ごきげんよう皆様、卓球してますか?
本日は卓球にまつわる「マナー」について。
卓球ではネットインやエッジボールで得点したら「ごめんなさい」する風習があります。ラリーの途中でプレイ領域を仕切るネットにボールが引っかかって軌道が変わっても、ルール上はインプレーで有効となります。例外になるのはサービスの場面だけで、サービスのボールがネットに触れた場合は打ち直しになります。ネットインやエッジボールで得点した時は、手を上げたり人差し指立てたりが世界共通の意思表示になっています。
他のスポーツにも、こういうUnwritten Rulesというか、暗黙の了解のようなものがあると思います。筆者は卓球にしか競技レベルで触れたことがないので詳しくはないのですが、野球だとデッドボールを与えた時は帽子を取って謝るとか、右打者がバッターボックスに入る際に主審の前を通らないようにするとか、そういった様子を高校野球で見たことがあります。サッカーでもインプレー中に負傷者が出たらわざとコート外にボールを蹴り出して試合を止めたりとかですね。
謝らないといけないくらいだからそんなに悪いことなのか、というとそういうわけではありません。卓球における良いボールというのは回転量やスピードもさることながら、ネットすれすれを飛ぶ低さや台のギリギリに着弾する深さという要素もあるので、練習でも試合でも、効果的なボールを打つことを狙っていれば意識せずとも起こりうるものです。僕くらいの中級者でも10球もらえたらサービスでネットをかすめるボールは出せると思います、レシーブだと不安定になりますが。
しかしながら、ネットインやエッジボールは、どちらも非常に対処がしにくいものです。ネットインになったボールは勢いが急激に弱まるので、速いボールを予測して待っていると処理ができません。また、回転も弱まるのですがこちらも予測がしづらく、回転量に対して適切な角度などを出せずにチャンスボールを与えてしまいます。いつ起こるかもわからないため、2球目のレシーブがネットインになることも、後陣まで下がった激しい打ち合いの最中にネットに引っかかることもあります。
エッジボールも同様です。プレーヤーの立ち位置やボールの飛ぶ角度の関係上、エッジに着弾したボールは急激に進行方向を変えます。上方向にバウンドするはずのボールが下方向に加速(?)しながら飛んでいくわけなので、触れることすら難しいといえます。台の外側からのボールはまさに反対方向にバウンドすることになるので、大抵の場合は見送る以外の選択肢を取れません。なにより、エッジボールは台の淵ギリギリをかすめていくので、アウトになるかもしれない、自分の得点になると判断したボールが突如有効になり、返球できないと自身の失点になるのです。単に点数を与えてしまったこと以上に、精神的な落胆を覚えてしまいます。また、台の角であれば有効打なのですが、台の側面に着弾しているとこちらは無効になります。この判断がプレーヤーと審判どちらの視点からも非常に難しく、国際大会などの場であってもジャッジで揉めるようなことも少なくありません。
そのため大会などのシーンでネットエッジで得点をされて、イラッとしちゃったりムカついたりする方も多いです。それはもう人間なのでしょうがないです。とはいえなんでネットエッジされたらムカつくんだろう、って考えてみたんですけど、どうしてなんでしょうね。怒りの感情の出どころはどのような事象が引き金になっているのか、ざっくりとですが仮説を立ててみました。
●ネットエッジを処理する練習がしにくい
球出し用のマシンなんかをめっちゃ微調整すれば練習できるかもしれませんが、そんなことに時間を割くのも意味が薄そうです。あと来るとわかってるネットボールはぜんぜん怖くなさそう。
●予測と違うボールが急に来て脳がバグって情緒がイカレる
何事も予定と違うことが急に起きたら嫌ですよね。ここに来る!って思って待ってても0.1秒後に方針変換するんだもん。
●なんか理不尽な感覚を覚える
理性ではわざとじゃないってわかるんですけど、なんか消化できない時もあるんですよね。なんで俺だけ!みたいな。
これは筆者自身の考え方なんですが、例えば試合で相手にネットやらエッジやらで得点されても「別にええわ」ってタイプなんですよね。「ネットインのボール取れなかった僕が悪い」とか「エッジのボール拾えた方がかっこいい」とか「こっちもやるし」って思うんで、仮に11-0全エッジで負けたとしても妖怪と当たったわって感じで消化して怒ることもそんなにないんじゃないかな、と。それに狙ってできることではないですし、例えば自分のボールが相手の予測を上回った結果コントロールが乱れて結果ネットすれすれを飛んでたまたま引っかかったとか、自分のトップスピンでオーバーミスを誘えそうだったけど惜しくもギリギリでエッジをかすめた、って因果関係じゃないですか。じゃあしょうがねぇや、って感情が先に来るんですね。狙ってやってたとしても普通にそれはすごい技術ですし。あくまで自分の考え方なので他の誰かに押し付けたりはしないのですが、ネットエッジでメンタルを崩す姿を見るともったいないなぁって印象を持ってしまいます。もちろんこれは僕の腕が無いので1点の重みがぺらっぺらなレベルのカジュアル卓球しかしたことないからかもしれません。これも人それぞれ。
あくまで筆者の知る範囲なのですが、バレーボールやテニスではネットイン、コードボールなどは特に謝るようなことはなく、むしろラッキーと喜ぶような様子を目にしたことがあります。卓球経験者にとっては不思議な光景に映るのではないでしょうか。みなさまの嗜まれるスポーツでもこういった暗黙の了解やマナーなどあるのではないでしょうか。
今回はここまで、ご覧いただきありがとうございました。
Youtubeチャンネルでは同様のテーマでもう少し踏み入った内容について取り上げておりますので、もしよろしければご視聴ください。
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