2杯目の肴「球春到来!キャンプだ!野球だ!沖縄だ!!」
今年も来ました“お正月” 球春到来!
2024年に入りあっという間に1月も後半戦。ついこの間、箱根駅伝で母校の活躍に声援を送りつつ、ランナーたちの織り成すドラマに一喜一憂した。と思ったら、プロ野球キャンプインが目前に迫ってきた。寒い寒いとボヤいていても、季節はちゃんと動いている。球春到来!この言葉にどれほどの野球ファンが“胸熱”を禁じ得ないことか。
プロ野球のキャンプインと言えば、選手にとっては“お正月”!シーズン開幕も“お正月”だから(古いかなぁ~。なんせ昭和生まれなもんで)彼らには正月が一年に三回来ることになる!そして2度目の正月・春季キャンプ!と言えば、やはり南の楽園・沖縄なのだ!(少々乱暴な展開並びに宮崎でキャンプを張る3球団の関係者、ファンの皆様、そして宮崎にお住いの皆様、お許しを!)東京から約1600km。本州が極寒地獄に凍える2月の時期でも日中の最高気温は平均で20℃前後。体を動かすには最適のコンディションが整っている。特にベテラン選手の故障リスク軽減に一定の効果が期待できる。
実は店主、沖縄とは浅からぬ縁が。ほぼほぼ30年近く前の話で恐縮至極と存じながら。琉球朝日放送のアナウンサーとして県内を飛び回っていた。当時、沖縄でキャンプを張っていたのは横浜(現DeNA)、広島、中日、日本ハム、オリックスの5球団。その後、ヤクルト(2000年~)、阪神(2003年~)、千葉ロッテ(2008年~)、巨人(2次キャンプ:2011年~)が沖縄へ「引っ越し」を図る。東北楽天も2005年から久米島でキャンプを行い、2020年以降、一軍は本島の金武町にて実施している。最大で10球団、実にNPB球団の83.3%が琉球に集結したのだ!ただ残念ながら、オリックスが2015年を最後に宮古島から撤退し、現在は9球団が来るべき新たなシーズンに向けて例年この時期、汗と泥にまみれている。
ここからは、店主(n.b.c.k.703)の、あくまで“私見”という事で、お付き合い頂けましたら幸いと存じます。
調整だけじゃ勿体ない!
これほどの球団数が一時期に同じエリアで春季キャンプを行うことからも分かるように、調整の場としての沖縄は今、間違いなく日本有数の“Baseball Town”と呼ばれるまでの人気スポットになった、と言って差し支えないだろう。
敢えて“調整”、と記したのにはワケがある。というのも。“日本式”は全12球団が2月1日に一斉にキャンプインを迎える。そして、全体練習、打撃練習、守備練習、特打ち、特守、走塁練習と、ざっくり言うとこのようなメニューをこなす。大体3勤1休か4勤1休のペースで第1~第6クールほどのスケジュールが組まれ、キャンプ前半は主に基礎体力向上、投内連携やシート打撃、サインプレーの確認などチーム練習中心に充てられる。中盤以降、他球団との練習試合やオープン戦の実戦形式に移行し、3月末の開幕へ照準を合わせていく。
朝から夕刻、夕食を挟んで夜間練習など、期間中は正に野球漬けの生活になる。が、目をMLBに転ずると。2月10日前後にまずバッテリー組が先行し、少し遅れて野手組が合流する。スプリングトレーニングは基礎練習よりも、試合形式の実戦感覚を養う事がメインテーマとなる(それまでに選手個々に体の状態を仕上げてくる)。勿論、ゲームの中で課題が見つかった場合には、打ち込みや守備練習など修正に充てられる時間は設けられているが、日本式のように“朝から晩まで”というスタイルではない。そのため、効率を重視したメニューが組まれている。
NPBも、このメジャー式に倣ってみてはどうか?近年は、オフの自主トレを充実させている選手も多く、キャンプ初日からブルペンに入る投手や、いきなりフリーバッティングを行う主力も珍しくない。であるならば。第1~第2クールまでに全体練習でしか出来ないプログラムを終わらせて、第3クールくらいから実戦重視、他球団との練習試合を今よりも多めに組んでみる、というのはどうだろうか?店主の私見で恐縮なのだが、その方が選手もファンもwin-winの春季キャンプが過ごせるのでは、と常々思う次第なのである。
課題が見つかるのは練習で、というよりは試合の中の方が多いだろうし、そのチェックポイントの克服に充てる時間が取れればシーズンに向けてしっかりと準備が出来る。また球場に足を運ばれるファンは、実戦の中でお目当ての選手がどのくらいのパフォーマンスを出せるかを備に見る事が出来、開幕までの時間を逆算しながら伸びしろを計算に入れてスタッツを予想。思い描いた活躍に妄想の世界は果てしなく広がる。新たなシーズンに向けて、選手、ファン双方が心置きなく臨戦態勢を整える事が出来る、と思う店主(n.b.c.k.703)なのである。
新たな“リーグ戦”誕生、の予感⁈
