【ACL】横浜F・マリノス、ACL決勝までの道のり

こんにちは、潤です!

今回は先日惜しくも優勝こそ逃したものの、様々な苦難を乗り越えてAFCチャンピオンズリーグ2023/24(※以下ACL)決勝にたどり着いた横浜F・マリノスの様子についてまとめてみました。

ぜひご覧ください!

目次

ACLの大きな変更点

ACLの大きな変更点まず初めに毎シーズン行われていたアジア最強クラブを決めるACLですが、今大会から大きな変化がありました。それは「秋春制」への移行です。

前回大会までは春(2〜3月頃)に開幕し秋(ほぼ冬の12月頃)に閉幕する「春秋制」をとっていましたが、今大会より秋(9月頃)から開幕し春(翌年の5月頃)に閉幕する「秋春制」となりました。

開催時期が異なることが一体どんな影響を及ぼすかと言いますと、出場するJリーグクラブとしては「シーズンのズレ」が挙げられます。Jリーグは現在では「春秋制」として2〜3月頃に開幕し11〜12月頃に終わるため、これまではリーグとACLがほぼ同時並行で行われていました。

そのため、ACL出場権を獲得するJ1リーグ王者や天皇杯王者などはシーズンが終わり、翌シーズン開幕とともにACLも開幕する流れでしたが、今シーズンよりACL出場権を勝ち取ったクラブは翌シーズン「開幕から約半年後」にACLが開幕し、翌々シーズン途中に閉幕する流れです。

今大会に当てはめると「2022年11月5日」(※自分がウルスポへの記事を執筆するよりも前!)にJ1リーグ優勝を決めた「横浜F・マリノス」、そして当時大きな話題を呼んだ「歴史的なジャイアントキリング」を達成した天皇杯王者「ヴァンフォーレ甲府」に至っては「2022年10月16日」にACL出場権を獲得し、そしてACLのグループリーグ初戦が行われたのは約1年近く経った「2023年9月19日・20日」でした。

このタイミングは、J1リーグを戦っていた「横浜F・マリノス」はリーグ戦34試合中27試合を終え、J2リーグを戦っていた「ヴァンフォーレ甲府」はリーグ戦42試合中35試合を終えたタイミングです。

※なお今後は、Jリーグも「秋春制」へ移行する予定となっています。

2シーズンをまたいだアジア王者への道のり

こうして現在のJリーグのレギュレーションではシーズンをまたいで行われることになったACL。

シーズンの疲労も溜まり始めている中、それぞれのクラブがリーグ優勝などのタイトルに向けてシーズン終盤を迎える中で開幕するアジアの強豪クラブとのグループステージ。「過密日程」はカップ戦などで勝ち上がり、国際舞台での試合へ臨む強豪クラブの定めではあるかもしれませんが、それだけ過酷になれば”二兎”を追うことも難しくなるのは仕方がないことだと思います。

その影響もあってかJ1連覇を狙った横浜F・マリノスはACLと並行して行われた首位天王山でヴィッセル神戸に敗れるなどして連覇を逃し、ヴァンフォーレ甲府はACL開幕後のリーグ戦7試合で3勝となかなか勝利を積み重ねることはできませんでした。

ただし、それぞれ勝負強さを見せてACL出場権を勝ち取った両クラブ。リーグ戦では苦戦してもACLでは躍進します!

グループステージ初戦こそホームで敗れてしまった横浜F・マリノスですが、そこから3連勝をするなどアジアの舞台でも強さを見せて3クラブが勝率で並ぶ中ではあったものの首位でグループステージ突破を決めました!

J2の舞台で戦っていたヴァンフォーレ甲府は、J1の強豪クラブでもグループステージ敗退となることも決して珍しくは無いアジアの競合クラブとの総当たりのリーグ戦、なおかつスタジアムの規定によりホームスタジアムである「JIT リサイクルインク スタジアム」を使用できず「本来のホームスタジアム」で試合ができない背景もあってグループステージ突破は難しい見方もありました。ですがアウェイでの初戦、無失点で切り抜けると2戦目では”ホーム国立”でACL初勝利!勢いそのままに”ホーム国立”を2勝1分、さらにアウェイでも1敗のみとグループ首位でラウンド16進出を決めました!

