記事のポイント
・セ・リーグが2027年からDH（指名打者）制を導入すると正式発表
・国際化やアマ球界の潮流に対応、セ・パのルール統一を目指す
・2026年は猶予期間、準備を経て新時代の“セ・リーグ野球”へ
セが歴史的決断、DH導入へ
「9人野球」からの脱却
セ・リーグは2027年シーズンより、投手に代わる専任打者を起用できる「指名打者制（DH制）」の導入を正式決定した。8月4日に開催されたリーグ理事会で全会一致で採択され、日本プロ野球界のルールが大きく前進する歴史的な一歩となった。
これまでセ・リーグは、投手も打席に立つ「9人野球」にこだわり続けてきた。パ・リーグが1975年からDH制を導入してから50年余、両リーグのルール差が際立っていたが、交流戦や国際大会での影響力、アマチュア球界の変化が後押しとなった。
なぜ今、導入を決断したのか
アマチュア球界の動きと国際化
2026年からは高校野球や東京六大学野球、関西学生野球などのアマチュア主要リーグでもDH制が採用される。これにより、セ・リーグが国内唯一の「非DH」カテゴリーとなっていた。こうした中、スカウティングや育成環境の整合性が問われ、球界全体のルール統一が強く求められていた。
また、WBCやプレミア12といった国際大会、さらにはMLBが2022年からナ・リーグでもDH制を導入したことで、世界的な流れはすでに「DH制の標準化」が主流となっていた。
導入は2027年から、その理由
チーム編成と選手契約への影響
セ・リーグ6球団は2026年を「猶予期間」とし、2027年からの導入を決定。これは、すでに来季に向けたスカウト活動や選手契約が「DHなし」を前提に進められているためである。打力特化型の外国人選手の補強や年俸構造の見直しなど、各球団にとって準備が必要とされる。
また、現役投手陣からは「ピッチングに集中できる」「イニング数を稼げる」など、導入を歓迎する声も多数聞かれる。DH制による負担軽減とコンディション維持は、選手寿命やパフォーマンスにも好影響を与えると期待されている。
ルール統一は球界の進化へ
コミッショナーの見解と今後の展望
榊原定征コミッショナーは「セとパのルール統一はNPBの課題であり、セ・リーグの今回の決断は、プロ野球の将来に向けた前進」と評価。指名打者制は「育成」「戦術」「観客満足度」のすべてにおいてプラスに働くと語り、国際基準への適応の重要性も強調した。
SNS上では「ついに歴史が動いた」「若手野手の育成環境が整う」など好意的な意見が多く見られた一方、「采配の妙が減る」「伝統が失われる」といった慎重な声もある。しかし、すでに国内すべての高校・大学・社会人リーグがDH制を採用する今、プロ野球も変革のときを迎えたと言える。
まとめ
2027年、セ・リーグは新時代の幕を開ける。伝統を重んじてきた「9人野球」から、世界標準である「DH制」へ。選手起用、育成、戦術、観戦の面において新たな局面を迎えることで、球界全体のレベルアップと国際競争力の強化が期待される。「最後のシーズン」となる2026年、投手が打席に立つ姿も見納めとなる。今後のセ・リーグの変化から目が離せない。
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