シアトル・マリナーズが今シーズン3度目の遠征を勝率5割以下の18勝19敗で迎えている大きな要因として当然のことながら攻撃陣が、期待に応えられていないことが関係している事は確かだろう。ただチームの投手陣からでは、もしマリナーズの打線が息を吹き返せば勢いに乗る可能性を示唆している。
マリナーズの投手陣は、現地木曜日のチームがオフに入る中でファングラフスによるWARでMLB全体一位の8.0を記録。そして、この数字は2位のミネソタ・ツインズに2点以上高い結果となっている。WARは選手の価値を計るうえで総合的な評価指標の一つであり、多くのMLBの球団のフロント陣は広くその数字に注視しており、マリナーズの野球総責任者を務めるジェリー・ディポトも例外ではない。
「先発でもブルペンでも我々の投手たちの仕事について十分に言える事が出来ない。我々が彼らをどんな状況で起用しても、彼らはボールを受け取り、本当に良く戦っている。そのことに関して、私はすごいと感じている」現地水曜日にフラストレーションの溜まる敗戦となった試合後、スコット・サーバイス監督は記者たちにそう伝えている。ではWARで示されるように、マリナーズのピッチャーたちがリーグベストのパフォーマンスを引き出せる要因は何が関係しているのか。MLB公式でマリナーズ番を務めるダニエル・クレマーはその要因を4つの章に分け、順に迫った。
リーグ3位タイのイニング数とWARトップ15に3投手が入る先発
現地水曜日の対テキサス・レンジャーズ戦、3回に投球数がかさんだ事からルイス・カスティーヨは5回でマウンドを降板する事となった。そしてそれは、マリナーズの先発投手が最低6回まで投げていたことが8試合連続で途切れるというのを意味するものだった。シーズンを通して、サーバイスをはじめとする首脳陣は最低6イニングを投げた先発数がMLB全体では2番目に多い21登板を目にしてきており、先発投手が稼いだ投球回数206回1/3は全体で3位タイをマークしていた。
さらにカスティーヨ(1.6)、ジョージ・カービー(1.5)、ローガン・ギルバート(1.3)はファングラフスでのWARでトップ15にランクインし、他のチームでは1投手以上がランクインしているのは、1球団もいない。またルーキーのブライス・ミラーが今のピッチングを続けるようであれば、その順位表に駆け上がる可能性は高い。
リーグ1位の防御率と三振率を誇るリリーフ
「ブルペンのドアが開く時、そこから出てくるものは典型的に、凄すぎるものである」そうクレマーはこの項目の見出しで綴るように、チームのリリーフ陣はリーグ7番目に多い29.2%の空振り率を相手打者から奪っており、ここ最近では取り分け好調だ。現地4月29日からの11試合を通じてマリナーズのリリーフ投手はリーグ全体ではトップの防御率1.56をマークし、三振率34.8%、四球率6.5%はそれぞれ前者が1位、後者が2位タイを記録。その11試合の内6試合では無失点に封じている。
そのうえ特筆すべきことは、ブルペンの柱の一人であるアンドレス・ムニョスが利き手の右肩の三角筋を痛めリハビリを行っている中でのパフォーマンスであり、ムニョスはもう一か月戻ってくることはない。
「僕らには本当に良い選手がいるし、良いリリーフを持っている。先発も彼らは良い仕事をしている。そのことは、自分たちが的確な試合をしている時、自信を与えてくれるし、勝つチャンスがある」三塁を守るエウヘニオ・スアレスは語っている。
無名選手を発掘、再生させる能力
ポール・シーウォルドは、ディポトの率いるフロント陣が一か八かで獲得し、素晴らしいサクセスへと導かれた多くのリリーフ投手の最初の一人だった。そしてその流れは今シーズンも変わる事はなく、右腕のジャスティン・トパ、ゲイブ・スパイアーそしてトレバー・ゴットが併せて、48イニングで防御率1.31、47奪三振、11四球の素晴らしいパフォーマンスを発揮している。
そのことから彼らの台頭と、ディエゴ・カスティーヨ(現在は40人枠外)、マット・フェスタが不振に苦しんでいる事は、昨年チームを久しぶりのポストシーズン進出を推進させたカギとなったブルペンの歯車が、AAAタコマにいる理由だろう。
またサーバイスは、毎年スプリングトレーニングで新たにチームに加わった投手を評価することについて尋ねられた際にこのように語っている。「皆、いつもその選手たちの中から3、4人を期待している。みんな彼が必要になるだろうし、すべてのチームは彼らを必要としている。そして我々が知っている事は、彼らが移り変わりしやすいという事だ。誰がその次に来るのか?どう我々はこの事を回していくのか?私は、おそらく我々が何かを発掘しそれから新たなキャリアを開く選手を探すことを楽しんでいる」
と。
世界一制覇チームとの相関関係
ワールドシリーズを制覇しているチームは、いつもその年リーグベストの内の一つの投手陣であり、昨年のヒューストン・アストロズ、その前年のアトランタ・ブレーブスそしてコロナのパンデミックで短縮シーズンとなった2020年のロサンゼルス・ドジャースはそれぞれ、その項目に該当することだろう。
そのため、チームの打線が貧打に苦しんでいる事にフラストレーションが溜まる事に関して、もし現在の状態を改善そしてトレード期限までに獲得に動く可能性があれば、マリナーズにはプラスととらえられるベースとなるものがあるだろう。
また2019年にチームの再建が着手された時から在籍する捕手のトム・マーフィーはクレマーに対し、このようにコメントしている。「我々の投手陣は今の3年間で、どんな試合でも我々をキープし続けてくれている。明らかにそれが自分たちのチームの中心点だと思っている。我々が認識している事は、良い球種がある皆にとってはっきりとストライクゾーンで支配する仕事という事だ。我々はそうする為の奴らがいる。そして我々は過去の年を経験し、それが過去数シーズンのこのチーム組織での成功の礎であるというのに自分の考えに疑いはない」
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