前回のお話はこちらから
↓
【相原ユタカ】ボクの愛した裏サッカー⑧ ~余所行きのトレーニング~
ウガンダで、あるチームに練習生として参加していた頃のお話。
貧乏チームだった為に、最初から“給料はまともに払えないよ”って言われてたんです。ただ、契約内容として『お昼ご飯』と『日当』は出してくれるって話だったんです。ボクとしては“ウガンダリーグでプレーをした”って言う事実が欲しかったんでその条件でももろ手を挙げて“やりまっせ”って言いました。
人間の慣れって恐ろしいもんですわ。
最初は見慣れぬアジア人が練習で素敵なパスを出してくれる。チームのみんなもスタッフも“きっとコイツがチームを救う”なんて思ってくれてたんですね。それが、書類上の問題でなかなか契約がっできなかったんです。
するとどうでしょう。最初は貧乏なりにお金をくれてたんですけど、徐々に日当とお昼御飯が出にくくなってきたんです。
それがボクだけじゃないのが気持ち的な唯一の救いですかね。ボクはまだ契約をしてなかったくせに、人一倍うるさかったから、ギリギリでも出してもらってたんですけど、チームメイトの数人もお金が出て来なくなってきましてね。ホラ、チーム貧乏ですから・・・
とある日の練習後。
チームのスタッフがやってきてみんなに何やら配るんです。なんか棒みたいのを。
ん???
なんだありゃ???
なんとサトウキビ・・・
まさか、日当の代わりがサトウキビ・・・
現物支給って言うんですかね?チーム、サトウキビ関係ないのにサトウキビ。しかも、ボクは外国人だから、みんなが1本のところ、2本もらいまして。
いや、そんな要らねえし。
グランドの端っこでサトウキビをシュガシュガ噛んでるんですよ。嗚呼、情けない。しかも、2本分。全ての歯の間にサトウキビのスジが挟まりましたもんね。
外国人に対する、2本くれるというあの気遣いにより、サトウキビ2本をたいらげるというのは、ボクにとってフィジカルトレーニングに等しいものになりました。
そしてボクはあの日、絶対金持ちになってやると歯に挟まったサトウキビに誓いました。
コメント