東京を中心に大人初心者・ブランク向けにバスケットボールサークルを開催するHi-Five Basketball。
2023年5月と6月にサークル内リーグ戦「The League Season2」が開催された。
5月の第1節と2節を終え、第3節を迎える。
私はチームLITで参加、2勝をあげ決勝の切符は手に入れているが狙うは全勝。
白熱のリーグ戦後半が始まる。
常に体育館が沸き立つ様子を、試合の展開と共に伝えたい。
第3節を前に
リーグ戦は2週間毎に開催されるが、第3節が開催される前週、通常のHi-Five練習会。
短時間だがチームメイトと2人でスクリーンアウトの練習を行った。
他チームは軒並みリバウンドからのセカンドチャンスに強く、LITにはセンターがいるものの頼り過ぎにならないよう強化したかったのだ。
他チームの選手も、自らの課題としているだろうプレーを黙々と練習している姿があった。
誰もが勝ちたいし、チームに貢献したいと思っているのだ。
リーグ戦 第3節
チームLITは、試合当日に体育館最寄り駅にある貸会議室に集まり、その日のローテーション、OF、DFについてミーティングを行った。
この日は選手1名が仕事の都合で欠場もあり、どうローテーションを組むかも重要だった。
また、事前にLITハンドラーによる、シューターの3Pチャンスを作りだしつつ予測されるシューター対策を打破するセットプレー案が出ていて、その実行について内容を確認しあった。
セットプレー名はLITのLをとって「Lセット」。
さて「Lセット」が上手く行くか、チームでチャレンジの第3節が始まる。
Game1 DOPE×LIT
DOPEは全チームが認める得点力が高いアタッカーが複数いるチーム、試合のたびに連携も強まり本領が発揮されてきている。
LITにとってはあまり相性のよいチームではないと思っていた。
1Qがスタート。
最初の得点はDOPEに許すも、気を取り直してLITのOFになると、早速LITハンドラーから「Lセット」サインが提示される。
さりげなくセットに応じた配置になると実行。
DFの動きををみて、LITハンドラーは狙いのシューターへの最終パスではなくドライブを選択、ヘルプで寄ってきたDFの裏をかいて、Lセットを展開していた逆サイドコーナーで待機していた味方女性選手にパス。
パスを受けた彼女は、以前に足首を痛めた名残があると話していたが、それを感じさせないプレーを見せていて、攻守ともに積極的かつバランスよく動き、チームを支えてくれていた。
その彼女が3Pのシュートチャンス!
私はベンチスタートだったが、ちょうど目の前のコーナーでパスを受けるのを間近で見ていた。
のびやかなツーハンドフォームでボールが手から離れた瞬間「入る!」と直感。
「スパッ」とゴールネットを揺らしたのだった!
LITの本試合最初のゴールはLセットからの3Pと最高の出だしだった。
しかし、DOPE女性選手が次のターンのOFですかさず3Pで返す!
LITのDFはマンツーマンを採用、組み合わせの都合で女性選手に男性選手がマークしていたが、ローカルルールがあり、シュートチェックで跳べない、強くDFしてもしファールをしたらDOPEに加点、とはいえドライブもフィニッシュ力も高い女性選手だけにドライブも警戒しなければならない。
スクリーンを上手く利用し、わずかにあいたDFとの距離をつかれ、3Pを放たれたのだった。上手い!
さらにその女性選手がDFではLITシューターにべったりマーク。DFも上手い!
強引に行きOFファールになれば、それもDOPEに加点されてしまう。
実にうまくルールを利用している。
DOPEはアタックの強い男性選手がバスカンからフリースローも決め3点を得る。
重ねて同選手が3Pを決める!やはり強い!
得点が欲しいLIT、ここでセンターが3Pを決める!
