女子フットサルクラブを地方で続けるには、正直、お金が要ります。北海道・旭川という環境のなかで、チームを動かし、試合に出て拠点を維持する。それは理想だけではままならない現実です。
だから、わたしたちは寄付を必要としています。
でも、「寄付してください」とは、どうしても言いたくなかった。
それは、逃げるのではなく、言葉を選びなおすという態度でした。
ヴォルフェ北海道がつくったのは、WOELFE PACK(ヴォルフェ・パック)という月額制のメンバーシップ制度です。
WHITE/GOLD/REDという3つの関わり方から、自分に合った距離感を選ぶことができる仕組みで、価格の違いは単なる“見返りの差”ではなく、“関係の濃さ”によって設計されています。
そのなかでもREDプランは、もっとも静かで、もっとも深い場所にある関わり方です。
そこに成果報告はありません。
確かな未来も、保証もありません。
あるのは、「問いのなかに、ともに立つ」という前提だけです。
REDメンバー限定のふたつの提供
ヴォルフェは、この関わりを“ただの寄付”にしないために、REDメンバー限定で次の2つを提供しています。
ひとつは、RED加入者にだけ不定期で共有される、クラブの現在地をめぐる記録。そこには、判断の迷いや内部の対話、まだ言語化されていない揺れが含まれています。
もうひとつは、RED加入者だけが申し込める、数量限定のエディション版アート作品の企画です。
これは、希少性や仕様の特別さではなく、「深く関わる」という問いにクラブが応えるための届け方です。
REDプランに含まれる“エディション版”は、単なるグッズや所有物ではなく、「この関係を、たしかに共有していた」という記憶を残すためのアート作品として構想されています。
それは、時間の証であり、関係の証であり、支援の見返りではなく、問いへの参加を象るものです。
「どう返せるか」を誠実に考えた末に生まれたかたちであり、REDの本質を、手元に置けるかたちで共有する試みです。
クラブの揺れを隠さず差し出すこと。誰かが受け取り、考え続けてくれる関係をつくること。それが、REDを“関わりの契約”として設計する理由です。
この1万円を、あなたが選ぶということ
わたしたちは、そういう関係に1万円の値段をつけました。
それは、「買ってくれたら嬉しい」という気持ちではなく、「この関わり方に価値を感じた人にだけ届いてほしい」という設計の話です。
高いと思う方もいるかもしれません。
けれど、わたしたちは“この関係性にふさわしい価格”を、逃げずに決めたかった。
問いに立ち会うこと。
それを“支援”と呼ぶのか、“参加”と呼ぶのか。
呼び方は、受け取った人が決めてくれたらいい。
でも、これはたしかに、ただの寄付ではありません。
なぜなら、わたしたちは「結果」や「見返り」ではなく、「問いに立ち会う時間」そのものに値段をつけたからです。クラブが揺れている最中の判断や、まだ形にならない葛藤を、整えずに届ける。それを受け取って考え続けてくれる誰かの存在にこそ、この1万円は意味を持つと信じているからです。
いま、REDという関わり方は
いま、REDという関わり方は、まだ誰にも選ばれていません。
WOELFE PACKが始まってから1か月あまり。
少しずつ広がるなかで、REDの席だけは、ずっと空いたままです。
クラブが、この6月に願っているのは、
その席に、最初の名前が刻まれること。
数字ではなく、関係。
成果ではなく、問い。
わたしたちは、成功する未来しか見ていません。
でもその道のりには、数えきれない失敗や、立ち止まる瞬間も待ち受けているかもしれません。
それらもすべて飲み込んで、ともに歩んでくれる人と、
いつか「この道を選んでよかったね」と笑い合える日がくることを、
わたしたちは心から願っています。
この1万円を、あなたが選んだ日、
それは「支援が届いた日」ではなく、
「問いに、もうひとり立ち会う人が増えた日」になると、わたしたちは信じています。