【女子サッカー】ゴールキーパーとして世界へ!高校生が語る海外留学の挑戦:トビタテ!留学JAPAN

文部科学省及び(独)日本学生支援機構は、官民協働で、留学に挑戦する意欲と能力ある全ての日本の大学生や高校生が、海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的として、2013年より留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を実施しており、これまでも多くの学生が本キャンペーンを利用し、海外留学を行なっている。

そんなキャンペーンで留学に挑戦した、普段は女子サッカー部のゴールキーパーとして活躍している高校3年生の松倉七海さんにインタビューを行い、留学への決意の理由や、サポートしてくれた制度について話を伺った。

目次

技術とリーダーシップを磨く、3週間の海外留学とは?

松倉さんは7月20日から8月9日までの約3週間、アメリカ・フロリダ州にある世界的に有名な寄宿制スポーツ学校「IMGアカデミー」に留学。

参加したのは、60カ国以上から選手が集まる「女子サッカーサマーキャンプ」で、ゴールキーパーとしてのスキルアップはもちろん、自分に合ったプログラムを選択でき、1週間単位で内容をカスタマイズ可能だ。

松倉さんはキャプテンとしてチームを引っ張る立場もあり、「リーダーシップ&コミュニケーション」のクラスも追加で受講。技術だけでなく、人間的な成長も目指した。

負けてもくじけない!ゴールキーパーになった理由

小学生の頃、家族の都合でフィンランドに滞在していた松倉さん。その時からサッカーに対して特別な楽しさを感じていたという。

日本に帰国後、進学した中学校に女子サッカー部があり、体験入部で「格好いい!」と思ったことが入部のきっかけだった。

中学生時代の松倉さん

キーパーを始めたのは中学1年の夏。

ゴールキーパーというポジションを選んだ理由は、「ユニフォームも違うし、手も使える。自分だけができるポジションというのが特別感があって良かった。ドッジボールが好きで、ボールに対する恐怖心がなかったので向いていると思った。」という純粋な理由から。運動神経には自信があり、「みんなと違うことがしたい!」という挑戦心も後押したそう。

しかし、部員数が少なく、中学1年の1月に行われた新人戦では他校と合同チームで出場。試合結果は0-7の大敗。「すごく悔しかった」と振り返った。

「勝てないし、正直楽しくないなって思ってました。キーパーって点を取るわけじゃないし、どうしようって。」

そんな迷いの中で、ひとつの気づきがあった。「ゴールキーパーというポジションだからこそ、自分が失点を0点に止められれば勝てる可能性は上がる。だったら、自分が“守護神”になろうって思ったんです。」

世界と向き合いたい!留学への決意

高校生になり、ようやく単独チームとして試合に出場できるようになったものの、ゴールキーパーは松倉さん1人。周囲を見渡してもゴールキーパーの人数は少なく、高校女子サッカー全体でキーパー不足が深刻であることを実感したとのこと。

トレーニングセンター制度に呼ばれた際、初めて「ゴールキーパーコーチ」という存在を知った。
ところが、部活ではゴールキーパーコーチがいないため、日々のトレーニングでは専門的な指導を受けられず、練習に限界を感じていた。

「なぜゴールキーパーは人気がないのだろう? もっと目指す人が増えたらいいのに…」
そんな疑問を抱くうちに、他チームの状況や海外の実情にも興味が広がっていった松倉さん。

また、憧れの日本代表の権田修一選手が「ベルギーに行って感じたのは、日本はゴールキーパーへの憧れや熱量が少し劣っている。専門コーチの指導を受けられる機会も限られている」と語っていたことが強く心に残っていた松倉さんは、『日本と海外の差はどうすれば埋められるのか――。』
そんな思いを胸に、選手として自分自身も挑戦したいと考え、今回の留学を決意した。

松倉さんが留学先に選んだアメリカは、女子サッカーの世界ランキング1位。今後、女子サッカー専用スタジアムの建設も予定されており、女子サッカーへの熱量が非常に高い国。

そんな熱い環境を自分の目で見て、肌で体感したい──そう考え、留学先にアメリカを選んだ。

参加を決めた「IMGアカデミー」の女子サッカーサマーキャンプは戦術の学びだけでなく、「リーダーシップ&コミュニケーション」など多方面で成長できるプログラムが用意されており、充実した施設環境も魅力だ。

参加の一番の決め手となったのは、60カ国以上から参加者が集まること。各国の同世代のゴールキーパー仲間から、「ゴールキーパーに対してどのような価値観を持っているのかを学びたかった」と話す松倉さん。

