2024.12.04.世界最大級の格闘ゲームイベント「EVO Japan 2025」のメインタイトルが7つ発表された。
そのひとつに先月リリースが発表されたばかりの『Virtua Fighter 5 R.E.V.O.』の名前があった。
『Virtua Fighter 5 R.E.V.O.』は『Virtua Fighter esports』にゲームバランス調整を加えたVer.2.0をベースに、Steam版ならではのアップグレード要素が加えられた新バージョンとなる。
実に13年ぶりのバランス調整が加えられ、技性能の調整や、シリーズおなじみの人気技の復刻など注目ポイントが盛り沢山だ。
格闘ゲームの頂点から転落…止まった時間
『Virtua Fighter esports』は2021年6月1日(火)に配信された格闘ゲームで、そのベースとなっているのは2010年7月にアーケード(ゲームセンター)で稼働開始となった『Virtua Fighter 5 Final Showdown』。
つまり11年もの時間を空けて動き出した株式会社セガのesportsプロジェクトなのだ。
『Virtua Fighter』は3D格闘ゲームの先駆けとして1993年に稼働を開始したセガの大ヒットタイトルだ。
シリーズ2作目となる『Virtua Fighter2』はテレビ放送でも積極的に宣伝し大ヒット!『鉄人』と呼ばれる強いプレーヤーにスポットライトが当てられ老若男女を巻き込み社会現象を巻き起こした。
その後のシリーズも一定の人気を誇り全国大会も積極的に開催。『鉄人』に代わる『スタープレーヤー』も誕生しバーチャファイターの熱は冷めることは無かった。
しかし格闘ゲームは操作が複雑で勝つためには技の知識も必要なため初心者が始めるにはあまりにも敷居が高かった。そのため気づけば古参と呼ばれる経験豊富なプレーヤーのみが残り、自然と『Virtua Fighter』をプレーする人口は減っていった…
そして格闘ゲームで覇権を握っていた『Virtua Fighter』は『Final Showdown』を最後に10年以上新作が作られず、いつの間にか格闘ゲーム王者の椅子から姿を消していた。
『Virtua Fighter esports』のリリース後、過去のファンが戻り『Virtua Fighter』の熱が再沸騰する流れはあったが、厳しい言い方をするとプロモーションがうまくいかずプレー人口は減少。プロプレーヤーを誕生させるなどセガの企業努力もあったが活躍の場があまりにも少なくプロ活動もそれほど見られなかったため、その認知度は『Virtua Fighter』のプレーヤー周りにとどまった印象だ。
それでも『Virtua Fighter』を愛するプレーヤーは一定数残っており、バージョンアップや新作発表を待ち望んでいたが『Virtua Fighter esports』リリースから3年経ってもその動きはなく『Virtua Fighter esports』からも少しずつプレーヤーは離れていった。『Final Showdown』のリメークだったという事もあるのだろうが、変化が見られない『Virtua Fighter』はユーザー心理として時間が止まったままのゲームだったと言えるだろう。
『esports』の時代到来
『Virtua Fighter Final Showdown』が全国のゲームセンターから数を減らし人々の関心が薄れていく中、世の中の動きは違った。テレビゲームを新しいスポーツと位置づけエンターテインメントビジネスとして展開していく『esports』事業が進み始めたのだ。
人気タイトルはFPSと呼ばれるシューティングゲームや複数人でチームを作り相手陣地を侵略するバトルアリーナゲームだ。海外では賞金付きの大会も開かれ、スポンサー契約を結んだプロプレーヤーが誕生するなど注目度は年を重ねる度に増していった。
格闘ゲームも一部その波に乗りプロプレーヤーの誕生と賞金付きの大会の開催などにより、じわじわと世の中の関心を集めていった。そして2023年、大きな転換期を迎える。ある人気タイトルの新作発売と共に一気に格闘ゲームの注目度が跳ね上がったのだ。
そのタイトルは『STREET FIGHTER 6』である。リリース後、芸能人や人気配信者を使った様々な広告戦略が行われ、これまで格闘ゲームに興味が無かった人への認知度がUP。賞金1億円を超える大会やプロによるリーグ戦を定期的に開催するなど人々の関心が途切れない工夫も功を奏し、格闘ゲームというジャンルにおいてはesports市場で絶対的地位を確立させた。
そして2024.11.22、ずっと沈黙を守っていた株式会社セガがついに口を開いた。
今冬 Virtua Fighter R.E.V.Oリリース
株式会社セガは、PC(Steam)用ソフト『Virtua Fighter 5 R.E.V.O.(バーチャファイター5 レヴォ)』を今冬配信することを発表しました。※株式会社セガ公式HPより引用
このタイミングでまさかの発表!ユーザーは驚きを隠せず、SNSでは「完全新作じゃないのかよ」や「10年遅い」など冷めたコメントも見られたがその一方で「遂にきた!」「待ってました!」「新作への布石」など熱狂的なファンによる喜びの声が多くみられた。
『Virtua Fighter 5 R.E.V.O.』は『Virtua Fighter esports』にゲームバランス調整を加えたVer.2.0をベースに、Steam版ならではのアップグレード要素が加えられており、これまで以上に高品質なゲーム体験を実現しているという。進化した点は次の通りだ。
- ロールバックネットコード対応!
