【アメフト】海外での試合を増やすNFL、日本は置いてけぼりに…その理由は?

NFLはレギュラーシーズンゲームをオーストラリアで開催することを検討しているようです。
このことは日本語のNFLのメディア「NFL JAPAN」でも報じられました。
下の見出しをクリックすると、その記事を読むことができます。

NFL JAPAN「NFLが将来のインターナショナルゲーム開催候補国としてオーストラリアを検討」へのリンク

これはとても驚くべきことです。
と言うのは、
移動距離が長く、米国との時差が大きい国で開催されるからです。
それだけの価値がオーストラリアにはある、そうNFLは考えたのでしょう。

これまでNFLは、カナダ、イギリス、ドイツでレギュラーシーズンゲームを行ってきました。
今シーズンはブラジルで、来シーズンはスペインで初めて開催されることが発表されています。

オーストラリアに移動するには、ドイツにかかるそれよりも4時間長いそうです。
シーズン中に長距離を移動して試合を行うのはとても大変ですし、次の試合にも疲れが残りますので、米国外で試合をすることには、よほどの価値があると考えているのでしょう。

なぜオーストラリアで試合をするのか。
おそらく当地でのNFLの人気が高いからでしょう。
正確な数はわかりませんが、現在正選手として登録されているオーストラリア出身の選手は、フィラデルフィア・イーグルスのジョーダン・マイラタをはじめ、8人います。
うち5人がパンター(P)と言う、蹴るポジションです。
これはキックがさかんに蹴られるオージーボール(オーストラリアンフットボール)が盛んだからでしょう。
5人はすべてオージーボールの出身です。
また、ラグビー出身の選手もいます。
自然と、NFLへの注目度は上がるでしょう。
※Wikipedia「Australians in American football」より

さらには、フランスのパリや、アイルランドのダブリンでの開催も検討されている、という報道もありました。
フランスはヨーロッパではアメリカンフットボールが強い方で、世界選手権にも何度か出ています。
しかし、アイルランドに至っては、私はアメリカンフットボールと関連付けた報道を見たことがありません。
NFLは中途半端な海外への拡大を考えているわけではない、と言うことが伝わってきます。

一方で…
日本で開催されることはないのか
と言う疑問が出てきます。

結論としては…
今のところ、とても考えにくいです。
NFLはもちろん、アメリカンフットボールの人気が低いので。

日本出身のNFL選手はこれまで一人も誕生していません。
このことも人気が低迷している理由でしょう。
アメリカンフットボールのレベルは、アメリカやカナダを除けば、ここまで書いてきたどの国よりも高いのに、もったいないことだと思います。

2024年4月10日、ロサンゼルス・ラムズが日本向けにLINEアカウントを作成。
友達登録を募集しました。

ロサンゼルス・ラムズのLINEアカウントの画像

この記事を書いている2024年5月下旬で登録したのは、たったの2,714人…
NFLが関心を示すには、少なくとも10万人は必要だと考えます。
その50分の1の数字程度では、NFLは動かないと考えます。

また、大きな収容人数を誇るスタジアムが日本にはないことにも理由のようです。
1989年から2005年にかけ、プレシーズンゲーム「アメリカンボウル」が、東京ドームなどで毎年のように開催されていました。
観客数を調べてみると、多い時で51,058人で最低で40,163人。
一見多いように見えますが、インターナショナルゲームの観客数と比べると、はるかに少ないです。
※Wikipedia「アメリカンボウル」より

イギリスでは最低でも60,463人で平均7万人は下らないようです。
メキシコではすべて7万人台。
ドイツだけが平均5万人台ですが、ミュンヘンでは7万人近くを動員しています。

今年行われるブラジル、サンパウロのアレーナ・デ・サンパウロは通常47,605人しか入りませんが、FIFAワールドカップの時には2万人の臨時席を設けましたので、今回もそのようにして6万人台を収容するかもしれません。
※Wikipedia「NFL International Series」より

結局のところ、東京ドームでは小さいのです。
しかも野球場ですから見にくい。
国立競技場(68,000人)、横浜国際総合競技場(72,327人)は、収容人数としては十分ですが、トラックがあります。
ここをNFLをどう考えるか…

結局のところ、人気もない、スタジアムもない国でNFLのレギュラーシーズンゲームが行われるのは考えにくいです。
私は、直近でアジアで開催されるなら、韓国だと考えます。
NFLにはク・ヨンフェと言うキッカー(K)がおり、2020年シーズンにはプロボウル(オールスター戦)にも選ばれています。
また、ラムズが日本のLINEにアカウントを開設したのと同時に、ラムズは動画サイト「NAVER TV」にアカウントを開設しています。
2024年5月下旬現在で、日本のLINEアカウントが開設以来一度も投稿をしていないのに対し、NAVER TVにはすでに13個の動画が定期的に投稿されています。
NFLも韓国を重視しているようですが…
ただNAVER TVのラムズのアカウントの登録者は300人台で、日本よりも人気がないように思えます。

NFLは中国も気にしているようです。
あれだけの人口の国ですから、市場としては魅力的でしょう。

ひとつ気になることは、NFL JAPANの記事の最後に
「アジア、太平洋、オーストラリアについて話し始めると、距離やロジスティックス、その中のフットボールの要素について話すことになる。そういった要素は実際にある。しかし、われわれの役割は世界中を見渡し、どこのファン層が厚いかを調べ、調査を行い、評価を下すことだ」
とあるのことです。
「どこのファン層が厚いかを調べ」
と言うのは当たり前ですが、
「アジア、太平洋、オーストラリア」
がひとくくりで考えられているとしたら、まずはオーストラリアだけで数年様子を見るのではないか…
とも考えられます。
アジアにはは当面進出しないかもしれません。

日本でNFL開催を望むのであれば、まずはその人気を高めることだと考えます。
NFL関連サイトへのアクセス数、関連SNSへの反応数などをNFLは見ているはずです。
そうして「どこのファン層が厚いかを調べ」ているでしょう。

また、NFLに対してお金を落とすことも大事なことだと考えます
NFLのオフィシャル動画配信サイトのGAME PASSの加入者数。
また、日本で発売されたNFLのウェアの売れ行きも気にしているはずです。
幸い昨年GUから発売されたTシャツやパーカーは、着ている人をよく見かけます。
こうやって、NFLにお金を使うことも、NFLを振り向かせるために大事なことだと感じます。

前述のアメリカンボウルについては、私はほぼ全試合観に行きました。
でも、本気で勝負しないプレシーズンゲームはもうけっこうです。
一度でいいからNFLのレギュラーシーズンゲームを日本で見たい。
そう願って、どうやったらNFLの人気が高まるのか、ということを、ずっと考えています。

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