「平日5日間、サッカーに打ち込める環境は、肉体的にも精神的にも過酷な挑戦だった。ここまで自分と向き合える機会はなかなかないので、きちんと自立して自己管理が試される時間だった。とでも充実した留学ライフだった」と留学を振り返った。

トビタテ生の将来の展望

松倉さんは今回の留学を通して、「専門的なゴールキーパーコーチから指導を受け、自身の技術向上を目指すだけでなく、帰国後はその学びをチームに還元し、中学生のゴールキーパーにも伝えていきたい」と話す。

かつて部員の兄弟がボランティアで指導してくれた経験から、自分自身も将来、専門的でなくともボランティアとして、ゴールキーパーコーチのいない学校で指導したいという思いを抱いている。

そんな松倉さんが影響を受けたのは、日本代表の山下杏也加選手。試合中の声掛けやプレーの勢いに刺激を受け、その姿勢を学んでいるそうだ。憧れから力をもらいながら、自分も成長していく松倉さんの挑戦から目が離せない。

皆さんも、好きなスポーツで自分の可能性を広げる挑戦をしてみてはいかがだろうか?新しい経験が、きっとあなたを強くしてくれだろう。

トビタテ!留学JAPANとは

文部科学省及び(独)日本学生支援機構は、官民協働で、留学に挑戦する意欲と能力ある全ての日本の大学生や高校生が、海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的として、2013年に留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を開始しました。

2023年度から始まった第2ステージ(2023年度~2027年度)では、事業の3つの柱として、返済不要の奨学金を支給する「新・日本代表プログラム」、留学に関する情報の集約とステークホルダーの連携を強化する「留学プラットフォーム事業」、帰国後のトビタテ生が国内外の団体と協働し各方面で活躍する人材を育成する「価値イノベーション人材ネットワーク事業」を実施しています。

返済不要の奨学金を支給する「新・日本代表プログラム」には、5つの特長があります。

1:留学プランを自分で設計できる!
 →テーマ・行き先・期間も自由

2:インターンやボランティア、研究も対象!
 →座学だけでない多様な学び方ができます

3:民間寄附による返済不要の奨学金
 →毎月の奨学金(12万円/16万円)に加え留学準備金などのサポートも

4:充実した事前・事後研修
 →留学前も後も、多様な講師陣や仲間同士で学べる充実の研修を提供

5:約1万人以上のトビタテ生コミュニティ
 →あらゆる分野で活躍する多彩な先輩トビタテ生と繋がり切磋琢磨しよう

学業成績や語学力ではなく、熱意、好奇心、独自性という基準で選考され、「留学に挑戦したい」という強い気持ちがあればどんな学生でも応募が可能な制度です。

留学計画の内容に沿って、以下の4つのコースから選んで応募することができます。
※2025年度(第10期)時点
※高校生等対象と大学生等対象では募集要項が異なります。詳細はHPをご確認ください。

■マイ好奇心探究コース(250名)
「知りたい」、「明らかにしたい」という自らの興味・関心に基づいた問いを設定し、「未知を既知」にすることや「疑問を解明」することを目的に行う探究活動が含まれた留学計画。

■社会課題探究コース(150名)
世界・日本・地域が抱える社会課題を自分ごととして考えた問いを設定し、課題解決や活性化、SDGs、社会貢献に寄与することを目的に行う探究活動が含まれた留学計画。

■STEAM探究コース(160名)
STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)領域における問いを設定した探究活動を含む留学計画や、問いに対してAIやIoT、理科の見方・考え方や数学的な見方・考え方を活用しながら行う探究活動が含まれた留学計画。

スポーツ・芸術探究コース(140名)
実技経験や実績の有無にかかわらず、スポーツ・芸術分野における問いを設定し、当該分野の更なる発展に寄与することを目的に行う探究活動が含まれた留学計画。

2025年度(第10期)派遣留学生選考結果を見るとスポーツや芸術をテーマに留学生に行く学生は156人。
「サッカーを学ぶために留学する」と聞くと、国際的な強化選手や特別な存在を思い浮かべがちですが、実は誰にでも開かれたチャレンジの場なのだと気づかされます。

留学と聞くと、学業や語学が中心だと思われがちですが、松倉さんのようにスポーツ留学という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。海外でスポーツの技術を磨きながら、異文化を肌で感じ、グローバルな視野を広げる。それは、あなたの才能を最大限に引き出し、未来の可能性を広げるかけがえのない経験になるかもしれません。

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