ACLのグループステージが終了したのはリーグ戦を終えた後。この時点でシーズンをまたぐ結果となりました。

シーズン開幕前に迎える負けたら終わりのトーナメント戦

そして迎えたリーグ開幕前の「ACL ラウンド16」。本来であればオフシーズンに行われる、負けたら終わりのトーナメントの舞台。コンディショニングの面でも調整する難しさがある中、アジア王者へ向けて負けられない大一番にそれぞれ臨みます。

日本勢初戦となった川崎フロンターレが2024シーズン新加入、そしてACLの観点で見ると”途中加入”となるエリソン選手の活躍などもあってアウェイで勝利!ホームでの第2戦に繋げます!

一方、横浜F・マリノスとヴァンフォーレ甲府もそれぞれアウェイで初戦を迎えた中、横浜F・マリノスがドロー、そしてヴァンフォーレ甲府は韓国王者の「蔚山現代」相手に0-3の敗戦を喫することになりました。

そして迎えたホームでの第2戦。初戦を1点差で勝利していた川崎フロンターレが後半アディショナルタイムの失点で2-4で敗れ、逆転でのラウンド16敗退とショッキングな結果となってしまいます。

“ホーム国立”で無敗のヴァンフォーレ甲府は韓国王者相手に4点差以上をつけないとラウンド16突破ができない苦しい展開の中、平日ながら16,000近くが集うスタジアムで勇敢に戦うも1-2の敗戦。2022年6月1日に初戦となる2回戦から始まり、J1勢5連勝で掴んだ天皇杯王者。630日間紡ぎ続けた歴史的なジャイアントキリングはたくさんの記録にも記憶にも残したまま「ラウンド16」の舞台で幕を閉じることになりました。

日本勢唯一の準々決勝進出へ、ホームで勝利が必要な横浜F・マリノスは失点こそ許さなかったものの、得点は奪えず0-0のまま90分を終えます。今大会よりスコアで並んだ場合、アウェイでの得点数が多いクラブが勝ち抜きとなる「アウェイゴール」制度がなくなったため延長へ突入することになりました。

延長でもなかなか点が生まれない中、延長終了間際に途中投入のFW #36 村上悠緋選手(※今年のリーグ戦での背番号は#38)が右サイドを突破しクロスを送るとエリア内で相手DFがハンド!VARの結果、土壇場で得たPKをリーグ開幕前から120分間走り続けたFW #11 アンデルソン ロペス選手(※今年のリーグ戦での背番号は#10)が落ち着いて決めて先制し2戦合計でも貴重な勝ち越し点を奪い、そのまま勝利し劇的な展開で準々決勝進出を決めました!

※PK決めるまでは落ち着いていたものの、決めた後は興奮冷めやらずちゃんと(?)服を脱いでイエローカードをもらってしまった模様です笑

そして東京ヴェルディとの「国立でのマリノス vs ヴェルディ」となったJ開幕時と同カードの開幕戦も劇的な展開で勝利(※スコアもJ開幕時と同じ)し、J1リーグ開幕を迎え、リーグと並行して迎えた準々決勝の舞台でもホーム・アウェイ共に勝利しベスト4に勝ち残ります!

東アジアと西アジアの勝ち抜いたクラブが決勝で当たるレギュレーションのため、準決勝の舞台は事実上の「東アジア王者」と「西アジア王者」を決める戦いとなりました。

そんな東アジア王者を決める舞台へ臨むのはJ1王者としてACL出場を勝ち取った「横浜F・マリノス」と韓国王者の「蔚山現代」。天皇杯王者のヴァンフォーレ甲府にホーム・アウェイ共に勝利しジャイアントキリングに終止符を打ち、その後も韓国王者の名に相応しく勝ち残った蔚山現代とのアウェイでの第1戦。シュート数では2倍以上と大きく上回りながら前半の1点に泣き0-1で敗戦し、勝利のためには2点差以上の勝利が求められる中でホームでの第2戦を迎えることになりました。

そして敗戦から1週間。ホームで迎える平日ナイターは雨の中、16,000人以上が駆けつける中、チャンスを作りながら決めきれなかったアウェイでの悔しさを胸にホームでの逆転勝利へ執念を見せたのはFW #14 植中朝日選手でした!

