■ 記事のポイント
・日本高野連は、今秋の国民スポーツ大会(国スポ)で高校野球(硬式・軟式)の試合を7回制で実施することを決定。
・選手の健康管理や酷暑対策を目的とし、試合時間の短縮による負担軽減を狙う。
・3月4日に開かれる日本スポーツ協会の国スポ大会委員会で正式決定予定。
・7回制の導入について、指導者からは賛否の声が上がっている。
・今回の国スポで得られるデータを基に、今後の大会への本格導入が議論される可能性も。
7回制導入へ 選手の健康を最優先
日本高校野球連盟(高野連)は21日、大阪市内で理事会を開催し、今秋に滋賀県で行われる国民スポーツ大会(国スポ)において、高校野球(硬式・軟式)の試合を7回制で実施する方針を決定した。正式な導入は、3月4日に開かれる日本スポーツ協会の国スポ大会委員会での審議を経て最終決定される。
高野連は、選手の健康管理や酷暑対策を目的に、昨年8月から試合の9回制を短縮する案について検討を続けてきた。特に投手の肩や肘の負担軽減、熱中症対策などの観点から7回制導入の是非が議論されている。昨年12月には「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」が設置され、試合時間の短縮や選手の負担軽減に向けた具体的な対応策を議論している。
7回制導入の背景と狙い
■ 過密日程への対応
国スポは4日間で全試合を消化する必要があり、日程が過密になることが懸念されていた。特に秋季大会と重なる地域もあり、選手への負担を考慮し7回制の導入が決まった。高野連の井本亘事務局長は「実際に7回制を経験したことがないという声も多く、国スポで試験的に導入することで今後の議論の参考にしたい」とコメントしている。
■ 健康面への配慮
高校野球では、近年の酷暑が大きな課題となっている。特に夏の甲子園では連日の猛暑の中で試合が行われ、熱中症リスクや選手の疲労が問題視されている。7回制の導入は、こうした健康リスクを軽減する狙いがある。また、試合時間の短縮によって、教職員の負担軽減や働き方改革にも寄与する可能性がある。
指導者の意見は賛否分かれる
今回の7回制導入に対し、指導者の間では意見が分かれている。
■ 前向きな意見
東洋大姫路の岡田龍生監督は「試験的に実施することで、7回制と9回制の違いがデータとして取れるのではないか」と前向きに評価。一方、智弁和歌山の中谷仁監督も「決まったルールの中でベストを尽くすだけ」と冷静に受け止めた。
■ 反対意見
一方で、大阪桐蔭の西谷浩一監督は「子どもたちは9イニングをやりたいと思っている。現場の声をもっと聞いてほしい」と7回制導入に疑問を呈した。また、花咲徳栄の岩井隆監督は「試合があっという間に終わってしまう。DH制を導入し、一人でも多くの選手が出場できるようにしてほしい」と指摘した。
今後の7回制導入の可能性
今回の国スポで7回制が実施されることで、高野連は試合時間の短縮や選手への影響をデータとして蓄積し、今後の導入の参考にする方針だ。高野連は今年12月の理事会までに7回制導入の是非について具体的な結論を出す予定となっている。
将来的には、センバツ(春の甲子園)や夏の甲子園への7回制導入も検討される可能性がある。井本事務局長は「実際に7回制を経験した関係者の意見を聞き、議論を深める」としており、今回の国スポが大きな試金石となるだろう。
7回制の導入が高校野球にどのような影響を与えるのか。国スポでの試験的運用が今後の高校野球の在り方を左右する可能性もあり、今後の議論の行方に注目が集まる。
まとめ
日本高野連が決定した国スポでの7回制導入は、選手の健康や試合日程の過密化を考慮したものだ。しかし、指導者の間では賛否が分かれており、今後の議論の進展が注目される。今回の国スポで得られるデータが、将来的なセンバツや甲子園での導入につながる可能性もある。今後の高野連の動向を見守りたい。
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