【MLB】防御率7点台、27歳の投手がなぜブレーク候補に? 理由は移籍先チームの元クローザー?

昨シーズン100敗を喫したオークランド・アスレチックスの今オフは、正捕手でゴールドグラバーのショーン・マーフィーをブレーブスにトレードしたことを含め多くの動きがある。そのため、27歳のあるリリーフ投手をチームがトレードで獲得したことなど、覚えていないことだろう。それに、オークランドのファンたちは、マーフィーの見返りで獲得した左腕のカイル・ムラー、俊足のエステウリー・ルイーズに目を向ける事がもっともだろう。しかし、その27歳のリリーバー、チャド・スミスも興味をそそるものを与えてくれるはずだろう。

現在、アスレチックスの開幕ロスターに入るであろうリリーフ投手陣は、昨シーズン両者ともブレークしたザック・ジャクソン、ダニー・ヒメネスが2つのスポットを占め、また先発ローテーション争いを明言されているAJ・パックが、先発ローテーに敗れた場合昨年と同じくリリーフとして起用されるだろう。それに加え、ブルペン陣の中でトップの防御率2.97をマークしたサム・モル、アスレチックスの13登板で防御率2.07のタイラー・サイール、70登板で3.33のドミンゴ・アセベド、そして今シーズンブレーク候補となるであろう、カービー・スニードの4人がいる。また、ローテーションに入れなかった先発投手、【JP・シアーズもしくはアダム・オラー】がリリーフに回ることだろう。そうなると、8人から10人程度のリリーフ陣を形成することとなる。そして、そこに今回取り上げる、右腕のチャド・スミスが挙がってくる。

スミスは12月の始まり、アスレチックスが2020年ドラフトで球団2巡目で指名されたジェフ・クリスウェルとの交換でコロラド・ロッキーズからトレードで獲得。昨シーズン2022年の成績は、驚くような成績とは程遠く18イニングで、防御率7.50、WHIP1.72、四球15と不安定なピッチングであった。
しかし、ここでブレーキを止めず、もう少し軽く突っ込むと、スミスはとても注目すべき投手となっていく。
昨シーズン許した15失点の内の6失点は、メジャー通算2試合目の登板であり、ロッキーズの本拠地クアーズフィールドでは初登板であった。しかもこの試合の対戦相手、マーリンズはロッキーズの投手ほどんとを打ち崩したかのように、14対1の大勝でこの試合を終えている。そこで、この登板を差し引くとスミスの防御率は4.76。またこの登板を含めても、expected ERA又はxERAと呼ばれるデータでは3.91と実際の防御率よりも良い結果となっている(ちなみにリーグ全体でのリリーフ投手の防御率は3.86という結果)。

打者天国といわれるクアーズフィールドの登板でさらに、初登板であった事を考えるとふがいないピッチングであったのは道理をなすものだろう。だが、これは”もしも”か”おそらく”で挙げているのではなく、(サンプルが小さいとはいえ)スミスが、アスレチックスのブルペンでベストリリーバーの一人となるかもしれないものを、実際にパフォーマンスとして現れているからであり、その一つを示すもの、スミスのスライダーは一級品のボールである。

スミスの球種は96マイルの直球、85.2マイルのスライダー、また左打者に対して時折チェンジアップを投げるスタイルとなっており、そのスライダーは、18イニングで空振り率56%を記録し、被打率は1割ちょうどといった結果で18イニングと示すようにサンプルサイズが小さいことは十分に承知しているが、素晴らしい成績であることに変わりはない。
リーグ全体では、スミスのスライダーの空振り率は15位に位置(最低10打席で投じたもの)し、スライダーのみでは7位でメッツの絶対的クローザー、エドウィン・ディアスより、空振りが高いものとなっている。

しかし、スライダーの空振り率のランキングについてスミスを興味深いものとしているのは、ディアスではなくスミスよりも上にランクインしている元アスレチックスで、現在はホワイトソックスに在籍しているリアム・ヘンドリクスだ。
今でこそヘンドリクスは球界を代表するクローザーの一人であるが、2018年シーズンに一度アスレチックスからDFAを喰らい、ロスターから外れた後、MLBのロスターに舞い戻りシーズン最後の月に防御率1.38をマークし、最終11登板で失点を許すことはなく、その年のヤンキースとのワイルドカードゲームでオープナーを任せられた。そのシーズンのヘンドリクスのスライダーの空振り率は、46.4%で次のシーズン2019年は53.9%に伸ばし、今シーズンは66.9%に達した。

ただ、スミスとヘンドリクスの一つの違いはヘンドリクスがキャリアを通してコマンドに優れているのに対し、スミスは昨シーズンだけでも四球率が平均より高い17.6%という結果を挙げている事だ。とはいえ、アスレチックスは、ヘンドリクスには何が機能を果たし今日に繋がる結果をもたらしたかを熟知しているだろうし、スミスにも同じような、サクセスを望んでいるだろう。
またちょっとした違いでは、ヘンドリクス(98マイル)ほど平均の直球の球速が早くないこと、それに加え、シンカーではなくフォーシームファストボールを使っている事が挙げられるだろう。

さらに、最も興味があるのはアスレチックスはチャド・スミスという選手をどう再生するかだろう。投球割合を改修し、リアム・ヘンドリクスと同じような活躍を再現できるのか?もしくは、マイナーでは、2.89であるものの、MLBでは7.50と高いフォアボールを減らすため、スミスのピッチングのメカニクスに焦点を当てる事となるのだろうか?

スライダーの空振り率が高いことに加え、スミスはまた、2016年からでゴロ率60%とこれまた高い数字をマークしており、昨シーズンの55.6%にもう少し多くゴロが多ければ、なおもゴロ率でトップ20の投手となっていたかもしれない。2022年シーズン、アスレチックスは多くのブルペンオプションがあったが、アスレチックスのフロント陣が、半年前に2位で指名した選手を明け渡すという事実は、スミスに何かしらの重要なポテンシャルがあるというフロント陣の表れかもしれない。今シーズン、スミスはもしかしたら発展途上の状態となるかもしれない。しかし、注目すべき投手であり、試合の後半で起用されても驚きではないだろう。

https://www.si.com/mlb/athletics/news/chad-smiths-intriguing-stat-that-you-need-to-know-before-he-breaks-out

本記事はURL元の記事を元に翻訳、書き加えたものです。
引用元:bvmsports.com

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