【高校サッカー】宮城代表決まらず 第104回全国高校サッカー選手権大会は混乱


第104回全国高校サッカー選手権大会に向け、宮城県代表の枠がいまだ未定という異例の事態が続いている。仙台育英が部内の「構造的いじめ」問題で出場を辞退し、準優勝の聖和学園も部員の不祥事が発覚。日本サッカー協会と全国高体連は代表校の決定に向けて調整を続けている。

・仙台育英が構造的いじめ認定で選手権出場を辞退
・準優勝の聖和学園でも部員の飲酒・喫煙が発覚
・宮城代表の扱いは「調整中」、大会史上初の異例事態

目次

仙台育英、出場辞退に至った背景

構造的ないじめが部内で判明

全国大会出場を決めた直後の仙台育英高校は、過去に発生していたいじめ事案について、学校が「構造的いじめ」と認定。被害生徒が複数の同級生から暴言を受け、抑うつ症状を呈していたことが明らかになった。学校は顧問団と部員全体の人権意識に欠陥があったとし、12月末までの対外活動を全面的に停止する方針を決定。これにより、同校は全国大会出場を正式に辞退した。

部全体に及ぶ意識の欠如

仙台育英では、部内規律を理由に連帯責任の罰則が日常的に行われ、その過程で上下関係が固定化。特定の生徒が「いじり」や「強要」の対象となっていた。被害生徒は2024年に相談したが、学校の初動が遅れた結果、1年以上にわたり部活を離脱し続けることとなった。

聖和学園も不祥事発覚で暗雲

飲酒・喫煙問題が2年連続で発生

繰り上げ出場が取り沙汰されていた宮城県大会準優勝の聖和学園でも、8月の夏休み期間中に複数の部員が飲酒や喫煙を行っていたことが発覚。該当部員は10月の県大会前に退部・休部・転校等の処分を受けていたが、2024年にも同様の不祥事があったことが新たに判明し、学校の指導体制にも疑問の声が上がっている。

繰り上げ出場は困難か

同校は「部全体の問題ではなく個別の生徒の行為」と説明し、該当部員を除いて大会に出場したが、過去2年連続の不祥事は看過できないとの意見も多い。高体連側も繰り上げ出場の判断に慎重姿勢を崩しておらず、「調整中」の状態が続いている。

代表未定のまま抽選会、運営に影響も

那覇西との対戦が組まれるも、空白状態

11月17日に都内で行われた全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会では、宮城県代表が未定のまま、代理者がくじを引き対戦相手が沖縄の那覇西高校に決まった。しかし、対戦校が未定という異例の状況に関係者も困惑。全国大会の公正性や準備に支障をきたす懸念も指摘されている。

代表無しの可能性も浮上

全国高体連のサッカー専門部は「全ての可能性を含めて調整中」とし、代表校を立てずに出場枠を空白のままにする選択肢も排除していない。現時点で3位決定戦の開催予定はなく、新たな候補校の指名も見送られている。

11月初旬に部員が飲酒行為の興国サッカー部は選手権への出場を発表
当該生徒は大会終了まで対外試合出場停止

 全国高校サッカー選手権大会大阪予選で優勝し、その後、部員数人が飲酒行為などで停学とクラブ活動の無期限停止処分になっていた興国高(大阪市)サッカー部が15日、予定通り選手権に出場すると発表した。

 1日の大阪予選決勝でPK戦までもつれた履正社との激闘を制し、6年ぶり2度目となる選手権出場を決めていた。しかし翌2日、大阪府内の飲食店で複数の部員が飲酒を行ったという。酒に酔った生徒らの姿が目撃され、3日未明には路上で意識障害の症状を起こして倒れているところを救急搬送されるなどの情報提供があり発覚した。部員らは事実を認めていた。

