昌平?浦和学院?花咲徳栄?三つ巴の争い、本命なき埼玉は混戦の予感
第105回全国高校野球選手権埼玉大会は花咲徳栄の5連覇以外、本命と言われている高校がすんなり甲子園へ進むことが少ない県である。思えば昨年も大本命・浦和学院が決勝で聖望学園に敗れた。今年の本命は昨秋・今春共に埼玉を制した昌平になるが、秋・春・夏「完全制覇」した高校となると直近では1991年の春日部共栄まで遡ることとなる。浦和学院、花咲徳栄との差は僅差である。昌平は無事に初の甲子園切符をつかむことができるか。
昌平~大宮南ブロック
「完全制覇」を狙うAシード・昌平はとにかく投打共に選手層が厚く戦力的には申し分ない。投手陣では、ゲームメイクできるエース左腕・渡邊 俊輔投手(3年)を筆頭に最速143キロ、184センチの長身右腕・佐藤 立羽投手(2年)、2年生左腕・石井 晴翔投手に安定感タイプの右腕・佐藤 勇心投手(3年)、最速140キロの二刀流左腕・山根 大翔内野手(2年)など選手層は厚い。
打線もU-18日本代表候補に選ばれた齋藤 陽貴捕手(3年)を筆頭に金子 晄也内野手(3年)、甲斐 陸斗外野手(3年)、菅沼 航平捕手(3年)、酒井 啓多外野手(3年)など上位下位どこからでも長打が飛び出し穴が見当たらない。昨秋のメンバーに加え、今春で前述の山根や1年生・櫻井 ユウヤ内野手などの新戦力も加わった。唯一、今春の泣きどころであった2番・金子、4番・齋藤の間を打つ3番打者も、今春はケガのため不在であった昨秋3番の小林 驍汰内野手(3年)が復帰するといよいよ盤石の状態となる。
昌平の初戦の相手は早大本庄。決して組み易い相手ではないが、このブロックでまずマークしなければならないのは昨夏の覇者・聖望学園か。今春は飯牟礼新監督を招聘したばかりで練習試合もままならない状態であったが、現在はだいぶ落ち着いているはず。投手陣は橋爪 雅治投手(3年)、井上 大仁投手(3年)の両右腕に2年生左腕・向深澤 要投手(2年)の3人が中心。打線は現状、柳 京四郎内野手(3年)や百済 廉矢外野手(3年)など3年生が中心となり、飯牟礼監督は選手の自主性を重んじるなど戦い方もだいぶ変化しただけに不気味な存在である。
ただし、聖望学園のブロックは難敵揃いである。初戦の相手は今春ベスト8進出と大会を盛り上げた台風の目Cシード・大宮南。昨夏、山村学園を苦しめた技巧派・高山 寛大投手(3年)を擁し、誰もが走れる機動力を有するだけに好ゲームが予想される。ここを勝ち上がっても、4回戦で清田 光投手(3年)や上田健輔(3年)を擁する試合巧者・浦和実と、長身右腕・橋本 海里投手(3年)を擁し花咲徳栄を破るなど昨秋ベスト8の滑川総合の勝者とぶつかる。好左腕・黒須 翔斗投手(3年)擁する鷲宮や、昨秋、山村学園を苦しめた打の春日部、粘りの野球が信条のDシード・川口、昨秋ベスト4の東農大三、古豪・熊谷商や川越工、細田学園なども侮れない。
上尾~大宮東ブロック
このブロックはBシード・大宮東、Cシード・上尾と公立上位校がいるが、このブロックで一番怖いのはもちろん花咲徳栄である。
今年の花咲徳栄は、増田 空内野手(3年)、齋藤 海外野手(3年)、柴田 樹捕手(3年)、新井 大貴内野手(3年)など旧チームのスタメンが半数残る。さらに石塚 裕惺内野手(2年)や目黒 亜門外野手(2年)など有望な2年生の存在もあり、昨秋の県大会のシード決め投票で1位に選ばれるなど前評判は高かった。
問題は投手陣だ。旧チームと比べ金子のような柱がおらず、秋・春共に公立校に敗れるなど、これまであまり見られなかった不安定な戦いを見せている。まずは投手陣の整備であろう。昨夏の経験もある左腕・飯島 大聖投手(3年)と右腕・木田 康介投手(3年)が現状エースを争う状況である。飯島は春以降サイドスローに転向したそうだが、ここに上原 堆我投手(2年)や和久井 大地投手(2年)の両2年生右腕が絡む形になる。最速143km左腕・高橋一英投手(3年)も見たい投手である。
打線は今春ケガで不在だった新井が復帰。さらに今大会は横浜から昨年6月に転校してきたプロ注目・小野 勝利内野手(3年)の出場が可能となる。彼が4番に座り打線はさらなるパワーアップが期待できる。それだけに、4年ぶりの甲子園へ誰がエースとして安定感のある投球をするかが鍵であろう。
順当に行くと、花咲徳栄とベスト16でぶつかるのは上尾と川口市立の勝者か。Cシード・上尾は今年、2年生左腕・飯島 恒太投手(2年)がチームを引っ張る。打線は旧チームに比べそこまでの破壊力がないだけに小技と機動力、そして主砲・駿河 咲希也外野手(3年)の奮起に期待したい。
その上尾と初戦で激突するのが、昨夏1,2年生中心で挑んだ前評判の高い川口市立である。彼らは順調に成長し特に現2年生のポテンシャルは高い。投手陣は上村 俊平投手(3年)と水澤 和之投手(3年)が中心。何より今春はケガのため欠場していた184センチの長身右腕、今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場したオリックス・宇田川 優希投手(八潮南出身)の弟・宇田川 健投手(2年)の復活は大きい。他にも飯出 裕己投手(2年)や高木 綾太投手(2年)の2年生コンビも登板機会を伺う。打線の柱は昨夏1年生で4番を打っていた主砲・西澤 剛内野手(2年)が軸となる。秋・春と前評判ほどの結果を出せていないだけに今大会に期するものはあるはずだ。
ベスト8で待ち構えるのはBシード・大宮東である。大宮東は今年、2年生左腕・冨士 大和投手(2年)がチームを引っ張る。今春はほぼ1人でマウンドを守ったが、流石にベスト4で息切れした。夏1人で投げ切るのは難しいだけに今春は故障で不在だった昨夏の登板経験もある森川 晟投手(3年)の復活が待たれる。打線も白田 友輝内野手(3年)、桑野 倖成内野手(3年)、恩田 愛斗外野手(3年)の上位打線に迫力があるだけに森川の存在が鍵か。その他好投手・前原 智希投手(3年)を擁する山村国際や、浦和麗明、叡明、Dシード・秀明英光も忘れてはいけない存在だ。
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