【高校野球】埼玉大会 「完全制覇」を狙うAシード・昌平あわやも何とか接戦をものにする!!

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昌平 3 – 2 川口清陵

「危なかったっす」
いつも冷静沈着、チームをまとめるピッチ上の監督、主将の齋藤 陽貴捕手(3年)が珍しく試合後、安堵の表情を見せた。

レジスタ大宮球場の第1試合は「完全制覇」を狙うAシード・昌平 vs川口青陵との一戦。

先発は昌平が最速143キロ右腕・佐藤 立羽投手(2年)、一方の川口青陵は右サイドの尾形 翔汰投手(3年)が登板し試合が始まる。

試合は予想に反し思わぬ展開となる。

先制したのは昌平であった。

昌平は初回、川口青陵・尾形の立ち上がりを攻め、先頭の甲斐 陸斗外野手(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く金子 晄也内野手(3年)も四球を選び無死一、二塁とする。ここで3番・小林 驍汰内野手(3年)がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く齋藤の内野ゴロの間にあっさりと昌平が1点を先制する。

先制した昌平は2回、この回先頭の山根 大翔内野手(2年)が深く守った中堅手の前にポトリと落ちる二塁打を放ち出塁すると、二死後、9番・佐藤立が右中間へ適時三塁打を放ち2対0とする。

昌平は3回にも二死から齋藤が右翼フェンス直撃の安打を放ち出塁すると、続く菅沼 航平外野手(3年)が四球を選び二死一、二塁とする。ここで6番・山根が右前適時打を放ち早くも3点差とする。

このまま、昌平ペースで試合が進むかと思われたが、ここから昌平は徐々に自ら流れを失っていく。

まず、昌平打線、4回以降フライアウトが増える。つまり、川口青陵バッテリーの術中に嵌っていき、結局、4回から7回まで三者凡退に終わる。

一方、昌平・佐藤立の前に沈黙していた川口青陵打線の反撃は7回、この回先頭の杉野 航太捕手(3年)が四球を選び出塁すると、続く町村 幸紀内野手(3年)が右中間へ適時三塁打を放ちまず1点、一死後、5番・渡辺 裕太外野手(3年)の内野ゴロの間に2点目を奪い2対3と1点差に追い上げる。

1点差に追い上げられた昌平ベンチは、たまらず8回からエース左腕・渡邉 俊輔投手(3年)をマウンドに上げる。

勢いに乗る川口青陵は最終回も先頭の佐渡 雅治外野手(3年)が左前安打を放ち出塁すると、続く杉野がきっちりと送り一死二塁と同点機を作るが、後続は昌平・渡邉の前に凡退し万事休す。

結局、昌平がそのまま3対2の1点差で逃げ切り、何とか5回戦へ駒を進めた。

この試合は総じて川口青陵ペースであった。この日はとにかく、尾形がよく投げた。
「投手転向は2年の春から。初回は緊張もあり球が高くなって序盤で3点取られたので、中盤以降は高さを間違えないように。3点取られたので70点です」
と、冷静に振り返りつつも出し切った表情を浮かべていた。

「今日は出来過ぎです。終盤勝負に持ち込めたんですがあと一歩。尾形の先発は前の試合も安定していたのと、相手が強豪校なので」
と、橋本監督も敗戦も笑顔で振り返った。あわよくば勝ちたかったであろうがこれ以上ない試合であろう。

 一方の昌平は肝を冷やす結果となった。

「実は事前に緩いボールに合わせる練習をするか確認したが、元々それはいらないという選手達の判断でした。もちろん、先のことを考えると私もその方が良いと思って。今日は中盤からスイングがダラッと行っていたのでスパッと行こうよとは指示していたんですがなかなか」
と、黒坂監督も苦笑い。

「相手の先発投手は遅いけれど制球が良くて待ちきれず打ちに行ったり、我慢できず拾い上げてしまったりとなかなか修正が効かなかった。今後は我慢して反対方向に打つ練習も入れた方が良いと」(齋藤)
と、齋藤も相手投手に脱帽も同じ轍は踏まないよう先を見据えていた。

「こういう展開になっても今年は投手陣が安定しているので2,3点あれば何とかなるかなと」(黒坂監督)
と、意に介していなかった。投手陣が安定しているだけにそこまでの結果的にこの日登板予定のエース級・佐藤立が投げるタイミングであったことも大きかった。佐藤立は終始安定しており、渡邉も当初投げる予定はなかったそうだが、1点差になり志願の登板で流石のピッチング。こういう難しい展開になっても、今年の昌平は投手陣が安定しているだけに負けにくいチームであることを改めて再確認させられた試合であった。

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この記事を書いた人

南 英博のアバター 南 英博 ULTRA SPORTS 編集長

世界初のクラウド型スポーツメディアである「ULTRA SPORTS 」WEB版の編集長に就任。当サイトはアスリートのセカンドキャリアを応援し、将来的に様々な競技の参加者同士が自由に交流できるプラットフォームとすべく日々奮闘中。ライターとしての顔も持つ。フットサル、高校野球の取材経験あり。高校野球は主に埼玉担当。

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