 その後は部全体に聞き取り調査を行っていた中、同種行為の存在が認められなかったという。学校側は今回「結論から申し上げますと、飲酒を行った当該生徒については、本年12月から行われます第104回全国高校サッカー選手権大会での試合が終了するまでの間、対外試合への出場を停止いたします。選手権大会の試合にも出場させません。一方、サッカー部全体としては、今後も通常どおりの活動を継続し、第104回高校サッカー選手権大会へも出場したいと考えております」などと声明を発表。参加については最終的に学校側の判断になる中「本件飲酒行為に関与していない部員までもが、部員全員の努力でつかみ取った全国大会への出場を理不尽に絶たれることは、部員たちの今後の人生において深い傷痕を残しかねないと考えました。そうであるならば、たとえ批判の目にさらされながらであっても、前を向いてプレーする経験の方が、より部員たちの今後の人格形成に寄与すると考えた次第」とした。

 また、声明の中では「今後怪我や疾病、コンディション不良等によって試合に出場しない選手が出てくる可能性もありますところ、憶測で飲酒した生徒を特定するようなことはお控えいただきますようお願いいたします」と誹謗(ひぼう)中傷への注意喚起や、教育体制全般の見直しも約束している。

部員多い強豪校の部活動「いじめリスク高い」 大津高めぐり調査報告

強豪として知られる熊本県立大津高校のサッカー部で2022年、当時1年生部員だった男性がいじめを受けた問題で、第三者の調査委員会が31日、全裸で土下座を強要するなど、先輩部員によるいじめがあったと認める報告書を公表した。大所帯で入部前に夢見た活躍ができない部員が多く、悩みがいじめにつながる「リスクの高い集団」と指摘し、強豪校の構造的な問題にも言及した。

【被害男性は】屈辱的ないじめ、同級生にも知られていた 映像拡散の恐怖

 浦本清隆校長が被害にあった男性に対し、熊本市内で報告書の内容を説明し、改めて謝罪した。

 報告書によると、男性は22年1月、全国高校サッカー選手権に出場したチームの応援に行った際、都内の宿泊先で被害を受けた。上級生に呼び出され、「あだ名を言っている」などと責められ全裸で土下座をさせられた。その様子をスマートフォンで撮影された。男性は精神的ショックから体調を崩して学校を休みがちになり、23年に転校した。

 調査委員長を務めた原村憲司弁護士は熊本市内での記者会見で、当時も今も200人前後の部員がいる同高サッカー部について、「活躍する夢をかなえられず、悩む生徒はかなりの数になる。いじめが起きやすい集団だ」と説明。さらに、公立高校の部活で指導者数が限られるなか、「多くの部員を指導しなければならない。どのような改善ができるか具体的に述べるのは難しい」とも語った。

 報告書は、当時の部員間で容姿からあだ名をつけたり、プレーの失敗を茶化したりといった「いじり」が日常的に行われ、その中にはいじめに該当するものがあった可能性も触れた。そのうえで、「いじりがいじめにつながる」という教育や、指導者らにいじめに対応する知識・対応などを習得させる機会が不十分だった、と指摘した。  県教委は23年10月、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」にあたると発表。弁護士らによる第三者委員会が24年1月から関係者への聞き取りなどの調査を進めてきた。

 一方、熊本地検は24年8月、全裸で土下座を強いたとして、当時の2年生2人を強要罪で在宅起訴し、公判中。2人は「全裸と土下座は強要していない」などと起訴内容を全面的に否認している。

 大津高サッカー部は全国大会の常連で、問題が起きた22年の選手権では準優勝。プロや日本代表選手も輩出している。

まとめ

104回目を迎える全国高校サッカー選手権で、初となる「代表不在」の可能性が現実味を帯びている。仙台育英のいじめ問題、聖和学園の飲酒・喫煙不祥事と、相次ぐ強豪校の不祥事は、勝利至上主義が生み出す部活動の構造的課題を浮き彫りにした。被害生徒の尊厳を守る姿勢と、再発防止策の徹底が今、求められている。

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