前半13分に相手の連携ミスを見逃さずに先制点を奪い、2戦合計でも早速同点に追いつきます!

21世紀生まれのストライカーに触発され、今度はアンデルソン ロペス選手が続きます。前半21分にエリア内でボールを受けるとワンステップで強烈なシュートを叩き込み2-0!2戦合計でも逆転に成功します!

ただ、この日の主役は植中朝日選手でした!前半30分にキーパーが反応できない程の強烈なミドルシュートを叩き込んで3-0!2戦合計でも3-1と、アウェイゴールの制度がない中で決勝進出へ大きなリードを奪います。

ですが簡単に終わらないのが東アジア王者をかけた大一番。6分後にコーナーキックから1点を返されて2戦合計でも3-2と1点差に迫られます。

そしてさらに6分後の42分にはPKから失点して前半の内に2戦合計で3-3と同点に追いつかれてしまいます。しかもそのPKの際にDF #15 上島拓巳選手が退場し、「同点に追いつかれる」かつ「1人少ない」状態で後半を迎えることになります。

そんな苦境でも決して崩れないのがシーズンをまたいで準決勝まで勝ち残った横浜F・マリノス。この日の「攻の主役」が植中選手ならば「守の主役」が今シーズン加入の新守護神GK #42 ポープウィリアム選手(※今年のリーグ戦での背番号は#1)でした!

10人となり、VARの末になんとか失点を免れるシーンもありつつ、雨で濡れたピッチの中で度重なるピンチを防ぎ、2戦合計での逆転弾は許しません!

そしてホームで迎えた今大会2度目の延長戦。後半の45分間に加えて、延長前後半の30分間、さらには退場後の前半残り約5分間と合計18分となった4度のアディショナルタイム。全て加えると1試合以上の時間を1人少ない状態で韓国王者に耐え続けた横浜F・マリノス。最終的には43本という驚異的な被シュート数を記録しながらも足を攣りながらもポープ選手を中心に守りきりPK戦へ突入します。

※この時点でシュート数13-43の中、この試合のみで見た時に3-2で勝利したことがまず感動的でした。

そして迎えたPK戦。足を攣りながらゴールを守り続けたポープ選手が蔚山現代5人目のシュートを止めて勝利!!ホームで迎えた雨中のナイター、劇的な勝利とともに決勝進出と「東アジア王者」の座を掴みとりました!

リーグと並行して迎えた決勝戦

決勝進出を決めたことにより、より過密日程となった横浜F・マリノス。

準決勝での激闘後、リーグ戦では連戦の疲労もあってか苦戦が続く結果となりました。

直後のセレッソ大阪との試合では2度のリードを奪いつつ2度追いつかれてドロー。そして翌節のジュビロ磐田戦でも試合終了間際に追いつかれてドロー。なんとか連戦を無敗で乗り切るも続く浦和レッズ戦では敗戦。シーズンをまたぎながら”二兎を追う”難しさを肌で痛感する結果となりました。

ただし、これは「強豪クラブ」だからこそできる経験ですし、試合数が多ければそれだけ所属選手の出場機会も多くなるので苦しんだ分だけ選手層が厚くなるチャンスでもあります。

そして連戦の中迎えた決勝の舞台。ホームで第1戦を迎える決勝の相手はUAEの「アルアイン」。決勝トーナメントではあのクリスティアーノ・ロナウド選手が所属する「アルナスル」(サウジアラビア)との激闘をアウェイでのPK戦の末に制し、さらには「アルヒラル」(サウジアラビア)の1部リーグのクラブの世界記録でもあった連勝を「34」でストップさせるなど驚異的な強さで勝ち上がってきました。

