へ突入する。

これがセーフとなり1点差でさらに無死三塁と絶好の同点機を迎える。だが、ここは川越東のエース宮城が踏ん張り、連続三振など後続を抑える。所沢商は1点でこの回の攻撃を終える。

追い上げられた川越東は8回にも、この回先頭の中島 都亜(2年)が右越えの三塁打を放ち出塁すると、1死後4番・笹尾のところで暴投で三走・中島が生還し3対1とする。

所沢商も8回、2死から間川 遥斗(3年)が左越えの二塁打を放ち出塁すると、続く齋藤が左前適時打を放ち1点差、さらに3番・八百板が四球を選び2死一、二塁とすると、続く臼井の三ゴロを三塁手がファンブルし、ついに所沢商が3対3の同点に追いつき延長タイブレークへと進む。

10回表、川越東は無死一、二塁で先頭の河井が死球で出塁し無死満塁とする。1死後、3番・山根がセンターへ犠飛を放ちまず1点、続く笹尾が左前適時打を放ち2点目、さらに5番・篠原が四球を選び2死満塁とすると、続く西澤が左前へ2点適時打を放つなど、この回一挙4点を奪い試合の大勢は決した。

投げては、10回タイブレークからマウンドに上がった川越東の2番手・長谷部 大河投手(3年)が所沢商打線を無得点に抑える。

結局、川越東は所沢商にあわやというところまで追い込まれたが、凌ぎ切り7対3で勝利し県大会出場を決めた。

昨年の秋季大会終了後就任した所沢商OBの穐本 新監督は
「八百板は気持ちで左右されるので大会に向けて仕上がってきていた。出来としては悪くなく走者は出したが2回以降はノラリクラリと投げていた。打つ方に関しては外野はうちに対してシフトを敷かれていたので私学さんだなとは思った。継投タイミングに関しては元々2人投げさせる予定ではあったんですが、臼井が冬場、ケガをしていたので八百板をなるべく引っ張ってと考えていた。上出来です。前の試合も昨秋の市内大会でもビハインドから追い上げて優勝させて頂いたので、今日も予定通りだよと選手に話をして下を向かせずに最終回まで行けた。追いついてからはうちのムードだぞと言っていたんですが。タイブレークでは2点以上与えてしまったのが敗因も、90%くらい自分達の力を出し切れた。夏に向けて1年生のレベルアップと他の選手も含め暑さ対策が必要」
と、敗れたものの晴々とした表情で振り返った。

部員13人ながらその粘りは賞賛に値する。八百板、臼井両投手合わせて与死球8はいただけないが、特に先発・八百板は癖のあるフォームから変化球を決めるその持ち味を十分に発揮した。打線も上位は川越東・宮城の球を捉えていた。あとは下位の1年生が場慣れをしてくれば少数精鋭ながらも戦える状況になりそうだ。

低反発バットに関しては
「人数が少ないのでとにかくバットを振らせて、とにかく実打をさせてきた」(穐本監督)
とのこと。人数が少ない分、一人一人に時間を長くかけることができる。ものは考え方だ。

川越東・野中監督は
「初回点が入らなかったので変な感じになってしまった。大会は練習試合とは違うので今日は9割9分守備のことを考えてやってみようと言っていたんだが…。7人の投手が入っているのでローテーションを組んでやってきた。最近、春は良いところまで行っていないので行きたいですね」
と振り返る。

春初戦の緊張も考慮しなければならないが、それを差し引いても決して褒められない内容であった。初回、2回の満塁のチャンスで1本が出ず、いつでも行けるという典型的なパターン。ズルズルと行ってしまい相手に勇気を与えてしまった。勝負どころで守備も乱れた。

それでも最終的に勝てたのはエース宮城の存在だ。終始安定感のある投球を披露した。7回に死球を足に受け負傷しその後は万全の状態ではなかったがそれでも9回を投げ切った。幸い県大会には間に合うとのことだったが、元々このチームは打線のポテンシャルが高いだけに、県大会では投打に宮城への依存度を下げたい所であろう。

低反発バットに関しては
「色々なことはやってきたんですが何となくという外野守備はやめよう。送球の部分も含め外野の守備は今までにないくらい時間をかけた」(野中監督)。
外野守備は川越東だけに限らず特に今季は大きなウエートを占めそう。外野守備の重要性は今後のテーマになりそうだ。注視していきたい。

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南 英博のアバター 南 英博 ULTRA SPORTS 編集長

世界初のクラウド型スポーツメディアである「ULTRA SPORTS 」WEB版の編集長に就任。当サイトはアスリートのセカンドキャリアを応援し、将来的に様々な競技の参加者同士が自由に交流できるプラットフォームとすべく日々奮闘中。ライターとしての顔も持つ。フットサル、高校野球の取材経験あり。高校野球は主に埼玉担当。

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