【フットサル】木村純のスペインフットサル滞在記

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フットサル文化

今回は私のフットサル史を大きく変えたスペイン滞在を記していきたいと思います。

私がスペインに渡ったのは2006年と2007年で、当時はまだFリーグも創設前で関東リーグのシーズンオフ期間を利用して、スペインのバレンシア州にあるベニカルロという海沿いの小さな街をホームとする「BENICARLO f.s」と言うチームに帯同させてもらいました。

実はベニカルロに帯同が決まる前に、当時ヨーロッパチャンピオンにも輝いた実績のある「Playas de castellón」と、現在も世界のトップクラブに位置している「Movistar Inter」の2クラブへのお話がありました。

カステジョンもスペイン代表のハビ・ロドリゲスなどレベルの高い選手が揃っていて、インテルにおいてはほぼ全員各国の代表選手であり、インテルに行けば世界一の練習・世界一の選手の質を間近で得られるまたとない機会でしたが、その時の自分はなんとなくしっくり来ず。。

他の候補を挙げてもらったところ、紹介されたのがベニカルロでした。

「このクラブはまだ今シーズンは1部残留が目標だけど、近い将来上に行くはず。あと海しかない小さな街だけど、街全体でクラブを応援している。あと気候も良いよ」

インテルやカステジョンと比べるとクラブの規模は落ちますが何か惹かれるものがあり即決しました。

実際に到着してみると海沿いの暖かな街で、信号機は一つもありませんでした(ヨーロッパにある回転式の交差点のみ)

最初に帯同した2005-06年シーズンはアテンドの助言通り残留争い真っ只中でした。

一週間のスケジュール

日曜OFF
月曜フィジカル
火曜戦術練習
水曜戦術練習(前節のゲームからの改善点)
木曜戦術練習(今節の相手の対策)
金曜ホームゲーム(戦術練習) アウェーゲーム(移動前泊)
土曜ゲーム
フィジカル前・カメラ目線は元ポルトガル代表ゼ マリア
ゴールの瞬間

タリスマン(Talismán)

帯同して最初のゲームはXOTAとのアウェー戦で、

ナバーラ州のパンプローナと言う街までバスで5-6時間の移動でした。

試合前の控室(後ろで目を光らす監督のミキ)

残留を引き寄せるためにも絶対落とせない試合で、控室もなんとも言えない空気感でした。

何か自分なりに力になれることは無いかと考え、ロッカールームでみんなにこう言いました。

「yo soy talismán de benicarló」

Talismánとはお守りと言う意味で、直訳すると「私はベニカルロのお守り」

正直なところ文法的に正しいのかは分かりませんでしたが、それを聞いてみんな盛り上がっていたので一応狙い通りにはなったので良かったです(笑)

試合は無事に勝利を収めることが出来ました。タリスマン効果があったのかはさておき、この勝利でチームの雰囲気も和やかになり、上手く馴染めた気がしました。

元ブラジル代表セサール パウロ
キャプテンのバディージョ(現Palma Futsal監督)

ホームでの圧倒的な応援

翌週はベニカルロでのホームゲーム。迎える相手はPlayas de castellón。

会場となる施設は街の体育館で、収容人数もおおよそ約2,000人程とけっして大きな体育館ではありませんが、同じ県に本拠地を置くダービーと言うこともあって立ち見も出るほどにかなりの盛り上がりとなっていました。

ベニカルロのホーム体育館

試合も点の取り合いで白熱した内容で、相手がボールを持つ度にブーイングを浴びせ、隣に座っている人との会話も聞こえないくらいでした(笑)

今でも鮮明に覚えているのが、べニカルロが0-2のカウンター(味方GKと相手2枚)をくらい、GKが詰めたところを中に折り返されあとは無人のゴールにインサイドキックで押し込むだけがバーの上にふかしてしまいました。アウェーのプレッシャーがミスを起こさせました。

その後カステジョンのパワープレーもチーム・会場が一体となって凌ぎ切り勝利を収めました。

まさにホームの力アウェーの難しさを目の当たりにしました。

残留から翌シーズン

その後、ベニカルロは熾烈な残留争いを制して残留を果たしました。

翌シーズンも同じ時期にベニカルロを訪れ、帯同させてもらえることに。

このシーズンは前シーズンの残留争いからうって変わりなんと上位プレーオフ圏内を争っていました。

その要因のひとつが足元の技術に優れたGKの補強。当時のルールではGKへのバックパスに制限がなかったのでGKが高い位置を取りポゼッションに参加するといった戦術でした。

06-07シーズンのメンバー

見事プレーオフに進出したベニカルロは準決勝でインテルに敗れ4位でシーズンを終えることに。

前シーズンから比べると大躍進となりましたが、前シーズンから引き続き在籍していた選手はキャプテンのバディージョを含め3名とプロの厳しさも目の当たりにました。

おわりに

ベニカルロと言う街は田舎の海沿いの小さな街でしたが、小さいが故に街全体でクラブを応援している事にとても魅力を感じました。アウェーの試合でマドリードや他の街にも行きましたが街の規模が大きくなるとスポーツとしての人気度でフットサルのポジションがそこまで上位ではないので、ベニカルロを肌で感じられて本当に良かったと思います。

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この記事を書いた人

木村純のアバター 木村純 カンビアール合同会社代表 ストレングスコーチ    パーソナルトレーナー

プロスノーボーダーやフットサル日本代表選手をはじめ数多くのアスリートのパーソナルトレーニングを担当。
2016年にカンビアール合同会社を設立。
パーソナルトレーニング事業の他、個人の体質から最適なトレーニングやライフスタイルをアドバイスする遺伝子分析事業を展開。
フットサル関東リーグ2部所属 FENIX YOKOHAMAコーチ。

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