【フットゴルフ】最高峰大会がもたらす、もう一つの効能

ゴルフの世界にはメジャー、テニスにはグランドスラムと呼ばれる権威あるビッグイベントが存在します。

これらは、年間やシーズンを通じて開催されているツアーの大会の一つであることに変わりありませんが、それぞれの世界において格式や歴史、権威のある大会と位置付けられており、ゴルフ、テニスともに毎年、男女4大会(女子ゴルフは5大会)が開催されています。

男子ゴルフならばマスターズ、テニスであればウィンブルドンなどは、そのスポーツのファンでなくても、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

そんなメジャー大会ですが、フットゴルフにも存在しています。フットゴルフのメジャーは、世界中で行われているワールドツアーの最高峰の舞台となっており、ヨーロッパ、北米、南米を中心に年間6試合が行われているのです。

欧米の一部の大会を除き、通常のトーナメントだと出場者は概ねその国のプレーヤーに限られますが、メジャー大会は世界のトップフットゴルファーたちが参戦することが多く、賞金額、規模、選手層の厚さなど、通常大会よりもハイレベルな形で実施されているのが特徴です。この辺りはゴルフやテニスと変わらないところですね。

一般社団法人日本フットゴルフ協会では、このメジャー大会を過去2回、開催してきました。2017年は軽井沢72ゴルフ南コース(長野県)、2018年はフォーティーンヒルズカントリークラブ(岐阜県)を舞台とし、世界中からたくさんのフットゴルファーがプレー。両大会とも多くのメディアにも取り上げていただき、盛況のうちに閉幕しました。

国内初開催のフットゴルフ国際大会が閉幕、イギリスのB・クラークが優勝

サッカーキング

元なでしこ丸山桂里奈がフットゴルフ国際大会でデビュー

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そして2023年、再び日本でメジャー大会が行われたのです。

今回の舞台となったのは栃木県のセブンハンドレッドクラブ。11月2日の練習日から5日の最終日まで、日本を含め11カ国から112名の選手が頂点を目指ししのぎを削りました。

優勝したのは、男子がフランスのCedric Bonnot選手、シニアがハンガリーのGyorgy Podusil選手、そして女子が日本の阿久津里奈選手でした。フットゴルフは、2012年の世界フットゴルフ連盟(FIFG)創設以降、競技者が増え続け、それに呼応するように毎年競技レベルが高くなっており、メジャー大会のレベルも過去とは比較にならないほど高度になっています。そんな中で優勝した3名には、改めて称賛の言葉を贈りたいと思います。

優勝した3選手。写真左からGyorgy Podusil選手、Cedric Bonnot選手、阿久津里奈選手。

また、今大会では開催コースとなったセブンハンドレッドクラブさんにも多大なるご協力をいただきました。

協会が把握する限り、現在国内では公認コース16箇所を含め、30箇所でフットゴルフを楽しむことができます。特に公認コースさんにおかれましては、常設コースにおいて、フットゴルフをプレーするより良い環境づくりにご協力いただいているところです。

とはいえ、そのほとんどがゴルフプレーとの併用であることから、カップがラフなどに設置されており、海外でのビッグイベントのようにカップがフェアウェイやグリーン付近に配置することはなかなか難しい、という状況です。

カップがフェアウェイやグリーン付近にあると、カップ周りでボールが“走る”範囲が大きくなるため、パットやアプローチでより繊細なタッチが求められますし、ラフの長い芝にボールが“食われたり”、予期せぬ凸凹にボールが邪魔されることも激減します。つまりラッキーやアンラッキーが少なくなるということです。

そして、ボールを転がす距離感やラインの読みも高度なものでなければいけません。ゴルフ同様、カップ周りのプレーはスコアを左右する大きな要素。日常的にこうした環境でプレーできれば、海外での大きな大会にも対応しやすくなるというわけです。

今大会の最終18番ホールのカップ付近。

今回、セブンハンドレッドクラブさんには、多くのホールでフェアウェイにカップを設置いただき、より競技力が求められるコース環境を整えていただきました。

コースコンディションに対するゴルファーからの評価も高いセブンハンドレッドクラブさんですが、今回はそれに加え、フットゴルフの競技に対するコンディションも整備いただいたことで、出場した選手のみなさんもより素晴らしい雰囲気の中、存分に実力を発揮いただけたのではないでしょうか?

一方、こうしたコースコンディションに整えていただいたことは、別の効果も生み出したようです。

今大会ではフットゴルフ常設コースを設置いただいている別のゴルフ場さんの視察もありました。そして、海外のトップ選手のプレーを見る機会もなかなかないと思いましたが、それだけではなく、大会のコースレイアウトなども参考にされていたようです。

「フットゴルファーが期待し、好プレーが生まれるコンディションとはどのようなものなのか?」

フットゴルフの常設コースをゴルフプレーと共存させ、ゴルフ場を運営していくには様々な調整が必要です。日々、ご苦労もおかけしていると思いますが、今回メジャー大会を視察され、こうしたことを積極的に検討いただいていることに、メジャー大会開催のもう一つの意義を感じている次第です。

今後も、フットゴルフを導入いただいているゴルフ場様と議論を重ね、ゴルフ競技と共存させていただきながらも、初心者から競技に出場しているフットゴルファーまで多くのプレーヤーが楽しめるフットゴルフの環境作りに努めていきたいと思います。

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この記事を書いた人

田村 一人のアバター 田村 一人 一般社団法人日本フットゴルフ協会理事

フットゴルフは、サッカー(フットボール)とゴルフが融合したスポーツで、2009年にオランダでルール化。サッカーボールの5号球を使い、ゴルフコースで9ホール、または18ホールをラウンドしてスコアを競います。国際フットゴルフ連盟(FIFG)が設立されて以降、欧米を中心に40カ国以上で楽しまれており、2012年が第1回大会となったW杯は、これまで3回開催されており2023年5月には米国での第4回大会開催が決定しています(第4回大会は当初、日本で2020年に開催予定でしたが新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年に延期となり、その後もコロナ禍となっていたため中止)。フットゴルフ先進国のアメリカでは、既に600コース以上でフットゴルフがプレーでき、イギリスでもその数は200を越えるなど、その認知度は急速に高まっています。当協会は2014年2月に創設され、国内唯一のFIFG加盟団体として、同連盟とともに世界的なフットゴルフの普及に取り組み、2028年ロス五輪での正式種目化に向け活動しています。

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