ルイス・フェルナンデス 、トリニダード・トバゴ出身
最初に断っておきますが、サッカー実況経験は一度もありません。サッカーの試合を真剣に見たのも、今回のワールドカップが一番なくらい俄か感は否定しません。それでも1981年公開『勝利への脱出』は、ペレさんの映画として、心に深く刻まれています。監督のジョン・ヒューストンは、登場人物をギラギラと輝かせる大ベテラン。主演シルベスター・スタローン、マイケル・ケイン、マックス・フォン・シドー。『ロッキー』のテーマでお馴染みのビル・コンティの音楽が、今作でもスタローンを支えています。裏方でプレイシーンを撮影指導するペレさんにも役名があって、トリニダード・トバゴ出身ルイス・フェルナンデスとして、劇中試合のエースを堂々と演じています。さあでは、Amazonプライム視聴画面とともに、ネタばらしにならないよう注意して実況します〜
国家間の争いは、サッカーで決着を
1942年、ドイツ捕虜収容所の夜。警戒にあたる兵士と犬、敷地内をめぐる灯火を避けて鉄条網へと這い進む男…と、脱出目前であっけなく銃殺されてしまいました。ドイツ側はその顛末を事故と言い繕い、スイス赤十字の視察を受けることに〜同行したナチス将校が、収容所内のサッカー練習を目にしたことから、物語が動き出すー
「我々ドイツと試合をやらないか?国家間の争いは、サッカーで解決するのが良い」と説く。捕虜側の指導者は、イングランド代表経験者「靴・ユニフォームの提供と特例環境の要請、そして十分な食糧を与えてくれるなら…」これをチャンスと交換条件を出す。かくして約束は交わされました。
これまでイングランド・スコットランド・アイルランド・ウェールズと大英帝国に限られたチーム編成に、国際色豊かなメンバーが次々と加わってくる。ここで、練習中のこぼれ球を受けた”ペレ”満を持して登場です!挨拶がわりのリフティングを披露〜。スタローンは、アメリカン・フットボール経験者としてボール・キャッチなら任せろと、トレーナー&ゴールキーパーとして加わることに。
しかし、スタローンには代表戦以上に重要な”試合を利用して、メンバー全員脱出”という任務が課されていたのです。いつしか親善試合は、ナチスのプロパガンダとして一大イベントになっていく。舞台には、1938年ワールドカップ決勝戦が行われた、パリのコロンブ・スタジアムが選ばれました。
8月15日パリ、運命のキックオフ
迎えた試合当日、5万大観衆がスタジアムを埋め尽くします。ドイツ vs 連合国ー絶対に負けられないナチスにとっては、審判団を抱き込んで公正無視の試合展開。キーパー=スタローンはPKを決められ、ドリブルからの突破をはかるファンタジスタ背番号10・炎のストライカー=ペレも相手の反則行為に負傷退場となってしまう…前半終わってなんと1-4。絶望的な状況から、ハーフ・タイムでの決断がひとつのポイントになりそうです。
“背番号10の奇跡”を目撃せよ!
胸部を負傷して、戦況を見守っていた王様・神様・ペレ様ふたたびの出番は、後半41分・上映終了残り12分〜痛めた箇所を左手で庇いながらピッチでの舞いです!ここから何やら奇跡の予感が〜果たして、国家の威信=プライドをかけた勝負の行方は!?そして、衆人環視のスタジアムから集団脱出劇は叶うのでしょうか〜!?
出演者とその国籍が紹介されるエンドタイトルまで、敬意を払う姿勢こそが、まさにインターナショナル・スポーツマンシップ。エドソン・アランテス・ド・ナシメント、不惑の動きにブラボーです。
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