彼は走れる、跳べる、外から打てる、役割を理解した貢献的プレーもこなす頼もしい選手だが、スラムダンクの映画影響で数カ月前にバスケを再開したばかりのブランク選手とは思えない活躍をしている。
1Q4分となり両チームメンバーチェンジの時間、13対7の6点差をLITが追いかける。
たった4分(しかも流し)で起きた様々なプレーに、点の取り合いを予感させる展開が繰り広げられていた。
DOPEにある流れをLITに持ってきたいところで、LITハンドラーが3P×2本を沈める。
LITに流れが来た!と思うも、DOPEがディープ3Pを決める!
20対15の5点差と、DOPEが主導権を握ったまま1Qが終了した。
2Qスタート、LITは3-2ゾーンにDFを切り替える。
恐らくDOPEは対策を講じているだろうが、どこまで通用するのかのチャレンジもあった。
が、いきなり3PをDOPEに決められる。
LITは「Lセット」を実行、狙いの形でシュートを放てているが得点にならず。
2Q4分の途中交代時間までに、28対18で10点差と離されてしまうのだった。
嫌なムードを交代早々にLITハンドラーが連続パスカットで2点×2本を獲得。
ここでDOPE女性選手の3PにLIT男性選手がジャンプ疑惑を含んだシュートチェックが発生。
「跳んだ?跳んだ!?」で場内が小沸きするが笛は鳴らず。
LITの連続得点もあったが、35対25で10点差と再度離され2Qを終える。
3Qスタート、LITは1発目をシューターの3Pで得点!
DFはマンツーマンに戻して対抗することにした。
LITが「Lセット」を実行。
得点ならずもOFリバウンドを制して、ボールはまわりまわってシューターに渡ると3Pを沈める!
一気に35対31の4点差まで追い上げ、会場が沸きたつ!
さらにLITは2点を追加して35対33とすると、同点のチャンスが到来する。
LITのワンハンドでシュートを放つ女性選手にパスが渡り、放たれたシュートがネットを揺らし同点!
彼女はブランク選手で昨年からHi-Fiveに参加、そこからワンハンドにシュートフォームを転向。
Hi-Fiveの中でも特に練習熱心で知られていた。
リーグ戦初得点となるシュートが入った瞬間、会場全員が”待ってました!”と大沸きしたのだった。
LITはまたも「Lセット」で2点をとり35対37、ついに逆転したのだった。
3Q4分の交代時間、LITはマンツーマンDFを継続。
ここで私も出場、何とかリードを保ち4Qを迎えたいと気合を入れつつもDOPEも再逆転の意気込み。
試合は両チーム得点を重ね38対38と、またも同点。
同点の中、LITのOFでゴールに向かって右側センターライン近くでボールを受けた私は、ゴールに向かって2回ドリブルをつきDFの意識を引き付け右コーナーの味方にパス。
パスを受け取ったのは、決して器用とは言えないブランク選手。
しかし彼は自分のできることとしてスクリーンで味方を援護し、ゴール下でも体を張ってスクリーンアウトをするなど懸命にプレーし、チームに貢献していた。
本試合の前週、共にスクリーンアウトの練習をしたのも彼とだった。
彼はまだ本リーグでの得点はなかったが、マークが外れたのを見つけ「チャンス!」と思いパスを出したのだった。
「行け!行け!」私が叫ぶだけでなく、誰かも「打て!打て!」と叫ぶ。
ついに得点を決め、私は大きく手を叩いて喜びを表した。
3Q終了。40対42で何とかLITがリード。
4Qスタートは私も出場。
その私がDOPEのマークマンにバスカンを献上してしまった。
若々しい躍動感あるプレーに対応できず悔しくも、”楽しい”という高揚感もあった。
フリースローは運よく外れるも、42対42とまたも同点。
”取り返したい”という対抗心もありつつ、私はハンドオフでボールを受け取りながら味方のスクリーンを利用してドライブを仕掛ける。
うまくDFの引き剝がしに成功すると、寄ってきたヘルプDFの裏にパス。
ノーマークとなったワンハンドでシュートを放つ女性選手にボールが渡ると、2本目となるミドルシュートを決め会場が大きく沸いた!
