今オフFAの目玉、アーロン・ジャッジはどのチームも欲しがる選手であり、ナンバー2評価のブランドン・ニモ、アンドリュー・ベニンテンディもおそらくそうだろう。しかし、この3人以外にも注目を浴びており、活躍次第で”お買い得”となるかもしれない外野手がいる。その名前は、マイケル・コンフォートだ。ただ昨年メッツでFAイヤーとなる年に成績を下げ、昨オフはフリーエージェントになってもどこのチームともサインせず、今年の4月に肩の手術を行った事を考えると、一年全休しているコンフォートとサインすることにはリスクがある。
しかし、大きな利益となるものは30歳を迎えていないトップ級の左打者が獲得できるチャンスであり、それが前述の通り”お買い得”な補強となる事だろう。さらに選手として脂がのった年齢でケガが原因で1シーズンを棒に振った選手は比較できるほどここ数シーズンそう多くはないものの、ロイヤルズの捕手サルバドール・ペレスが2019年にトミージョン手術をした後、昨年48ホームランを放ったり、ブレーブスのレジェンド、チッパー・ジョーンズが1993年にメジャーデビューを果たした翌年のスプリングトレーニングで右肘部分断裂をしシーズン全休をした後、野球殿堂入りとなるキャリアを歩むなど、復活を果たした成功例は少なくない。とはいえ、グレディ・サイズモアや、アメリカ4大スポーツの2つのリーグでオールスターに出場したボー・ジャクソンがケガから復帰後、以前とは全くの別人となる例もあるのは事実だ。
しかし、コンフォートはジャクソンやサイズモアのようなケガに直面したわけではなく、十分にコンフォートがカムバックできる理由がある。
まず初めに目をつけてほしいのが、昨年2021年にコンフォートがリーグ平均の打者(WRC+102)であってさえも、広いサンプルで優れていた打者であったということで、リーグ平均であった2021年を含めてもここ3シーズンでOPS+123。さらに5シーズン全体でも127OPS+という結果となっている。
また、この期間で他の左打者を比べてみても、コンフォートはトップ20に入る打者で、2019年から21年の間では、元同僚のメッツ、ジェフ・マクニール(OPS+119)を凌ぎ、一方2017年から昨年までの期間はコリー・シーガー、カイル・シュワーバー、ラファエル・デバースといったMLBを代表する左打者をも上回っていた。
そしてこれらの結果を踏まえ、コンフォートのここ3シーズンのスタットキャストでの成績に迫った。
アンソニー・リゾ(NYY)より高いバレル率
まず、バレル率ってなに?と思う方にざっくり説明すると、95マイル以上の打球初速プラス18~40°の発射角度で飛ばした打球の割合で、その打球の多くはホームランや長打になりやすいとされているもの。2016年シーズンのデータではバレルと認定された打球は打率が.822、長打率2.336といった結果になっている。
本題に入ると、コンフォートとリゾの長打の数は前者が119、後者が118とほぼ似たような数となっているがバレル率では、コンフォートが10.8%、リゾが9%をマークしている。
コディ・ベリンジャー(LAD)より高いハードヒット率
ここ2シーズン、低調な成績に終わっているベリンジャーであるが、2019年にMVPを受賞した際の復活を願って今獲得競争に乗り出しているチームが多くいる状況にあり、目立たないながらも今オフ注目の一つとされている。しかし、なぜベリンジャーに復活を賭けて、コンフォートにはそうではないのだろうか?
例をとってみても、コンフォートは38.8%のハードヒット率でベリンジャーはほぼ1%であるが37.7%と低い数値を記録しており、ベリンジャーは空振りが多い懸念があるが、コンフォートにはそういった心配はなく、彼のスイングからは13.4%の割合(ベリンジャーの場合は12.2%)でハードヒットを生産している。
アンドリュー・ベニンテンディ(KC/NYY)より多くフライ系の打球を生み出している
最近3シーズンでのコンフォートに関するラインドライブとフライボールを併せてのパーセントが54.4%で、ベニンテンディ(54%)と比較すると0.4%高い結果になっている。それに加え、ラインドライブ率だけにフォーカスすると、ベニンテンディは23.3%、コンフォートは26.6%と3%ほど高い。
期待値の成績ではブランドン・ニモ(NYM)より優れている
スタットキャストで攻撃を測る指標で多く用入られるのがxwOBAといわれるもので説明すると、ハードヒット率や三振率、四球率などをベースに算出したもので、.311が平均値となっている。
この指標において、コンフォートはコンスタントにトップ級の成績を挙げており、2017~21年のコンフォートのxwOBAとwOBAは次の通りの結果となっている。
2017年 xwOBA.377 wOBA.392
2018年 xwOBA.339 wOBA.342
2019年 xwOBA.371 wOBA.358
2020年 xwOBA.374 wOBA.401
2021年 xwOBA.350 wOBA.322
また、2019年から21年の間では、xwOBAは.364で、コンフォートと同じくメッツからFAとなっているブランドン・ニモより上回る成績だ。ただ、ニモのxwOBA.347も悪いものではなく、優れていると言えよう。それゆえ、コンフォートと比較すれば同等の成績という意味ではないということだ。
コンフォートが今シーズン肩の手術が原因で全休していたという事実を見落とすことはできない。しかし、来シーズンまでに肩の状態が健康であると確信が持てるものだろうし、まずまずの外野守備とそれ以上のバットでコンフォートは貢献してくれるはずだ。もしくは反対に、今この記事を読んでいる読者がチームのフロントのひとりだったら、復活に確信を持たないだろう。だが、そのいちかばちかのチャンスは目の前にあると言えるものかもしれない。
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