2月のeスポーツ大会‟TeNY杯”は、去年7月以来となる「FALL GUYS」で、「新潟市西区社会福祉協議会」(西区社協)さんと共同開催しました。
社会福祉協議会は、地域の人たちとともに考え、協力し、誰もが安心して暮らすことができる「福祉のまちづくり」を目指して活動を行っている非営利の民間組織です。どうして福祉の団体が私たちと一緒にeスポーツ大会を開くことになったのでしょうか?
過去の記事でも触れましたが、西区社協さんは「eスポーツ大会で新たな福祉支援のカタチを作ろう」と、去年7月のTeNY杯第1回FALL GUYS大会の視察を経て、10月には参加者20人程度のオフライン大会を実施されました。そして今回、TeNY杯との共催で生配信も行う120人規模の大会を催したのです。
当日の会場となったNSG eスポーツスタジアムには、西区社協さんが声がけしたオフライン参加者10名と福祉関係者などが集まり、大いに盛り上がりました。来場者から歓声があがったり、会場のプレイヤーに配信内で生インタビューさせていただいたりして、運営側としてもオンライン大会にはない「参加者と一体になった楽しい空間」を味わせていただきました。ぜひ当日の模様をTeNY eスポーツ部のYouTubeチャンネルからご覧ください。
そんな盛り上がりから10日後、西区社協さん主催のフォーラムで「ふくし×文化 ~新しい参加のカタチ~」と題したパネルディスカッションが行われ、大会の報告がされるということで取材に伺いました。
FALL GUYS大会のダイジェスト動画に続いて、西区社協の田中さんが「既存の福祉相談窓口では届かない当事者にリーチする方法としてeスポーツ大会を企画した」と大会の趣旨を説明すると、社会福祉士の村山さんは「地域社会側の窓口として、eスポーツが‟新たな社会参加の機会”のひとつになる」と述べ、自身もひきこもり当事者とスマホゲーム「パズドラ」でコミュニケーションを取っている実例を話していました。
また「eFootball」プロ選手である農頭さんは、高齢者施設でeスポーツが活用されている事例などを挙げて「年齢・性別・障がいなど関係なく誰もが平等だからこそ、様々な背景を持った人々が互いに多様性を認め合い関わっていく『共生社会』の実現に寄与することができる」と福祉分野での有益性をアピールしました。
西区社協の田中さんが「当事者・支援者の枠を超えて、体験・空間・感情の共有ができる場、安心して参加できる場を作れる可能性を感じた大会でした」と振り返ると、コーディネーターの原田教授は「文化が変わっていく中で、若い人がeスポーツなどの新しいものをやるのは当然で、それを福祉に取り入れていく挑戦を見ることができた」と感想を述べておりました。
その原田教授の著作にこんな一節があるそうです。「様々な人々が暮らしている地域のそのなかで、実際の体験と交流を通していのちのふれあいが出来た時、そこに新しい世界が生まれます。『ともに生きる』という事は、知識として理解することでも、システムとして構築する事だけでもなく、むしろ生活の中の『喜・怒・哀・楽』を、どう共有できるか? ということなのではないでしょうか。そしてこのことが『共に生きる』街づくりの第一歩だと考えています」
昨今「ボッチャ」などのユニバーサルスポーツ普及の取り組みが進められていますが、eスポーツも≪プレイヤーの平等性が担保されている≫などの点からユニバーサルスポーツの1つと言えます。そして今回の大会には香港からの参加者がいましたが、オンラインなら簡単に国境を越えることもできます。
スポーツには、プレイヤー・観客が一体となって感情を共有できるというチカラがあり、それは「e」が付いても同じです。喜怒哀楽の共有が共生に繋がるのであれば、eスポーツだからこそ構築できる共生のコミュニティーがある!…そんな思いを強く持つことができた2月のTeNY杯でした。
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