記事のポイント
・来春の選抜大会から高校野球公式戦で初のDH制導入が濃厚に
・日本高野連が理事会での承認を予定、議論はすでに詰めの段階
・打撃専門選手の起用や投手の負担軽減が期待される新制度
・U18代表監督経験者も導入を推奨、現場からの強い要望背景に
・大学野球では全27連盟が来年からDH制導入を決定済み
選抜大会から新制度始動
「10番目の選手」起用可能に
日本高等学校野球連盟(日本高野連)が、2025年春の第98回選抜高校野球大会から指名打者(DH)制を導入する見通しとなった。近日中に理事会が開かれ、議題として正式に上程される予定で、関係者によれば承認は確実視されている。これにより、長らく「投手も打席に立つ」ことが当たり前だった高校野球が、新たな局面を迎える。
高校野球でのDH制導入は、2023年12月に日本高野連が設置した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」で議論されてきた。リプレー検証や7回制などと並ぶ改革案の一つとして検討され、特に「選手の出場機会を増やす」という観点から賛同の声が多かった。
現場からも賛成の声
「大谷ルール」にも対応
DH制を強く推してきたのが、U18日本代表の監督経験もある明徳義塾の馬淵史郎監督だ。彼は昨年夏、「7回制よりもDH制の方を先にやるべきだ」と語っていた。また、「大谷ルール」と呼ばれる、先発投手がDHを兼任できる方式にも触れ、「打力ある投手を起用する柔軟性が増す」と、そのメリットを強調している。
導入によって、守備には課題があるが打撃に優れた選手、いわゆる「10番目の選手」に公式戦出場のチャンスが生まれる。さらに、投手が走塁や打撃で負傷するリスクを減らせるという安全面の利点も大きい。
アマチュア野球界で広がるDH制
大学野球は全連盟が導入へ
高校野球に先立ち、大学野球ではすでにDH制が広く採用され始めている。東京六大学野球と関西学生野球が来春からの導入を発表し、これにより全27の大学野球連盟すべてが2025年シーズンからDH制を採用することになる。
こうした流れは、高校から大学、そしてプロへと続く野球選手育成の一貫性を高める狙いもあり、高校レベルでの導入も時代の流れといえる。
7回制やリプレー検証も継続議論
高校野球は今、変革期
日本高野連では、今後も7回制の導入やリプレー検証制度の導入について議論を継続する方針だ。試合時間の短縮や安全対策など、現代の高校野球が直面する課題に対応するための施策は多岐に渡る。
近年ではタイブレークの導入や球数制限、ベンチ入り人数の拡大、低反発バットへの移行、暑さ対策のための朝夕2部制など、多くの制度改革が行われてきた。DH制の導入は、その流れの中でも象徴的な変革といえる。
まとめ
高校野球界は今、かつてないほどの変革期を迎えている。2025年春の選抜大会からのDH制導入は、選手の出場機会の拡大、安全性の向上、戦術の多様化といった複数の観点から評価されており、理事会での承認が確定すれば歴史的な一歩となるだろう。「投手も打つ」時代から「打撃に特化した選手が輝く」新時代へ。高校野球の魅力は、また新たな形へと進化しようとしている。
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