JFA(日本サッカー協会)は5月23日、2026年FIFAワールドカップ北中米大会アジア最終予選(6月5日オーストラリア戦@豪州、6月10日インドネシア戦@大阪)に臨む日本代表メンバー27名を発表した。3月の予選シリーズで本大会出場を決めた日本は、6月の2試合を事実上の“消化試合”と位置づけながらも、新戦力の登用とチームのさらなる強化に向けて大幅なメンバー変更を断行。24歳の佐野海舟が約1年2か月ぶりに代表復帰を果たし、弟の佐野航大を含む7名が初招集されるなど、新旧入り交じった構成となった。
【招集メンバー】
▼GK
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
谷 晃生(FC町田ゼルビア)
鈴木彩艶(パルマ/イタリア)
▼DF
長友佑都(FC東京)
渡辺 剛(ヘント/ベルギー)
町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)
瀬古歩夢(グラスホッパー/スイス)
関根大輝(スタッド・ランス/フランス)
鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)
※ 高井幸大(川崎フロンターレ)
▼MF/FW
遠藤 航(リバプール/イングランド)
大橋祐紀(ブラックバーン/イングランド)
鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)
森下龍矢(レギア・ワルシャワ/ポーランド)
町野修斗(ホルシュタイン・キール/ドイツ)
中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)
佐野海舟(マインツ/ドイツ)
平河 悠(ブリストル・シティ/イングランド)
※ 熊坂光希(柏レイソル)
※ 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)
細谷真大(柏レイソル)
鈴木唯人(ブレンビーIF/デンマーク→フライブルク/ドイツ)
藤田譲瑠チマ(シント=トロイデンVV/ベルギー)
三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)
※ 佐野航大(NECナイメヘン/オランダ)
※ 俵積田晃大(FC東京)
※ 佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)
※=初招集
記事のポイント
・佐野海舟が1年2か月ぶりに代表復帰。昨年7月の逮捕・不起訴処分を経て日本協会が謝罪・反省を確認し招集決定
・7名の初招集選手が名前を連ね、若手の起用拡大が顕著に
・主力の三笘薫、伊東純也らはコンディション面で休養のため招集外に
・久保建英はリーダー役として継続招集。経験豊富な彼の存在に期待が寄せられる
・森保ジャパンは6月5日のオーストラリア戦、10日のインドネシア戦で戦力の底上げとテストを実施予定
1. 佐野海舟、代表復帰の背景と周囲の反応
佐野海舟は、マインツ(ドイツ・ブンデスリーガ)所属のボランチで、昨年7月に女性への不同意性交疑惑で逮捕され、不起訴処分となっていた経緯がある。彼の招集についてJFAの山本昌邦ナショナルチームダイレクターは「相手の方と話し合い、謝罪が確認された」「本人が深く反省している」「不起訴処分がなされた」という3つの理由を挙げ、森保監督も「ミスを犯した選手を社会から葬り去るのか、それとも再チャレンジの場を与えるのか」と語り、招集を決断した。
ドイツでのシーズンは圧巻の内容で、リーグ戦34試合全先発、総走行距離リーグトップ(393.7km)と圧倒的な運動量を誇り、球際の強さでもリーグ上位に入るなど、高い評価を得ている。現地マインツのキャプテンや監督、ファンからも「マシーネ(マシン)」と称されるほどの働きぶりで、スタジアムの観客からも大きな拍手が送られている。
彼自身も代表復帰に際し、「サッカー選手としてプレーできる喜びを噛み締めている」とコメントし、社会貢献活動も継続していく意向を示している。こうした周囲の評価や本人の真摯な姿勢が、招集判断に大きく影響したと言える。
2. 7名の初招集選手に期待集まる
今回の代表発表では、欧州組を中心に7名の初招集選手が選ばれた。若手の起用を積極的に進める狙いが見える。
- 佐野航大(NECナイメヘン/オランダ):佐野海舟の実弟。攻撃的なセンスを持ち、U-20アジアカップやU-20W杯でも中心選手として活躍。
- 三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム/オランダ):パリ五輪世代のMF。今季エールディビジで30試合5ゴールの活躍を見せている。
- 平河悠(ブリストル・シティ/イングランド):若手でありながら欧州でのプレー経験を持つMF。
- 熊坂光希(柏レイソル):身長185cmの大型ボランチ。昨季プロ入り後、今季はチーム躍進のキープレーヤーとして17試合に出場。
