【高校野球】埼玉大会 「ファイナルで夢を与える」が合言葉!春日部東が市立川越に競り勝つ!

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春日部東 4 – 3 市立川越

炎天下の日曜日、上尾市民球場の第2試合はBシード・市立川越 vs 春日部東という対決となった。この対決は昨秋も実現し、その時は春日部東が市立川越に14対9で勝利しているが今回はどうか。

先発は市立川越がエース左腕の西見 一生投手(3年)、一方の春日部東は背番号20の2年生左腕・福田 遥大投手が登板し試合が始まる。

序盤は春日部東ペースで試合が進む。先制したのは春日部東であった。

春日部東は2回、この回先頭の梶山 航平内野手(3年)が右前安打を放ち出塁すると、続く曽利 翔吾外野手(2年)も四球を選び無死一、二塁とする。ここで6番・矢治 陸久斗外野手(3年)がきっちりと送り1死二、三塁とすると、続く上野 朔太郎捕手(3年)が右中間へ適時三塁打を放ち2点を先制する。

春日部東は4回にも、この回から代わった2番手・今野 雅也投手(3年)の代わり端を攻め、先頭の曽利が死球で出塁すると、1死後、7番・上野のところで二盗を決め1死二塁とする。さらに上野の遊ゴロが相手エラーを誘い1死一、三塁とすると、一走・上野もすぐさま二盗を決め1死二、三塁とチャンスを広げる。2死後、9番・白石 蒼空内野手(3年)が右中間へ2点適時三塁打を放ち4対0とする。

一方、市立川越の反撃は5回、4回からマウンドに上がった2番手・左腕の蔀 純一郎投手(3年)を攻め、1死から7番・霜田 圭佑内野手(3年)が四球で出塁すると、2死後、今野も中前安打を放ち2死一、二塁とする。さらに1番・南 創太外野手(3年)も四球を選び2死満塁とチャンスを広げると、続く嘉彌眞 琉外野手(3年)が左前へポトリと落ちる適時打を放ち2点を返す。

この2点で流れがやや市立川越に傾き始める。

一気に追いつきたい市立川越は6回にも、この回先頭の田島 翔大捕手(3年)が三塁内野安打で出塁すると、1死後、6番・鈴木 善内野手(3年)も四球を選び1死一、二塁とする。

だが、続く霜田が3ボールとなったところで、一走・鈴木が牽制で刺されてしまう。それでも霜田は結局四球を選び2死一、二塁としたところで、春日部東ベンチは3番手・最速144キロ右腕・矢治をマウンドへ送る。矢治は期待に応え後続を抑える。

これを受けて春日部東ベンチはその後3人で終わらないよう攻撃面でとにかくバントで送り流れを与えないことに終始する。

春日部東は7回も、この回先頭の白石が四球で出塁すると、続く知久 拓馬内野手(3年)、2番・山本 蒼晟内野手(2年)がともにきっちりと送り、2死三塁とする。ここで3番・水野 寛生外野手(3年)はスラップで内野安打狙いをするが凡退する。

対する市立川越は8回、この回先頭の田島が死球で出塁すると、1死後、6番・鈴木が左前安打を放ち、1死一、二塁とする。さらに2死後、暴投で走者がそれぞれ進塁し2死二、三塁とチャンスが広げると、ここで8番・深谷 尚希内野手(3年)が中前適時打を放つ。1点を返すが、二走・鈴木は本塁で刺され1点差でこの回の攻撃を終える。

結局、最終回も無失点で切り抜けた春日部東が4対3と接戦を制しBシード・市立川越を破り夏14年ぶりにベスト8進出を決めた。

市立川越はこの日、プレッシャーからか走塁ミスやバントミスなど本来のチームカラーを考えると、どこかチグハグであった。とはいえ、
「Bシードの重圧に耐えられなかったかなと。バントミス、走塁ミスも含め、硬さを取ってあげられなかった私の責任」
と室井監督は、最後まで選手を庇った。今年は野手の大半が残り、懸念材料だった投手陣も春以降に西見や小田 遥斗投手(3年)らが頭角を現し勝負の年だっただけに、ここでの敗戦は痛恨であろう。夏上位進出のために豊富な練習を課した結果、誰も足を攣っていない。新チームでもその伝統は引き継いでもらいたい。

一方の春日部東は、この日は何と言っても6回途中から好リリーフした矢治に尽きる。昨秋はこの日先発の福田と矢治が投げていない。その優位性もあったであろう。攻撃面では安打数は相手の半分の僅か4安打。少ないチャンスを確実に物にした。キャラクター面を見てもバラエティーに富んでいる。最速144キロ右腕・矢治に最速142キロのエース一郎丸 弘輝投手(3年)、打線でもスラップ打法の水野など、個を重んじるチームだ。スラップなどはソフトボール指導経験もある長野監督ならではの作戦であろう。

「相手も秋とは違って自分達が突破口で考えていた転がしてという部分は封じてきた。矢治はNo.1投手で投げっぷりが良いので、矢治を見てもらいたくて。6回の牽制は選手達の判断です。後半は送って一本という形を作れば流れは変わらないんでそれを続けた。『ファイナルで公立校の皆さんに夢を与えたい』と言い続けてきた。元々私がピンチという言葉が嫌いで、中盤以降の伝令では『ピンチは勝負どころだよ』と言い続けた。守備でもポジティブになれるように。何よりOBの日下部部長が泣いていたことに感動した」と長野監督も興奮気味に語る。
「5回2点ビハインドはOKって試合に入ったんですが、最後は矢治が頑張ってくれた。終盤追い上げられても『ピンチは勝負どころ』なんで積極的にいけました」
と梶山。矢治は
「元々6回からの予定だったですが、前の2人が頑張ってくれたので。今日は制球も良く直球も走っていた。この場面を作ってくれたみんなやピッチングコーチには感謝したい。そして『ファイナルで夢を与えたい』」
と話すなど、選手達にも合言葉は浸透している。これで公立校のベスト8は春日部東のみ。次の相手は川越東だ。結果、エース一郎丸も疲弊せず満を持して登板できる形となった次戦も合言葉通りの活躍なるか。

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南 英博のアバター 南 英博 ULTRA SPORTS 編集長

世界初のクラウド型スポーツメディアである「ULTRA SPORTS 」WEB版の編集長に就任。当サイトはアスリートのセカンドキャリアを応援し、将来的に様々な競技の参加者同士が自由に交流できるプラットフォームとすべく日々奮闘中。ライターとしての顔も持つ。フットサル、高校野球の取材経験あり。高校野球は主に埼玉担当。

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