宮代 7 – 4 狭山経済
埼玉の夏が始まった。曇天の中行われた開会式直後の試合は「3回戦の壁」を超えたい宮代vs狭山経済との一戦。
県営大宮球場での開幕戦ということで緊張はあったであろう。だが、両校昨秋・今春共に地区予選の初戦をコールド負けで迎えたこの試合だけに互いに絶対譲れない勝ちたい一戦となる。
先発は狭山経済が2年生エースの三木 大和投手、一方の宮代は制球力がウリの背番号4の2年生右腕・安類 翔投手が登板し試合が始まる。
先制したのは宮代であった。
初回、宮代は狭山経済・三木の立ち上がりを攻め、2番・浅野 永樹(2年)が右中間へ三塁打を放ち出塁すると、続く金子 和徳(3年)が左中間へ適時二塁打を放ち、幸先良く1点を先制する。
だが、狭山経済もその裏、宮代・安類の立ち上がりを攻め立て、先頭の風見 駿太(3年)が三ゴロ失策で出塁すると、続く眞鍋 登乃(2年)がきっちりと送り一死三塁とする。さらに3番・遠藤 嶺王(1年)が四球を選び一死一、三塁とすると、一走・遠藤はすぐさま二盗を決め一死二、三塁とチャンスを広げる。ここで続く小嶋 大翔(2年)が右前適時打を放ち同点とすると、5番・讃井 勇人(2年)も右前適時打を放つなど2対1としすぐに逆転に成功する。
一方、逆転を許した宮代もすぐに反撃を開始する。
2回、一死から7番・金子 竣祐(3年)が死球で出塁すると、続く武居 航希(2年)も四球を選び一死一、二塁とする。ここで9番・河野 瑛太(1年)が中前適時打を放ち1対1の同点とすると、宮代は3回にもこの回先頭の原口 暁(3年)が四球で出塁し、続く荒井 拓海(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、7番・金子竣が左中間へ適時二塁打を放ち3対2と逆転に成功する。
宮代は5回にも、この回先頭の金子和が四球で出塁すると、続く原口がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、6番・安類が四球を選びチャンスを広げると、続く金子竣が右前適時打を放ちまず1点、さらに2番手・眞鍋の代わり端を攻め、二死満塁から9番・河野が押し出し四球を選び5対2とする。
狭山経済もその裏、この回先頭の眞鍋が中前安打を放ち出塁すると、二死後・讃井が死球で出塁し、二死一、二塁とチャンスを広げる。続く石井 翼(1年)の右中間への飛球を中堅手、右翼手が共にお見合いし、その間に二者が生還(記録は石井の2点適時二塁打)し再度5対4の1点差とする。
だが、宮代は6回にも、この回先頭の浅野が四球で出塁すると、続く金子和がきっちりと送り一死二塁とする。ここで4番・原口が三塁線を破る適時二塁打を放ちまず1点、さらに二死後、7番・金子竣の遊ゴロが相手エラーを誘い7対4とする。
その後は3点を追う狭山経済が、やや押し気味に試合を進める。
7回には一死から3番・遠藤が左前安打を放ち出塁すると、すぐに二盗を決め一死二塁とする。二死後、5番・讃井が四球を選び二死一、三塁とすると、讃井も二盗を決め二死二、三塁とする。続く石井も四球を選び満塁としたのだが、その際、三走・遠藤が既に満塁で押し出しと勘違いし本塁へ突っ込み憤死する。
狭山経済は8回にも、この回先頭の柴崎 晃成(2年)が右越えの三塁打を放ち無死三塁とすると、続く佐藤 琉碧(1年)も四球を選び無死一、三塁とするが、一走・佐藤琉は二盗に失敗し後続も倒れ無得点に倒れ万事休す。
結局、宮代が7対4で狭山経済を下し初戦を突破した。
宮代は、ここ数年は秋・春と県大会までは進出していただけに今年の代は苦労した。この日先発の安類が168球で完投とよく投げた。安類は開幕戦の緊張感から初回こそバタついたが、2回以降は立ち直り、持ち味である伸びのある直球が決まり始めた。
「初回は緊張した。ただ初回ピンチで伝令にきたエースの小山大祐さん(3年)に『落ち着け』と言われ落ち着けた。小山さんとは『俺がこの試合抑えるから次の試合は小山さんにバトンを繋ぎます』と約束したんで」
と、約束を守るべく必死に投げた。柴田監督も
「この代は公式戦勝ったことがないので、どこか自信のない子たちでそこが初回の緊張として出た。色々ミスも出たが、一つ勝たせてもらったので、良い薬として。うち高校は4回戦に行ったことがないのであくまでそこを目指して。選手たちは自立しているので、ある程度任せてます」
と、悲願の4回戦進出を目指し、あくまで選手達の自主性を重んじ先を見据えていた。実際、4回にはこれまで2打席左で打っていた永穂 陽行(2年)が右投手にも関わらず、3打席目からは右打席に立ち二塁打を放っている。チームの中でこのような自らで考える姿勢を持つことが悲願の4回戦進出への鍵となるであろう。
一方の狭山経済も秋・春は人数の問題もあり2、3年生もギリギリで戦い、試合にならなかったそうだが、1年生が10人加わった今大会のこの試合は宮代をあわやというところまで追い込んで見せた。
「6失点まではOK。序盤は最少失点で。9回までできたのは収穫。ただ接戦のまま終盤を迎え、相手投手が150球ほどいっていたのでチャンスはあるぞと。走塁ミスの場面は普段から当たり前の声掛けしろと言っているのですが…。いずれにせよ相手の安類君がよく投げたと思います」
と、堀口監督は、選手と共に勝てた試合と唇をかみ締める。この試合は終盤の走塁ミスが大きかった。幸いスタメンに1、2年生が8人いるだけに、秋以降の活躍に期待したい。
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