- 13年ぶりのゲームバランス調整!
- グラフィックがより鮮明に!
ロールバックネットコードに対応したことにより、オンライン対戦時の遅延が軽減、1フレームの遅れが対戦結果に大きく影響する格闘ゲームにおいてまさに死活問題だった部分が解消される。
ゲームバランス調整は『Virtua Fighter Final Showdown』から数えると13年ぶりのこと。気になるのは『シリーズおなじみの人気技の復刻』、これによりこれまでとは全く違った戦いになる可能性が大きい。
調整される技と復刻される技、この点がリリースと共に注目を集めるのは必至である。
グラフィックに関しては最大4Kの内部解像度・フレームレート60fpsに対応!今まで以上に美麗なグラフィックで対戦が楽しめそうだ。
それでも心配される『Virtua Fighter』の未来
『Virtua Fighter R.E.V.O』の発表により再び注目を集めている『Virtua Fighter』だが、ユーザーからは今後を心配する声が上がっている。それが『Virtua Fighter R.E.V.O』がPC(Steam)用ソフトとして発表されている点だ。PC(Steam)版を求める声は『Virtua Fighter esports』リリース当初から望まれていた声だが、PC環境が整っていないユーザーも多くいるだろう。同じ3D格闘ゲームである『鉄拳8』の動作環境を参考にするならば『Virtua Fighter R.E.V.O』を満足のいく環境で動かすためにはある程度のスペックを持ったゲーミングPCが必要と予想されるため、ゼロから環境を整えるには高額な投資が必要なのである。そうなるとプレーしたくても出来ないというユーザーが一定数出ることが予想される。
つまり現在『Virtua Fighter esports』を動かすことが出来るPS4やPS5で『Virtua Fighter R.E.V.O』が出されないのであればユーザーは『Virtua Fighter esports』と『Virtua Fighter R.E.V.O』に分散、それにより片方のタイトルでマッチングが減り、過疎化が進むという予想が一部から出ているのである。
クロスプレーを望む声も上がっているが『Virtua Fighter R.E.V.O』は技の復刻がなされている点から『Virtua Fighter esports』とは別物、クロスプレーの実現は難しいだろう。
EVO Japan 2025 は『Virtua Fighter R.E.V.O』で発表されているということはセガはPC(Steam)版1本に力を注いでいくのか?それともPS4やPS5でもリリース予定なのか?理想はPS4やPS5でも『Virtua Fighter R.V.E.O』リリースしクロスプレーを実現することだろうが、わざわざ『Virtua Fighter esports』バージョン2.0を発表し、『Virtua Fighter R.E.V.O』についてはPS4版やPS5版についてコメントしていない点を見ると『Virtua Fighter R.E.V.O』のスタートはPC(Steam)版だけになりそうだ。
EVO Japan 2025は「ビートライブカップ」とコラボ
EVO Japan 2023でメインタイトルに入っていた『Virtua Fighter esports』。
その際はシングルでのエントリーだった。しかし今回は『Virtua Fighter』の歴史の中でも最も栄誉ある大会と言われている「ビートライブカップ」とのコラボレーションとして5on5形式を採用!熱戦は必至である!
「ビートラだけは行く」バーチャ―プレーヤーであればこの言葉を言ったり聞いたりしたことがあるのではないだろうか、それほど特別な大会が「ビートライブカップ」なのである。
大の大人が本気で感動し本気で泣く、勝敗に一喜一憂し、その結果に誰もが胸を熱くする。そんな戦いがEVO Japan 2025にやって来るのだ。
『Virtua Fighter R.E.V.O』での戦いはまだ始まっていないもののすでに先の戦いに向け熱くなっているプレーヤーがいることは非常にいい事だ。筆者はこの熱が大炎となって燃え上ってくれることを願っている。
『Virtua Fighter』の熱狂的なファンの一人としてこれから先の未来も追い続けたい。
筆者:Kenちろ Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCqXWy_v0PND-w8Y9VWCs5FA
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