42対44、LITリード。
しかしDOPEがフリースローの1点と3Pで再逆転し会場が沸く!
46対44、DOPEリード。
4Qでは私がボール運びをしていたが、DOPEのDFに捕まりOFのリズムが悪かった。
LITはそれまで出場していたセンターをいったん戻し、休憩中だったLITハンドラーをコートに戻す。
ボール運びが良くなり、4Q4分の選手交代のタイムまでに46対46の同点に戻したのだった。
選手交代後、試合再開のゴールで魅せたのは、DOPE女性選手のドライブだった。
味方スクリーンでLITのDFを剥がすと、LITセンターが待ち構えるゴール下に向かって物怖じせずドライブ。
LITセンターは、ローカルルールでシュートブロックに跳べないとしても腕を高く上げ難しいシュートにしたにもかかわらず、ふわりと浮かして放ったシュートが決まったのだった。
さらにDOPEは3Pを決め51対46でLITを離したのだった。
これ以上は点差を離されまいと、LITセンターのシュートブロックが炸裂。
対してDOPEもシュートブロックでLITのオフェンスを防ぐと、必死のDFでLITにゴールを許さず、試合終了のブザーが鳴った。
51対46でLITは初黒星となる。
Game2 SWAG×FRAKE
LIT×DOPEの試合をみていた誰かが「こんな(白熱した)試合の後にやりたくね~」と叫んでいたが、これから始まる試合も熱戦となるのだった。
FRAKEは第1節も2節も欠場者がいたため、今リーグ初のフルメンバーでの出場となる。
ゲームをコントロールする能力に長けたガードを中心によくまとまったチームである。
SWAGはアグレッシブなOF能力があり、前節で逆転勝利を掴むといった土俵際の強さもある。
1Qがスタート。先取点はFRAKEからだった。
FRAKEガードがしっかりボールをコントロールし、それに呼応するようにボールがまわりシュートチャンスを作る。
FRAKEはSWAGの強烈なアタックや、身長のミスマッチが発生したローポストからの攻撃もチームで阻止。
1Q残り20秒でも、FRAKEガードがゆっくりボールをコントロールしながらコート上の味方に指示を出し、残り10秒で仕掛ける。
惜しくもシュートは外れるがブザー間際にシュートファールを得つつフリースローも外れるが、実にFRAKEらしいバスケットボールが展開された。
2Qがスタート。2対6でFRAKEのリードで始まるが、ここでSWAGが仕掛ける。
DFからスタートだったSWAGは3-2ゾーンを展開。
3-2ゾーンのTOPにSWAGスコアラーを配置、その彼が体育館に響き渡る大きな声で「行くぞ!」とチームに気合を入れる。
DFを成功させるとSWAGが速攻で得点を決め、さらにFRAKEガードにボールをコントロールさせまいと攻めのDFでボールを奪取すると追加点を取る。
FRAKEも得点するも2Q終了時には、11対10とSWAGにリードを許した。
しかし1点差、まだ試合はどちらに転ぶがわからない。
3Qがスタート。1点差で再開した試合の先制点はSWAGだった。
FRAKEのOFでは、女性選手の放った3Pが半分入りかけたがリングをくるっと回るとこぼれ、惜しいシュートに会場が沸いた。
FRAKEはここでゾーンで対抗。
しかしSWAG女性選手の3Pシュートに思わず、FRAKE男性選手がシュートチェックで跳んでしまった。
3Pを放った女性選手は本リーグ戦でも3Pを決めており、普段の練習でもしっかりシュートを決めている選手なだけに思わず体が反応してしまったのだろう。
ローカルルールに則り得たフリースローにより1点を獲得。
SWAGのDF(マンツーマン)では、男性選手によるFRAKE女性選手へのファールがあり1点がFRAKEに加算。
ローカルルールが機能する。
お互い得点し点差に大きな動きがない時間が続いたが、SWAGのガードを中心に攻め立て連続得点で流れを呼び寄せると、3Q終了時には23対14の9点差と広げた。
