【高校野球】埼玉大会 浦和学院が宿敵・花咲徳栄を破り2年ぶり、森大監督初の夏・甲子園へ!

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浦和学院 7-2 花咲徳栄

県営大宮球場は超満員。それもそのはず、埼玉の2強、浦和学院と花咲徳栄が6年ぶりに決勝でぶつかるからだ。果たしてどんな試合になるのか。期待値は高まる。

先発は花咲徳栄がエース木田 康介投手(3年)、一方の浦和学院は左腕・鈴木 夕稀投手(3年)が登板し試合が始まる。

浦和学院は初回、花咲徳栄・木田の立ち上がりを攻め、先頭の小林 聖周外野手(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く月山 隼平内野手(2年)が四球を選び、無死一、二塁とする。さらに3番・喜屋武 夢咲外野手(3年)がきっちりと送り一死二、三塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。

一方の花咲徳栄もその裏、一死から2番・生田目 奏外野手(3年)が左前安打を放ち出塁すると、続く石塚 裕惺内野手(2年)も右前安打を放ち一死一、三塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。

先制したのは浦和学院であった。3回、一死から3番・喜屋武が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、二死後、5番・三井 雄心(2年)が右前適時打を放ち1点を先制する。三井は
「お父さん(三井浩二氏)には手首の使い方、リストを効かせたバッティングを教えてもらい、中学の時には週5、6回室内練習場を借りて2人で練習していた。第1打席はまさにそれで、低めの変化球をうまく拾うことができた」
と、チームに貴重な先制点をもたらした。三井は春の関東大会で脱水症状になり、その後もコンディションが上がらず出遅れていたが、森監督は大事に使い
「三井は終盤に出場できれば。結局、彼が美味しいところを持って行くんじゃないか」
と本庄第一戦後に予言していた。

だが、花咲徳栄もその裏、この回先頭の三上 武流外野手(3年)が死球で出塁すると、続く田中 辰空内野手(3年)のところで花咲徳栄ベンチはエンドランを仕掛ける。これが見事に決まり無死一、三塁とする。ここで2番・生田目がきっちりと犠飛を放ちすぐに同点とする。

同点とされた浦和学院は4回、この回先頭の石田 陽人内野手(1年)が遊撃内野安打で出塁すると、暴投で二塁へと進む。代打・河内 廉太朗内野手(3年)も四球を選び無死一、二塁とすると、1番・小林も四球を選び無死満塁とする。一死後、3番・喜屋武が右前適時打を放ちまず2点、さらに続く西田 瞬内野手(1年)も中前適時打を放つと、5番・三井も右前適時打。クリーンアップの3連打などで、この回一挙4点を奪うビッグイニングを作る。

花咲徳栄はエース木田を諦め、2番手・岡山 稜投手(2年)へスイッチする。

これで流れをつかんだ浦和学院は、花咲徳栄の2番手・岡山を攻め、6回、この回先頭の小林が中越えの三塁打を放ち出塁すると、続く月山が死球で出塁し無死一、三塁とする。さらに3番・喜屋武も死球で無死満塁とチャンスを広げるが、西田の打球は三ゴロとなる。サード小野 勝利内野手(3年)はまず三塁ベースを踏み本塁へ送球する。本塁は一旦アウトとなり併殺かと思われたが、浦和学院ベンチの抗議の結果、判定が覆りセーフで浦和学院は貴重な6点目を奪う。やや気落ちした花咲徳栄・岡山に対し、5番・三井が右前適時打を放ち7点差をつける。

一方の花咲徳栄もその裏、2死から5番・増田 空内野手(3年)が二塁内野安打で出塁すると、続く齋藤 海外野手(3年)も右前安打を放つ。さらに7番・柴田 樹捕手(3年)も四球を選び二死満塁とするが、後続が倒れ試合の大勢は決した。

