【全競技共通】バドミントン指導を行う有田氏が警鐘を鳴らす”指導者のエゴ”について

 どんなスポーツにおいても結果が出れば選手と指導者との関係がメディアなどの話題にのぼります。勝利至上主義に偏るスポーツ界では勝つためなら体罰や高圧的な指導も黙認されてきたという過去もありましたが、現在ではそのような指導はほとんど目立たなくなりました。しかし様々な場面で強制力を持った指導が行われていることは否めません。「勝つためには厳しく指導して、選手がやりたくないこともやらせなければならないのは当然だ」と考えることもあるでしょう。

目次

伸びる選手の資質

 多くの指導者がトップになれる選手の性格は「謙虚で素直」と言います。つまり自己中心的でエゴの強い性格は伸び悩むということです。これは間違いないと思われます。この自己中心的な振る舞いを指導者は矯正しようとします。選手が文句を言わず指示通りに動くようになると指導者は満足しますが、私が考える「謙虚さ」とは”自分の意見を言わない”ではなく、「素直さ」とは”指示通りに動く”ではありません。「謙虚さ」は心が感じたこと、直感を信じることで、「素直さ」はとりあえずやってみる行動力です。あくまでも選手が決心し実行することが大切です。

感謝とエゴ

 指導する過程で特に注意しなければならないことは、選手が黙って指示に従うようになることで指導者が満足し、指導者のエゴが増大してしまうことです。そうなると指導者自身の成長が止まります。新しい情報が入りにくくなり、経験を積み重ねられなくなります。
 話が少し飛びますが、量子力学の波動の原理からいうと「エゴ」と「感謝」の波動は相反するらしいのです。よくトップ選手がインタビューで口にする「感謝」という言葉はプラスの方向へ作用して成長を促し、自己中心的(エゴ的)な言葉はマイナス方向へ作用して成長を妨げるといわれています。
 選手も指導者も、競技を通して成長発展したい。選手は直感を信じて行動し、指導者は感謝しながら選手と接しなければなりません。そこでヒントとなるのが「ギブ&テイク」でも「ギブ&ギブ」でもない「させていただいている」という気持ちです。この感謝の気持ちを持つとエゴの波動が消されていきます。

指導よりサポート

 指導する場合でもいきなり答えを教えると選手自身が考えることをやめてしまい、成長が止まります。選手自身が気付いて行動するためには指導者はうまくヒントを与えてあげることが大切です。そうなると指導するというよりもサポートするという言葉の方が合っているように思えます。難しいことをサポートするようになればなるほど、どのようなヒントを与えればいいかを考えるようになります。これが指導者の成長にもつながります。選手も指導者もある意味お互いにサポートしあって成長していくということですね。

 選手はヒントをもらって考える、指導者はどうヒントを与えてサポートさせていただくかを考える。そこにお互いが成長しさらに上へのステージに上がっていけるのだと思います。

<参考文献>
「足立育朗と語る-現代地球文化の未来とわたしたち」森眞由美著、足立育朗著

YouTubeチャンネル「バドアカTV」
https://youtube.com/c/badmintonacademyTV

<バドミントン総合サイト>
バドミントンアカデミー
https://badminton.ac/

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この記事を書いた人

有田 圭一のアバター 有田 圭一 日本体育協会公認スポーツ 指導者コーチ3     (バドミントン)     バドミントンアカデミー   管理人

バドミントンコーチ兼プレーヤー、高校教員
指導者資格:日体協会バドミントン公認コーチ3
競技実績:2018全日本シニア大会45歳代男子ダブルス準優勝、
2019年世界シニア大会(ポーランド)45歳代男子ダブルスベスト8
指導実績:全国高校大会優勝、長崎国体少年男子優勝
趣味:山歩き、熱帯魚飼育、観葉植物、釣り、読書

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