11年ぶりの不在
今季のプレーオフは、チーフス抜きで始まります。実に2014年シーズン以来、11年ぶりのことです。
今シーズン、カンザスシティ・チーフスはポストシーズンに進むことができませんでした。近年のNFLを見てきたファンにとって、1月後半にチーフスがいない光景は、どこか現実感を欠くものかもしれません。
そのチーフスがプレーオフ進出の可能性を失った試合で、QBパトリック・マホームズはACL断裂という大けがを負いました。この負傷は、単なる今季の終わりを意味する出来事ではありません。チーフスの未来、そして2020年代のNFLの構図にまで影響を及ぼす可能性を秘めています。
ACL断裂がもたらす影響
ACL断裂は、マホームズのプレースタイルを変えてしまうかもしれません。彼の最大の武器は、並のQBにはない運動能力です。パスを投げるだけでなく、プレーを延命し、守備を崩すあの動き。今回の負傷はその一部が制限される可能性がありそうで、どうしても気になります。ただし、マホームズは非常にクレバーなQBでもあります。たとえ大きな怪我を負ったとしても、純粋なポケットパッサーに収まるタイプだとは思えません。
おそらく彼は、走る頻度を抑えつつも、「ある程度は走れるポケットパッサー」という新しい形を見つけてくるでしょう。どんな体勢からでも投げられるパッサーとしても。
もしその形で復活することができれば、チーフスはまだ、2020年代のNFLを代表するチームとしての期待を背負い続けるはずです。
「チーム・オブ・ザ・ディケイド」の行方
NFLには、「チーム・オブ・ザ・ディケイド」と呼ばれる存在があります。
● 1960年代のグリーンベイ・パッカーズ
● 1970年代のピッツバーグ・スティーラーズ
● 1980年代のサンフランシスコ・49ers
● 2010年代のニューイングランド・ペイトリオッツ
それぞれの10年代を支配したチームは、後から振り返っても明確です。
私は、2020年代はチーフスのものになると思っていました。しかしそれは、マホームズという稀有なQBの存在が前提でした。しかし、今回の不祥事と負傷は、「チーム・オブ・ザ・ディケイド」という称号が、決して約束されたものではないことを突きつけています。
チーフス王朝はいったん弱体化しました。ここから再び勢いを取り戻し、王朝を拡大していくのか。それともマホームズとともに、静かに収縮していくのか。
その答えが出るのは、来シーズン以降でしょう。
まだ終わっていない物語
個人的には、この稀有な運動能力と知性を併せ持つQBが、「ただの一流QB」としてNFLを去っていく姿だけは、どうしても見たくありません。2020年代はまだ終わっていません。そして、「チーム・オブ・ザ・ディケイド」も、まだ決まってはいないのです。
チーフス王朝の未来は、マホームズの復活にかかっています。
この稀代のQBが、再びNFLの頂点に立つ日は来るのか。
2020年代の物語は、まだ書き終わっていません。