結局、浦和学院がライバル花咲徳栄を7対2で下し、2年ぶり15回目の甲子園出場を決めた。

花咲徳栄は、やはり準決勝・昌平戦の死闘による消耗が大きかったようだ。
「浦和学院に対しては緩急をうまく使って最後インコース。ただ(準決勝の)疲れかな。ピッチャーに疲れがあった。彼は顔に出さないんで。4回はちょっとずつ球が甘くなって高くなって。ただ、ゴロで抜かれていたんで責められない。安打数は出ているんですが、前半、点を取りたかった。鈴木君に対してはアウトコースを狙って単打単打とそれはできていた。小野は厳しいマークがあったんで。ずっとプレッシャーもあったでしょう。本当はもっと振り回したいんだろうけど、ただ、トクハルの4番らしくしてくれたらそれで良い。浦学は自立した良いチームでした。埼玉の準決勝、決勝を勝ち抜くにはタフさと運が必要。崩れかけたところを最後まで持ってきたのは生徒達のおかげ」
と、岩井監督も悔しさを滲ませつつも気丈に語った。この日は13安打を放ちながら2得点、長打が代打・新井の左翼線への二塁打1本のみ。小野もインコースと高めを攻められ苦しみ前の試合に続きノーヒットと打線の繋がりを欠いた。

木田は
「修正できなかった。前回の昌平戦より制球も良く球も走っているように感じていたんですが。4回、喜屋武君への球は失投です。西田君にタイムリーを浴びたのも大きかった。1球の怖さを知った」
と振り返る。木田は元々は野手。新チームになり本格的に投手を始め、最終的に背番号1をエースとして岩井監督の信頼を勝ち取るまでになった。むしろ、投手陣では昨夏を経験している飯島 大聖投手(3年)が春以降左サイドにフォーム変更した影響からか大舞台で投入できず、上原以外に計算できる投手が出てこなかったことが、継投の遅れにもつながったか。これで昨夏のスタメンが多く残り、さらに小野が加わった強力打線ともお別れ。決勝での敗退という悔しさを石塚、生田目、上原、目黒 亜門外野手(2年)らが中心となり秋以降に生かしてほしい。

一方の浦和学院は今年1年間苦しんだ。

「昨夏の聖望(学園)戦の負けから、なかなか結果が結び付かなかったが、最後は夏だよと選手達に言っていたので。ベスト8からの打線の構成が合っていた。4回は打者が一巡して選手達が打てると言っていたので攻略できると信じていた。毎試合積み重ねていった成長の証が最後の試合に出たかな。6回の判定のシーンはタッチしていないと選手達が口々に話していたので抗議させました。よく見ていたなと。甲子園は初戦の入り方ですね。良い入り方をできればチャンスはあると思っている。投手も揃っているので。13安打を浴びたが徳栄は全国区の打線。2点に抑えたのは自信になる」(森監督)

新チーム結成時は超強力な旧チームと比べられた。だが、投手陣を中心にチームを組み立てると、今春以降は才能のある1、2年生を積極起用し打線も伸びを見せた。キャプテンを小林から江口 英寿外野手(3年)へ変更したことも小林の負担を考えると大きかったであろう。大会中に亡くなった三浦貴コーチのこともあり、二重に苦しかったであろう。勝った後、監督・選手ともに涙を流した姿がそれを表していた。故障中のエース伊藤を田中 樹人投手(3年)、鈴木、渡邉 聡之介投手(3年)、細澤 貫道投手(3年)、月野 龍投手(3年)など皆でカバーした。甲子園で上位進出ができるかは投手陣が通用するかにかかっている。

今大会は戦前から言われていたが、序盤から強豪同士の潰し合いとなった。全国的にも波乱が起きており、埼玉はどうかと見ていたが、順当に昌平、浦和学院、花咲徳栄の3強が勝ち上がり、激戦区となったベスト4最後の一山はノーシードの川越東が昨秋ベスト8の山村学園や春日部共栄を破り勝ち上がってきた。その川越東とベスト8で激突したのは唯一の公立校である春日部東であった。その内訳を見るとベスト16には東部5校、西部3校、南部6校、北部2校と東部、南部の充実感が見て取れる。西部、北部には頑張っていただきたい。

最後に異様な暑さの中、選手が何人も足が攣る状況の中、今大会も大きな問題もなく終えることができた埼玉県高野連の皆様へ敬意を表したい。

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南 英博のアバター 南 英博 ULTRA SPORTS 編集長

世界初のクラウド型スポーツメディアである「ULTRA SPORTS 」WEB版の編集長に就任。当サイトはアスリートのセカンドキャリアを応援し、将来的に様々な競技の参加者同士が自由に交流できるプラットフォームとすべく日々奮闘中。ライターとしての顔も持つ。フットサル、高校野球の取材経験あり。高校野球は主に埼玉担当。

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