試合開始前から熱い応援でホームの雰囲気を作り出す横浜F・マリノスサポーター。圧倒的なホームアドバンテージを作り出した中で始まった一戦でしたが、過酷な組み合わせとなった決勝トーナメントを勝ち上がってきた「西アジア王者」アルアインがまずは強さを見せます。前半13分に今大会得点王にも輝いたモロッコ代表経験もあるMF #21 ソフィアン ラヒミ選手が爆発的なスピードからハイラインの裏へ抜け出してGKと一対一に。その一対一を決勝進出の立役者GK ポープ ウィリアム選手が止めるもそのこぼれ球をMF #8 モハンメド アルバルーシ選手が決め、アウェイのアルアインが先制点を奪います。

さらに前半30分にもスルーパスに抜け出したFW #10 アレハンドロ ロメロ選手がゴールネットを揺らしアルアインに2点目が入ったかに思われましたが、これはVARの結果オフサイドで得点は取り消しになりなんとか複数失点は逃れます。ですが、ここで横浜F・マリノスにアクシデント。前半37分にDF #5 エドゥアルド選手が負傷により交代を余儀なくされます。先制を許している中で守備の要であるCBが前半の内に交代と非常事態の様相を呈します。

ですが、そんな怪しい雰囲気を払拭したのは今大会躍進した選手の一人、MF 植中朝日選手でした。準決勝での逆転勝利に大きく貢献した勢いそのままに前半から積極的にシュートを放ってゴールの予感を漂わせていると、その姿勢が72分に実ります。

右サイドからFW 20 ヤン マテウス選手(※今年のリーグ戦での背番号は#11)がクロスを上げると頭で合わせたのは植中選手!絶え間なく続いたホームサポーターの声援に応える貴重な同点弾を叩き込みます!

躍動する”ニュースター”がもたらした勢いは試合終了間際の86分に実ります。再びヤン マテウス選手が右サイドからクロスを上げると、幾度の大怪我も乗り越えてきた途中出場の”カムバックスター”FW #23 宮市亮がシュート!そのシュートにいち早く反応したMF #6 渡辺皓太選手がコースをかえてゴールネットを揺らします!

逆転に沸きかけたスタジアムでしたが、これは惜しくもオフサイドの判定。ですがそこでVARが介入し、判定変わり、ゴールへ!主審のゴールインのシグナルが示された瞬間、53,000人以上が集まったスタジアムは大声援に包まれ、西アジア王者に試合終盤での逆転!

そして試合はそのまま終了し、第1戦はホームで大きな勝利をあげる最高の結果となりました!!

ですがその後、アウェイで迎えた第2戦は前半を1-2で終えて2戦合計で3-3と同点で折り返しましたが、前半の内に数的不利となっていた横浜F・マリノスは苦しい展開が続いた後半に失点を許し敗戦。

結果としてはアウェイの地で逆転を許しての「準優勝」。ホームでの第一戦を終えてもう一つ上の栄光に手が届きかけていた分、その結果だけを見るともちろん悔しい思いはあると思います。

ただ、現時点でのJリーグのレギュレーション上、シーズンをまたいで行われたアジアの強豪クラブとのいくつもの接戦を制してたどり着いた決勝の舞台、そして「東アジア王者」の称号。この結果は誇らしいものでもあると思います。

クラブにとって大きな財産となった”2シーズン分のアジアの舞台”。そのアジアの舞台を終えて中2日で迎えたリーグ戦。ACL後最初の試合は、カップ戦を含めて直近5試合無敗と調子を上げていた柏レイソル戦。そんな好調クラブ相手に4-0での勝利。「アジアのファイナリスト」、そして「東アジア王者」としてまた新たな強豪クラブとしての矜持を得たクラブの船出は明るく順調な模様を示しているようでした。

そして何よりたくさんの感動をありがとうございました!!

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みやざき潤のアバター みやざき潤 元TVディレクター・Jクラブスタッフ

Jリーグ観戦が趣味です。
発言は個人の見解となります。

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