キャンプの期間を今よりもう少し延長し、3月中旬くらいまで確保できれば、ちょっとしたリーグ戦が組めて、より勝敗に拘った采配やプレーが観られるようになる。集結したNPB9球団に沖縄でスプリングトレーニングを行っているKBO(韓国プロ野球)のサムスンやロッテなど6球団を加えれば15チーム。スプリット・スクワッド(メンバーを2組に分けてそれぞれのチームがオープン戦を行う)を採用できれば若手にはより多く実戦の機会が与えられ、試合でしか得られない経験値が更なる成長を促す利点が生まれる。MLBではキャンプ地になぞらえてフロリダをグレープフルーツリーグ、アリゾナをカクタスリーグと称しスプリングトレーニングゲームを行っている。沖縄だから差し詰め名称は“シーサーリーグ”もしくは”ハイサイリーグ”といったところか。
3月と言っても、上旬の本州はまだ春の足音は遠く微かに聞こえる程度。寒い日の方が多い。ホームがドーム球場のチームもあるが全球団ではないし、全てのオープン戦をドームで開催する事は難しい。気温が低く故障のリスクに不安を感じながらの環境に戻るより、温暖な沖縄で最終調整に望めれば、特にベテラン組には一定のメリットが期待できる。ケガなく万全の体調で開幕を迎えたい。それは全選手共通の願いであると同時にファンの祈りでもある。ただその場合、各球団の負担する費用は増額という事になってしまう“デメリット”が発生してしまうのだが・・・
ともあれ、万難を排し新シーズン開幕を迎えるための最高の環境が、沖縄にある。
莫大な経済効果、健在なり!
9球団が一堂に会すと、その経済効果も莫大なものとなる。2023年8月22日付の沖縄タイムス+によれば2020年の新型コロナウイルスパンデミックが響き、2021年は約23億円、2022年は約43億円まで落ち込んだものの、昨年は約101億円とV字回復を果たした。2019年には約141億円の経済効果があった。(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1208562)
昨年、38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。その経済効果はリーグ優勝で約872億円になったと言われている。(https://www.sanspo.com/article/20231016-5FDO5Q5RK5IPNMFX7U6GUAKW5E/?outputType=theme_tigers)日本経済は現状、コロナ不況からの脱却途上にあるが、キラーコンテンツとなりうるプロ野球にかかる期待は、コロナ前を遥に上回るものと想像できる。沖縄キャンプでも阪神リーグ優勝の経済効果の約16%を1か月で叩き出している。その面からもキャンプを“一か月期間限定”にしておく手はない。その昔。ONの活躍が戦後日本、高度経済成長期の象徴であったように、経済復興のフラグシップ的な役割をも担う力がプロ野球にはある。その底力が試される時が、今なのではないだろうか。
叩けよ。さらば開かれん
先にも述べた通り、日本有数のBaseball Townと呼ぶにふさわしい沖縄。その魅力を最大限に引き出して野球におけるハード面、ソフト面の充実を図る。選手にとってこれ以上ない環境、ファン、特に地元の野球好きにとっては最高峰のプレーを間近で見られる喜び、そして県経済活性化への起爆剤となる経済効果。デメリットの部分をどう補うかが当面の課題となるが、試合を行うとなれば、入場料収入、グッズなどの物販、TVの放映権料は見込める。旅行代理店と提携し、観戦チケットつきのパッケージを販売する、という手法も容易に想像できよう。ただ、どれも決定打とはなりにくい側面はあるものの、何事も“叩けよ、さらば開かれん”。まずはトライの方向に進んで欲しいと、野球好きの元那覇市民としては願うばかりである。
元々野球熱が高い沖縄。その地に誕生した琉球ブルーオーシャンズは2019年の発足以来、NPB参入を目標に掲げ活動を続けたが、折しも2020年の新型コロナウイルスパンデミックの影響をモロにかぶり、運営資金の調達が難しくなってしまった。結果、2022年、僅か3年で休眠状態へと追い込まれた。しかし、先にも述べた通り、2023年の沖縄キャンプによる経済効果はV字回復し101億円を計上した。このまま県経済が活性化され続ければ、地元球団復活への機運が再燃するかもしれない。そして、2024年シーズンから「ハヤテ223(ふじさん)」と「新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」がNPBに新規参入する(2軍戦のみ)。この両球団の挑戦が成功をおさめ、モデルケースとしての在り様を示してくれたなら、ブルーオーシャンズ“復活”への道筋が見えてくるのではないか。僅かではあるにしろ、その可能性に一筋の光明を見出したい。
南国に吹き付けた逆風は“うりずんの風”となって新たな時代の息吹となるか?この試みの成否如何で、水島新司先生の壮大な世界観に近づくような、プロ野球新時代への扉が開かれるかもしれない。
第二の故郷、沖縄に望郷の念を募らせながら、毎年この時期になると、こんな想像(妄想?)の翼が逞しくなってしまう私、“ぼーるぱーく亭”の店主。
2024年キャンプインまで指折り数えながら、静かに夜は更けていく・・・
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