- 鈴木淳之介(湘南ベルマーレ):3バックの左を務める21歳DF。J1全17試合先発し、タックル数はリーグ3位。
- 俵積田晃太(FC東京):スピードとドリブルが武器の21歳MF。“ネクスト三笘”とも称される攻撃的選手。
- 佐藤龍之介(ファジアーノ岡山):18歳の若手MFで、ロス五輪世代の期待株。今季J1で12試合3得点を記録し、U-20日本代表でも活躍中。
山本昌邦ナショナルチームダイレクターは特に佐藤について「U-20世代の中心選手であり、未来を感じさせる選手」と期待を語る。森保監督も「選手の成長がチームの成長につながる」と話し、新戦力の積極的な起用を明言した。
3. 主力選手の休養と久保建英の重要性
6月の試合は消化試合的な性質もあり、MF三笘薫(ブライトン)、MF伊東純也(スタッド・ランス)、MF南野拓実(モナコ)、MF守田英正(スポルティング)ら主力は招集を見送られた。森保監督は「出場試合数が多く、ケガのリスクも高い選手は今回は休ませる」と説明している。
一方で、久保建英(レアル・ソシエダ)はリーダー役として継続招集。今季51試合に出場し高いパフォーマンスを維持しているものの、監督は「新戦力のリーダー役として若手に接してもらいたい」と期待をかける。久保自身も6月5日の誕生日を迎え、チームの中核として存在感を示すことが求められる。
また、遠藤航(リバプール)、鎌田大地(クリスタル・パレス)らも選出されており、一定の経験値を保ちながらチームの安定感を支える形だ。
4. 守備陣の変化と若手台頭
DF陣も大幅にメンバーを入れ替えた。38歳の長友佑都(FC東京)が最年長として代表に残ったが、谷口彰悟や冨安健洋が離脱中。負傷の町田浩樹(サンジロワーズ)も不安材料だ。
新たに21歳の鈴木淳之介(湘南)、20歳の高井幸大(川崎フロンターレ)が招集され、チームの守備陣若返りが進む。高井は身長192cmの大型DFであり、負傷者続出のセンターバックラインに厚みを加える重要な存在だ。
5. 6月最終予選の重要性とチームの狙い
日本代表は3月のシリーズでW杯本大会出場権を獲得したが、6月の2試合はFIFAランキングやチームのさらなる成熟を図るための活動と位置づけられている。
森保監督は「勝利にこだわりながらも、チーム力の幅を広げ、強固にしていきたい」と強調。新戦力のテストと成長促進を目的とし、チームの底上げを目指す。6月5日のオーストラリア戦はアウェー、10日のインドネシア戦はホーム・吹田スタジアムでの開催予定だ。
6. 佐野兄弟、日本代表初の兄弟同時選出なるか
今回の大きなトピックとして、佐野兄弟の同時選出が挙げられる。兄・海舟は1年2か月ぶりの代表復帰、弟・航大は初招集となった。
兄弟での代表同時出場は日本代表史上も珍しい例で、過去には佐藤勇人・寿人兄弟、三浦兄弟などが知られている。佐野兄弟も早ければ今後の試合で共にピッチに立つ可能性があり、ファンの大きな注目を集めている。
航大は「ライバルであり、自分を一番理解してくれる兄といつか代表で共にプレーするのが夢」とコメント。兄弟の共演に期待が高まる。
7. ファンと現地の反応:佐野海舟への評価
ドイツ・ブンデスリーガでの佐野海舟の評価は極めて高い。チームメイトや監督から「信じられないほど走れる」「スピード、テクニック、勝負強さが際立つ」と絶賛されている。
試合中の鋭いボール奪取や献身的な守備姿勢は現地ファンから「マシーネ(機械)」の称号をもらうほどで、試合後のファンサービスも丁寧。現地メディアの専門誌でもベスト補強トップ10にランクインし、価値は大きく向上した。
本人は「サッカーができることに感謝し、常に自分に課題を課している」と語り、プレーだけでなく人間性も高評価だ。
8. 今後の注目ポイントと代表の展望
6月の2試合は、既にW杯出場が決まっているとはいえ、日本代表にとって重要な試金石となる。若手の成長、戦術の浸透、チームの新たな強固な層作りに直結する。
森保監督は「高い壁に挑戦するため、若手にはハングリー精神を持ってチャレンジしてほしい」と若手選手の意欲と活躍を期待。新戦力と経験者の融合で次のステージに向けての布石を打つことが求められる。
また、7月に韓国で開催されるE-1選手権に向けても、今回の若手起用が影響する可能性があり、将来的なチームの主力候補の成長具合に注目が集まる。
まとめ
6月の北中米W杯アジア最終予選に向けた日本代表メンバーは、佐野海舟の復帰を中心に若手7名の初招集を含む大幅な刷新となった。主力の休養を図りつつ、久保建英をリーダーに据え、新旧の選手が融合する新体制だ。社会的に議論を呼んだ佐野海舟の招集は、JFAと森保監督の厳正な判断のもと、再チャレンジの場を与える意味合いが強い。6月5日のオーストラリア戦、10日のインドネシア戦は、チームの未来を占う重要な一歩となる。
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