4Qがスタート。
SWAGは男性選手がFRAKE女性選手へのファールで1点を献上すると、FRAKEガードが3Pを決め点差を23対18の5点差と縮めた。
FRAKEが流れを掴みかけるが、SWAGガードが味方女性選手のスクリーンでチャンスを作るとしっかり得点をしたのだった。
男性がボールをコントロールしていて女性がスクリーナーだった時、DFはマークマンをスイッチ(DF担当の交換)をするかしないかで迷いが生じる。
マークマンを交換してしまうと、男性選手に女性選手がつくことになりDFが難しくなるためだ。
どのチームもこの特性をいかして男女による相互スクリーンを利用するが、特にSWAGは上手く活用していた。
両チームともOFもDFも集中力が増し、試合も激しさも増していった。
4Q4分の選手交代の時間、25対21の4点差でSWAGがリードを維持。
この交代したタイミングでSWAGは再度3-2ゾーンを仕掛ける。
3-2ゾーンの前衛3人による攻めのDFからボールを奪うと、SWAGガードが3Pシュートを決めた。
FRAKEもゾーン陣形が出来上がる前に攻めるなどして得点をする。
しかし、好プレーを続けるSWAGガードのドライブによる得点で点差を詰めさせない。
30対23の7点差でSWAGリード、残り2分4秒でタイムアウトによりいったん試合が切れる。
その後、両チームともコート上の選手もベンチの選手も一丸となって体育館に響き渡る大きな声を出し合い、一歩も譲らない意地のDFでゴールを許さず、30対23のまま試合が終了したのだった。
SWAG勝利。
この瞬間、LITの決勝の相手が確定した。
初戦の対戦カードが決勝と3位決定戦の組み合わせとなる。
第3節を終えて
これほど悔しいと感じたのは何年ぶりだろう。
コロナ渦前は、東京都の区大会にも出るチームでプレーしたこともあるが、その時に敗戦を味わった時以来である。
チームでも試合を振り返った。
ある程度3-2ゾーンは攻略されると予測していたものの、リカバリができなかった。
シューターへの警戒も予測していたものの、3Qと4Qで思うようにシューターにチャンスが作れず攻めきれなかった。
点はよく取れたがLITのペースではなく、点の取り合い合戦にしないことが良いと気づけた。
チームで振り返ることで、次の決勝戦で優勝を勝ち取るための課題を浮き彫りにできたのだった。
第3節の試合で最も良かったのは、出場した選手が全員得点ができたことである。
その喜びと達成感は強かったが、負けた悔しさもあり何とも複雑な感情である。
これもチーム一丸となって戦うリーグ戦ならではのものなのだろう。
チームLITはこの日の敗戦を教訓に決勝戦に備えるのだった。
接戦になるワケは
なぜこんなにも毎回、試合も会場も盛り上がるのだろうか。
試合中も、1点差や2点差、何度も同点となり、こうも接戦が続くのはなぜだろうか。
チーム分けにおいて実力が拮抗するよう「頭が禿げそうになるくらい考えた」とモケは話していたが、その効果なのだろう。
ただそれだけではなく、試合を観戦するサークルメンバーや応援に駆けつけてくれた方々の熱い応援によって、選手達が普段以上の力を発揮している効果もあるのだろう。
試合を見ているサークルメンバー達は、「どっちにも勝ってほしい」という思いで応援しているのだと感じる。
はっきりとそう思っているわけではないだろうし、勝敗を決める試合なのだから「どっちも勝つ」なんてことはあり得ない。
しかし、どちらのチームも共に練習する仲間だからこそ「どっちにも勝ってほしい」と両チームを応援し、それに応える選手達のプレーがぶつかり合うことで、シーソーゲームのような熱い戦いが毎回繰り広げられるのだ。
これもサークル内リーグ戦ならでは、ということか。
最高潮に達する最終節はどんな試合になるのだろうか。
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