2025年春季高校野球神奈川県大会2回戦で、大波乱が巻き起こった。プロ注目の左腕・浜岡蒼太を擁する川和が、延長11回タイブレークの末、日大藤沢を撃破。また、選手11人の公立校・大師が、桐光学園に11年ぶりの公立校からの黒星をつける快挙を達成した。これにより、日大藤沢と桐光学園はともに夏の神奈川大会でノーシードが確定。戦国神奈川に新たな波が立ち始めている。
記事のポイント
・川和が日大藤沢に延長勝利、浜岡蒼太が13奪三振
・大師が選手11人で桐光学園を破る公立の星に
・桐光、日藤ともに夏ノーシード決定で神奈川大会は激戦必至
川和が日大藤沢に延長勝利、浜岡蒼太が13奪三振
進学校・川和が歴史的勝利
神奈川屈指の進学校・川和高校が、春夏4度の甲子園出場を誇る日大藤沢を相手に延長11回、劇的な4―3勝利を収めた。プロ注目の左腕・浜岡蒼太(3年)は151球の熱投で7安打3失点、13奪三振の圧巻完投を披露。スタンドにはNPB8球団、メジャー1球団のスカウトが集まり、自己最速タイ144キロの直球や多彩なモーションで打者を翻弄する姿に熱視線を送った。
「ここで勝てないと横浜には勝てない」と浜岡。川和の選手たちは「打倒・横浜」を掲げ、新チーム発足からフィジカル強化を徹底。平野太一監督の指導のもと、平日はボールを使わずにウエート中心のトレーニングにシフトし、春の舞台でその成果が花開いた。
7番・増田温人が左中間へ本塁打を放つなど、打撃面でも成長を見せ、守備では佐々木泰生、佐久間寛太らが好プレーを連発。投打に躍動した川和が、強豪・日大藤沢を相手に堂々たる試合を展開した。
フィジカル強化が生んだ劇的成長
冬を越えて進化した肉体と技術
昨秋の神奈川県大会で東海大相模と接戦(2-3)を演じた川和。平野太一監督はその敗戦を糧に、冬の練習を徹底的なフィジカル強化に振り切った。平日はウエート中心のトレーニングに徹し、野球道具を持たない日が続いたという。
その成果は、初戦からはっきりと表れた。浜岡のスタミナと球速、遊撃・佐々木泰生、捕手・佐久間寛太らの鋭い送球といったディフェンス面での進化。そして、5回に左中間へソロ本塁打を放った7番・増田温人は、入学時から20kgも体重を増やし、打撃にも厚みをもたらした。
プロ注目・浜岡蒼太のポテンシャル
変幻自在の投球スタイルに高評価
浜岡は、直球の球威に加え、2段モーションやクイックなど、打者を幻惑する多彩なフォームも武器にしている。「タイミングが合っていると感じたら、モーションを変えて外すようにしている」という工夫が、13奪三振という数字につながった。
MLBスカウトもその変化球を「パドレスの松井裕樹のよう」と高く評価。甲子園未出場ながら、その存在はすでに全国レベルで注目されるまでになった。
打倒・横浜に燃える進学校
「通過点」と捉える強い意志
新チーム結成当初から掲げている目標は「打倒・横浜」。昨秋、東海大相模に一歩及ばず涙をのんだ川和ナインは、その敗戦を慢心することなく成長の糧とした。監督も「自分たちの野球を貫いてきた結果」と冷静に勝利を振り返る。
浜岡も「横浜が勝てば勝つほど、自分たちが勝った時の価値が上がる」とコメント。進学校ながら、プロ志望を公言し「甲子園はプロへの通過点」と言い切る覚悟が、その投球に現れていた。
公立校・大師が桐光学園を撃破
部員11人での歴史的勝利
もう一つの快挙を成し遂げたのが、大師高校だ。選手登録わずか11人、控えなしのギリギリのチーム編成にもかかわらず、強豪・桐光学園を2―1で破る歴史的勝利を挙げた。
エース・大竹倖太郎(3年)は雨の中、自己最速タイの139キロを計測。5安打1失点(自責0)、無四球完投という完璧な投球で桐光打線を抑え込んだ。4回までに5奪三振、フライアウト17と、伸びのある直球を武器に打者を手玉に取った。
打線も3回、佐藤優人の右中間二塁打で先制。続く回では大竹が自らのヒットで出塁し、菅野樹の適時二塁打で貴重な2点目を奪取。守備も堅実で、1点リードを9回まで守り抜いた。園田雄介監督は「8回まで出し切る。9回があればボーナスステージ」と語り、少数精鋭が生んだ奇跡の一戦だった。
強豪校がノーシードに
桐光、日藤が初戦敗退の衝撃
日大藤沢と桐光学園が、春の大会でまさかの初戦敗退。この結果、両校は夏の神奈川県大会でシード権を逃すことが決まった。桐光学園が公立校に敗れるのは実に11年ぶりのこと。桐光・野呂監督は「力不足」と潔く認め、敗戦からの立て直しを誓った。
日大藤沢・山本秀明監督は「最後は勝ち急いだ」と試合終盤の詰めの甘さを悔いた。8回にはプロ注目の主将・半田南十が見逃し三振に倒れる場面もあり、好機で一本が出なかった。
戦国神奈川がさらに混沌へ
この2校のノーシード化は、戦国神奈川をより一層混沌とさせる。横浜、東海大相模、慶應などの強豪校に加え、今回の川和や大師のような公立勢の台頭が著しく、夏の大会はますます予測不能な展開となりそうだ。
まとめ
プロ注目投手を擁する川和と、11人で戦う大師。真逆とも言えるスタイルの2校が、それぞれ強豪に土をつける波乱の春となった。この勝利で夏のシード争いも激変。高校野球ファンの注目を集める神奈川大会は、ますます目が離せない展開へと突入する。
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